ちょっとだけ調査する
「暗躍する様な魔族、で、あるか?」
「ああ、その上で、バフォメットに注視してそうな相手だな」
領館から少し歩いた所に有る訓練場。何時もの様に家の騎士達を特訓してくれているバフォメットに、俺は、そう聞いてみた。
いやさ、魔族に関する情報なんざ、コイツ以外からなんざ、早々出てこんだろうよ。
「フム、多すぎて絞れんな」
「そうか……」
まぁ、予想はしてたけどな。それでも残念なのは残念だ。
魔族の現在の総人数が、どのくらいなんかは知らんが、それでも1都市の人口より多いってぇ事は無いだろうさね。
そもそも、超個人主義だって言う魔族が、他の魔族の情報をいくらかでも持っているって時点で、上々ではあるんだしな。
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たいして情報も得られなかったんで、自室に行く。うん? 中に気配が……
『【警戒】対処しますか? マスター』
『【得意】魔法で一撃デェス!!』
「【インフィニティー・ゼロ】、する?」
いや、大丈夫だから。そんな物騒なことしなくて大丈夫だから。ってか、イブさんや、それやると相手は消滅するからね?
そもそも知ってる奴らの気配だし。
足元にすり寄ってきたミカとバラキをモフっておく。大人しく着いて来てくれてるのはお前らだけだよ。まぁ、この二人は、危険が無いって分かってるからだろうけどさ。
「あ、お帰りー」
『おなかすいたよぉ』
「ナチュラルに俺のベッドで寝てやがるな」
そういう事するから、イブさん達がお冠に成るんだよ。自分達の部屋に帰れよ。おまいら。
ラミアーとセフィが、ベッドに寝っ転がりながら手招きしているのをガン無視し、考え事もしたかったんで、ソファーの方へと座る。
と、ファティマとイブが、部屋に備え付けの簡易キッチンの方へと入っていった。多分お茶を用意しに行ったんだろう。
「むぅ」
『むしするなー!』
はいはい、後でなぁ。
さて、こっちを狙っている魔族が俺を認識したのは、多分、魔人族国のクーデターの時だろう。ただ、あそこに居たのはガープ、バフォメット、ゴモリーだけの筈だし、実際、バフォメットも、あそこで暗躍してたのは3柱だけだって言ってたから、クーデターを潰されたから恨んでるって訳じゃぁないだろう。
首謀者だったガープは、あの時、魔人へと変異したらしいんで、他の魔人が注視してたとは思えない。いや、新たに魔人へと至ったガープに興味が有ったってぇ可能性もあるけど、結局何も成せずにドロップアウトしたんだ。まさか、それを見て遺志を受け継ごうとかって輩も居やすんめえ。
そうなると、ゴモリーかバフォメットをストーキングしてて、俺を見つけたって可能性が高いだろうさね。
その二択だったら、バフォメットの方が高いんじゃねぇかね。ってか、一方的にライバル視してる相手とか居そうだし。
もし、そう言う輩が居たとすれば、ぽっと出の俺なんかは気に入らんだろうさ。まぁ、一応ゴモリーの方も居たとして、何で俺に当たるのかが全く理解できない。うん。理解などできようもないな!!
なので、多分、おおよそバフォメットの方だろうと考える訳だ。俺の精神安定上の理由としても。
まぁ、それだけ分かったとしても意味は無いんだけどな。何の対処も出来んし。




