そんな感じの裏事情
取り敢えず、皇女さんの勘違いを利用する形で色々と聞いてみた結果。
皇国は何か竜王さんに関する“神器”とやらを強奪されたらしい。あ、因みに竜王さん、皇国の始祖の皇帝さんの事で、存命じゃないんよ。また、マンガに追記事項が出来るなぁ……てか、何で俺を見間違えてるかし。
いや、意識レベルが酩酊状態だからなんだろうけど、だからと言って、なぁ?
で、何がしかの密告で、その強奪犯は兎も角、その現在の所持者がオーサキ辺境伯であるらしいって事が分かったんだとか……この時点で間違ってるってのは兎も角として……いや、違うよな? 誰かから何か託されたとかって事無いし。恐らく、多分。
これ、厄介なのは仕込まれてた場合なんだよなぁ。現物がそこにあれば、言い訳とかって出来ないし、そもそも現在進行形で、その“神器”とやらは表に出て来てないからなぁ。
で、そんな謎の密告を妄信する程、皇国もバカじゃ無いんで、一応調べたらしいんだよ。実はその“神器”が強奪されたって言われてる時に、本当に無くなってたのかどうかってのは。
ただ、そいつに関しては良く分かってないんだそうだ。
何か、ちょうどその辺りの頃に、皇国のお城に侵入者が居たってのは確からしい、その時に“神器”を仕舞ってあった宝物庫も一応見てみたらしいんだけど、その時にはちゃんと有るってぇ確認はしたらしいんだわ。
けど、その密告があって、再度調べた時には、ソレは偽物だった。と、言う事らしい。
因みに、その密告者、皇女さん、良く知らないんだそうなんだわ。
「おそらく兄様達の知り合いだったかと思うのですが……顔もよく覚えて居らず……申し訳ありませぬ」
うわぁ、一気に陰謀臭くなったわ。これ、ルーガルー翁と共有しとかなあかんヤツだ。
で、俺が所有していたって事を確信したのが、二度に渡る竜種討伐だった訳だ。
曰く、『普通であれば個人で竜種を討伐などできませんので』って事らしい。
いや、どっちもバフォメット含めた魔族連中の協力と俺のパーティーメンバーの貢献とか有ったからな? 確かに“邪竜”のトドメを刺したのは俺だけど、それ以前に全員で攻撃して削ってた訳だし、ニーズヘッグに至っては囮役務めただけだし。
それは兎も角、“神器”が盗まれたとされてる時期に、竜種を討伐したってぇ噂が立ち、事実討伐を果たした冒険者が居て、しかもそいつは、“神器”らしき『鎧』を纏っていた。その上その冒険者、二度に渡り竜種を討伐した功績で、その国で辺境伯と言う地位を得た。
しかも、その冒険者の少年に、実際に会ってみれば、王家とのつながりを感じさせる面立ちをしていて、二度に渡る討伐後は、竜種の討伐の様な目立った活動などしていない、と。
その事で、『もしやデストネーチェ王国の茶番ではないのか?』という考えに至ったらしい。爵位を得た後、凄い勢いで立派な街と国境の砦まで作ったって辺りで、かなりの王家の支援を受けてる事は予想に難くないんだそうな。えー、支援なんざ殆ど受けてないんだがねぇ。
で、そもそも、個人で“神器”を強奪するより、バックに国が居た方が納得できるってぇ事らしい。んだが。
うん。色々穴があり過ぎる推論だわ、それ。
第一、竜種討伐した後にも、王都のスタンピートとか対応してるからな?
って、言っても多分言葉並べても納得とかしないんだろうなぁ。
どうしたもんかねぇ?
…………
よし! 取り敢えず、皇女さん部屋に放り込んで来よう。うん。




