観光地ではないのだよ
「ホッホッホ!! その程度なのじゃ?」
「ぬぅ!! もう少し! もう少しだったのであるがぁ!!」
『あーむのちから、よわいよねぇ~』
「こういう時の魔法の言葉『スタッフ~!』」
いや、どういう状況よ。多分、女子連中で一緒に遊んでるってのは分かるんじゃが。取り敢えず一緒に来たミカとバラキをモフっておく。
エリスに皇女さんにセフィにラミアー。見事に王族&魔物だけの組み合わせて。どの辺りに仲良くなる素養があったんじゃろ?
特にエリス。皇女さんに何か隔意めいた物持ってなかったか? 気のせいか? まぁ良いけど。
うん。仕事もひと段落したんで、休憩がてら娯楽室に来たんよ。こっちに皇女さん達が来てるって言われたんでなぁ。
『ねぇ、トールちゃん? お仕事が忙しいのは分かるけど、あんまりリーリン皇女殿下を放置してちゃだめよ? 仮にも貴男、ホスト役でもあるんだから』って第二夫人に言われたからってだけじゃなく、領地に来てから即、聞き取りと監修で時間取らせた挙句、その後はほぼ缶詰で、修羅場ってたんで、相手にする事すら出来んかったからなぁ。
まぁ、それもあって、流石に3日4日と皇女さん放置しとくのも悪かったなぁとか思ったんで、“何か”案内しようとか考えて、な。
うん。ノープラン。だって、家の領、特に観光とかって考えて街作りした訳じゃない挙句、せいぜい見せられるのって街中くらいじゃん?
一応古代遺跡とかあるけど、アレ全部回ったって訳じゃねぇし。いや、掌握はしてあるんだけんどもよ。ファティマが。
まぁ、危険は無いだろうけど、“扉”とか完全に把握してる訳じゃないじゃん? 変にはぐれて、とんでもない所とか行かれてもさぁ。
だって、皇女さん、未だに“神器”探し諦めてねぇんだもん。当たり前だけど。
ちょいちょい抜け出そうとしては、家の警備連中に見つかってるからなぁ。コボルト連中、自前で【短波】使えるからな。ちょっと【隠形】使える程度じゃ、完全に隠れる事なんざ出来んのよ。
そんな訳で、完全に信用するって訳にもいかんから、あんまデリケートな所にも案内出来んし、そうなると、軍事機密でもある砦の方なんざ案内できる訳もない。当然、家の訓練所もなぁ。あんなとこ連れてって、バフォメットになんざ見つかってみろ。あんにゃろ嬉々として皇女さんに危害加えかねんからな!
何せ、彼女に何かあれば、皇国との間に大規模戦争とか起こりかねんのよ。確かに、家の騎士連中を鍛えてくれてはいるけど、いや、だからこそ、大規模戦争ウエルカムって可能性だってある。だってアイツの好物は『闘争心』と『向上心』なんだからな。
その【オド】を大量摂取できる可能性があるってのに、躊躇うってぇ理由がない。アイツが“魔族”である限り信用しきるってのも出来無いんよ。
それはさて置き、まぁ娯楽室で楽しんでるってんならまぁ良い……のか?
「てか、UFOキャッチャー!?」
また、新たな遊具増やしたんか? マトスン&ドワーフズ!! 印刷の事もそうだが、どんだけ仕事してるんだよアイツ等!!
てか、このUFOキャッチャーもゼンマイ動力なんじゃろか?
全く、オーバーテクノロジーも良い所だってばよ!!




