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当たり前すぎると疑問にすら思わない

「と言うか、むしろこの館の中をくまなく探索したいのであるな」

「……商品開発してる所とかは無理だぞ?」


 『案内するけど、どっか見たいところある?』って言う俺の言葉に答えた、皇女さんの言葉がこれである。

 まぁ、元々大森林の中へ向かう冒険者とかを相手にしてる街なんで、見所とかある訳じゃないんだがよ。かと言ってまさか冒険者向けの()()()()()に案内するってぇ訳にもいかんかったしな。

 家の館の中をくまなくって、まさか“神器”を探すってのを俺に手伝わせたいとかって事じゃねぇよな?

 俺に態々案内させたい所なんざ告げてれば、もし有ったとしても、先回りして隠せるからなぁ。いや、“神器”なんざ、ここには無いんだが。


「うん? ああ、そう言えば其方は商会のオーナーでもあったか」


 まぁ、隠しちゃいないけど、そう言う情報も集めてあるんな。その上でこっちに来てるってぇ事は、皇国的にはかなり信憑性が高いと踏んだからなんだろう。


 だけど……


「どうした? やはり駄目か?」

「うん? オヌシ様、やっぱり忙しいと言うなら、わしが案内してやっても良いぞ?」

「いや、何でエリスが俺の屋敷を我が物顔で案内するって事になるんよ、それだったら、マァナ付けるわ」


 てか、何時の間に案内が出来る程、俺の屋敷に詳しくなったんよ。


 ******


 そんなこんなで始まった屋敷探索だったんだけんどもよ。最初に案内した洗面所で既に動きがストップしとるんじゃが?

 いや洗面って、文字通りの手を洗う場所よ? いや近かったしな。そこで蛇口を何度も捻っては矯めつ眇めつ不思議そうに見とるんよ。

 いや、蛇口て。確かに他にはない設備だと思うんだがよ。何日、領主館(ここ)に滞在しとるんよ。何で見てないか。


『【回答】基本、皇女は洗顔などは、()()()()()()()()()()()()()いましたので』

「あん?」


 どこのお嬢様よ。あ、皇族だったわ。そうか、自分で洗面所とか行かんのか。いや、それでもトイレとか行くだろう。行くよな?


『【嘆息】その場合も侍女が行いますので、基本、皇女は手を使いませんから』

「は?」


 つい変な声が出ちまったよ。いや、それもはや侍女の仕事ってか介護って言葉がしっくり来るんじゃが!? い、いや、そういう文化なんだろうな。余所の国の文化を自分が理解できないからって、否定しちゃいけんよな。うん。


「これは、どうやって水を出しておるのだ!? 魔法か!? それとも遺跡のアーティファクトか!?」

「いや、単に大気圧のせいで出るだけだが?」

「何であるか!? それは!!」


 え? 水源が領主の館より高所にあるから、それがサイフォンの原理で押し出されてるだけなんだが……


『【解説】サイフォンの原理を理解しているのは、この場ではマスターと聖武器(われわれ)だけだと愚考します』


 そうなの? と、周りを見回すと、ジャンヌと聖弓(ロボセイント)が頷く。

 俺にとっちゃ、蛇口を捻れば水が出る何て、当たり前の事だったから、何が不思議なのかすら分らんかったけど、そもそもそう言った原理から理解出来てなかったんか。


「いや、何と言うか、高い所から低い所に水が流れるのは当たり前の事だろう?」

「そうであるな」

「すっげぇ大雑把に言えば、この『蛇口』より高い所に水を溜めてるから『蛇口』からみずがでてるんだよ」


 本当にかなり大雑把だが。


「ふうん? つまりこの屋敷の屋根にでも水を溜めておると言う事か? それは、この屋敷のメイドは随分と苦労しておるのだな」

「何でそうなる?」

「ん?」


 皇女さんが首を傾げる。


「ふふん! 屋根に水を送らずとも、ここでは水を出す事が出来るのじゃ!!」

「な、なぜですか? スルフォブルーローズの女王!!」

「だ、だから、それは……その、オヌシ様の言っておった通りなのじゃ!!」


 よし、お前も理解してないって事は良く分かったわ。エリス。

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