コレ、どうしたもんだろね?
まぁ、上にあがる時は、ラミアーに手伝ってもらうとして……
「対価もらうよ~」
「良いけど、舌先でチロチロするの止めろよ?」
何故目を逸らす。なんの意味があるのか分からんが、アレされると、ゾワッとすんのよ、ゾワッと。
それは兎も角。
「問題はこの古代遺跡だよなぁ」
「行か、ない、の?」
『いけいけどんどん~』
探索をしようってイブとセフィの言葉に、俺は眉を顰めた。それを見ているティネッツエちゃんは、どう声を掛けようかとオロオロしている。
犬達は、早速と言った感じで、洞窟内部のあちこちを嗅ぎまわっていた。
問題はなぁ。基本的に古代遺跡ってのは“国”が管理するって事なんだよな。何せ、オーパーツとかアーティファクトの宝庫だし、逸失知識なんかを得られるかもしれないって場所だから。
俺が自領に成ってる古代遺跡を好き勝手してたのは、俺が古代遺跡で修行してましたってぇカバーストーリーに説得力を持たせる為であって、別に『古代遺跡の力をわが手に~』とかってどっかの悪の秘密組織めいた願望があっての事じゃなかったし、そもそも国に報告するってぇ前提があったからだ。
ただ、この遺跡については全くの別大陸の物だし、俺が好きにして良いってもんでもない。正直な所、このまま埋め戻しちまいたい所でもある。
『【提案】このままオーナーがこっそり所有するってのは駄目なんデス?』
「ジャンヌが思ってるより、人間てのは優秀なんだぞ? ここが未開の場所だったとしても、その内、開拓される可能性だってあるし、何らかの素材を求めて冒険者が来る事だってあるだろうさね。そんな時にこの古代遺跡が見つかったら、それはそれで人を呼び込む事に成るし、国だって兵士達を送り込んで来るだろうよ」
そしてこの古代遺跡の場所が問題なんよな。
『【成程】この場所に大量の人間が行き来するとなれば、こちらの古代遺跡の“扉”を発見される危険性が高まる……と言う事ですね? マスター』
これが、数日位掛かる様な場所だったら、そのリスクは格段に減るだろうから、心配なんざしなかったんだがね。
ところがここは数時間程で着いちまう位の近場だからなぁ。ちょっと足を延ばしてみようなんてぇ輩が居れば、いくら偽装してあったとしても見つかっちまうリスクは高くなる。
そう思って、どうしたもんかと悩んでいると、ティネッツエちゃんが「はいっ!!」と言って手を上げる。いや、俺のパーティー内で挙手発言ルールなんざ無かったと思うんだが。
「何か考えがあるのか? ティネッツエちゃん」
「コボルト族でこの大穴を塞いで偽装工作をする上に、“扉”から繋がる様に穴を掘れば良いと思います!!」
成程、それは確かに良い考えな気がする。
「そうなると、コボルト連中をこっちに召喚しとかないとなぁ」
グレッソチューンに人の選別を頼んでおかないと。




