それから更に時は過ぎ
地図製作開始からすでに半月。
「なぁ、本当にこの大陸、人類が生存してるんか?」
『【不安】確かに、ここまで全くの痕跡が見つけられませんと、疑問が湧きますね』
「いっぱい、有った、よ?」
うん、その件、前にも同じ様な事やったよね? いや、イブさんの言う事は分かるのよ。あの後も地下空洞の発見は相次いでてなぁ。
まぁ、それに関しちゃ、トンネルまでは掘らせてないんじゃが、取り敢えず地図の方には三角印を書き込んでおいたわ。
その一方、人の住んでるってぇ痕跡は未だ皆無。いや、例え、この場所が人里離れてるんだったとしても、半月の間、全くその人里の痕跡を見つけられんとかありえんだろう。
「トール、様」
「ん?」
「また、空洞を見つけましたトール様!! ね? イブねーさま!!」
「んっ」
マジか。何個目だよ。まぁ、記録はしておくけどさ。
ただねぇ、これだけ遺跡の数があるってんなら、今まで発見されていないってのが、逆に可笑しいと思うんじゃが?
俺が半ば呆れていると、ジャンヌが悩ましげな声色で自分の考えを口にした。
『【苦悩】早々にグリフォンと遭遇したので、北東の大陸かと思ってたデスが、もしかしたら、別の大陸の可能性もあるデス』
その辺、太陽とか月とか星とか計測して予想は立てられんかね? 緯度とか経度とか。
『【了解】早速、やってみるデス』
『【嘆息】決めつけで確認を怠った我々の落ち度でした。すみませんマスター』
「いや、俺も気が付かんかったしなぁ。お互い様だわ」
俺と聖武器達が、そんな事を話していると、イブがにわかに目を輝かせた。
「未発見、の、新、大陸!!」
「アオン?」
「アン! アオン!!」
そう言や、その可能性もあるのか。イブの興奮が伝わったのか、ミカとバラキも尻尾をぶんぶんと振り回す。おもむろにティネッツエちゃんの手を取ってイブがはしゃぎ、良く分からないながらもティネッツエちゃんもそれに合わせる様にステップを踏む。
キャッキャと戯れる動物と子供達ってのは、癒されるね。しかし、イブさん、『新大陸』とかってワードに、反応してるみたいだが、そう言うの好きだったんかね? まぁ、冒険に出るのは嫌いじゃなさそうだったけど、女の子だと珍しくないか?
あ、いや、キャルもそっち系統だったな。そう考えると、ごく、珍しいって事もない……のか?
「新大陸、発見! 『トール大陸』!! トール、様、凄い!!」
そっちかよ!! いや、そもそも“扉”で繋がってた大陸だからな!? 俺が発見したって訳じゃないからな!? てか、もし現状、誰も知らなかったとしても、大陸に自分の名前とか付けないからな!?




