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それはそれ、これはこれ

 絵心があるって言っも、即、マンガが描ける訳じゃぁない。写実で絵を描けるのと、ディフォルメで絵を描けるのは、また少し違ったセンスが必要だしなぁ。

 ましてや、見たものをそのままトレースし、他者にも納得させられる様に、誇張を混じえて描く絵画と、全てを想像で構築し、物によっては資料を参照するマンガでは、その難易度の質が違う。


 まぁ、何が言いたいかといえば、マンガの方は想像だけで描かなきゃならん場面が出るって事さね。


「いや、マジか……」


 目の前では、何も見ずにシャカシャカと風景画を描き続ける青年。

 ルールールーの幼馴染の……ハティつったっけか? 資料もなしに、こんだけ背景描けるってかなり凄くね?

 俺の時? ファティマに似たような風景を写実で描いて貰ってましたが何か?


 さらにハティが凄いのは、こっちのオーダー通りに背景のクオリティーを調整できるって所。コミカルな絵に、精密画での背景とかついてたら違和感バリバリじゃん? ハティは、人物の方の絵柄に合わせて、その辺りを調整してくれるってのが凄い。


 なる程、ルーガルー翁。孫可愛さだけでこの男を送ってきたって訳じゃなかったんな。


 ******


 皇国の建国記と、家の国の建国記のマンガは、思いのほか早く完成した。俺の描く部分が人物だけだったからな。

 ハティだけじゃなく、他の二人も優秀なアシスタントだったわ。一人は背景効果が偉く上手くて、もう一人は魔物やら動物やらが偉く上手かった。


 背景効果の方は流線に集中線、カケアミにカケナワまでなんでもござれで、動物や魔物を描ける方も、ハティと同じ様に何も見ずにサラサラと描いて行けたんよ。思わず、家の犬達の肖像画をお願いしたわ。


 もっとも、背景効果の方は流石にこの世界にはなかった代物なんで、俺が教えたわけだが、教えた端から苦も無く取得していったんで、結構驚いたわ。

 本人曰く『こう言う細かい作業は結構好きなんですよ』との事。だとしても凄すぎる腕前だ。


 なる程、流石は王家御用達の諜報一族ってのは伊達じゃないって事か。よくぞここまで、俺のアシスタントにベストマッチした人材を見つけてくれたもんだと感心する。


 って、あれ? そうなると、俺の領に文官紹介してくれって頼んだのに、未だに見つけて来れないのは本気じゃないからなのか?


 そう思って思わずルールールーを見る。

 出来上がったばかりの二冊の建国記を万感の思いで読み、眺め、嘆息しているアシスタント達。

 まぁ、大変だったからね。アシスタント業。

 多分世界初の。だって皇国の皇子達が来るまで、それほど時間がなかったしなぁ、それまでに製本までやらにゃならんかったからな。

 もっとも、製本に関しては、家の騎士団総動員させて貰ったがね。領主権限で。ってか、そもそも王命な訳だし。


 で、毎日ほぼ徹夜で背景やら、人物以外の絵を描いてくれてたアシスタント達、その一人であるハティの隣で、まるで自分の事の様に嬉しそうに二人でソレを読んでいらっしゃる。ナチュラルにハティの隣に座る辺り。ルールールー、恐ろしい娘!!


 まぁ、文官に関しちゃルールールーに責は無いのは分かってるんだけどもさ、説明位されてても良かろうかと。


『【弁明】下手な紐付きではない、ちゃんと教育を受けた人材と言うのは中々いないのだと彼女は言っていました』

『【追加】文官出来るくらいに教育を受けてる人材なんて、すでに唾付いてるか、紐付いてる奴等ばっかりなのデス』


 そう言うもんか。まぁ、考えてみれば当たり前か。そうなると、今、教育してる連中が育ってくるのを待つ方が現実的って事か。そうか、残念だ。

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