来てもうた
上手く纏まらず、短いうえに投稿時間も超過してしまいました。
申し訳ありませんでした。
領主館の前でざわついてるのは主に冒険者の男共。そんな冒険者達に交じって町の住人の男達もちらほら。
館を守ってる筈の騎士達が出張って来て居ないって事は、こいつらが館に押しかけて来てるってぇ事じゃないとは思うんだが、そうなると、むしろ何しに来てるん? って疑問が湧くんだがね。
周囲を眺めれば、何か興奮してるらしい集まってる男共とは裏腹に、何か、同じパーティーに所属してると思しき女冒険者の連中は、冷めた目で集団を見ている。
「トール、様?」
イブに声を掛けられ、ハッとして前を見る。何じゃろね? 領主館に行きたいのは山々なんだが、何か嫌な予感がビンビンで、足が一向に動いてくれないと言うか何と言うか。
怖気ずくのとは違う、本当に『厄介事の気配』がするってぇ感じ。
「ああぁん!! やあっとぉ帰ってきたぁ~!!」
背筋がゾワリとする様な、甘ったるい声。男共の群れが二つに割れ、ソレが飛び出してくる。と、イブに手を引っ張られて抱き寄せられ、逆にファティマとジャンヌが前に飛び出す。
そして、ミカとバラキが、俺とイブの両脇に陣取った。
俺としては忘れたかったが故に、認めたくなかった気配に、『やっぱりか』と言う思いを強くしたのだが、ティネッツエちゃんやラミアー、セフィは完全に置いてきぼりに成って、ポカンとしている。
ウリと、ラファ、欠伸かいて首元を後ろ足で掻いてんじゃねぇよ。確かにおまいらには関係ないんだろうがよ。
『【質問】お久しぶりです。何しに来たのですか? ゴモリーお帰りはあちらです』
『【嘆息】もう一柱が無事だったのデスから、当然死んでないとは思っていたデスが、くたばってれば良かったのにデス』
「あらぁ? お人形ちゃん達は、お人形らしく黙って飾られてれば良いのじゃないの?」
予想通り、飛び出して来たのは女魔族のゴモリー。その人間態だ。コイツは前に隣国のクーデター時に暗躍してやがった内の一柱で、なんやかんやあって、内乱制圧後に魔人族国を襲って来た“邪竜”を一緒に討伐した一柱でもある。
あの時、気が付いたら、いなくなっていたんだが……
うんまぁ、一触即発だわな。バフォメットは何度か共闘もしたし、扱い方次第ではそれほど問題に成らないんだと理解できたが、ゴモリーはなぁ。
そもそも、エリスの父ちゃん骨抜きにしたのは、ガープの作戦だからってぇ訳じゃなくて、コイツの特性みたいなもんだったし、今は、俺を狙ってるらしいし。
そこに居るだけで過剰なフェロモンまき散らし、あらゆる異性を魅了する魔族。まぁ、俺には効かんのだがね。
最も、ゴモリーはそれ故に、俺に欲情した……らしい。男を魅了するのが本能であり、自分に堕ちた男の、欲情した【オド】を喰らうくせに、堕とした男には興味をなくすし、本人の好きなタイプは『自分に堕ちない相手』ってか、性癖がドエムと言うね。何と言うか、控えめに言って最悪なんじゃが!?
迷惑以外の何者でも無いわ!!
「はうんっ!! そのさげすむ様な瞳がぁ!! ううん! たまらないわぁ」
うわぁ、消滅してくれねぇかなぁ。コイツ。




