アシスタント
「え? ハティ兄!! ハティ兄が来たの!?」
「お、おう、久しぶりだな、ルー」
おやおやぁ? 何か二人の世界を作ってますが? ルーガルー翁に『手先が器用で絵心のあるやつプリーズ』って言ったら送られてきた青年。
その青年とルールールーが顔を合わせた途端に、固有結界を構築して下さりやがった訳なんですがね。
『【興味】これは所謂、幼馴染と言うやつだと推測できます』
『【津々】それも、久しぶりに会ったってやつデスゥ』
「むふぅ」
「ラブコメ、キター!」
「こ、恋人だったりするんでしょうかっ!」
『じつにきょうみぶかい』
やはり皆もそう思うか、俺もそう思う。思わずミカとバラキを撫でる手にも力が入るってもんだわ!!
……いや、ついうっかりスルーしちまったが、ラミアー、ラブコメて、分かってて言ってるんか? この世界にラブコメって概念があるのんか!?
多分二人の関係についてはルーガルー翁も認識してるんだろうがね。道理でルールールー経由じゃないんだな、とか思ったわ。サプライズのつもりか? あのクソ爺ぃ。
確かに興味深くはあるんだが、今はそんなことを言ってる場合じゃぁないんだわ。何せ、王命で、この国の建国記をマンガ化せんとあかんのだからな! 時間がないんじゃぁ時間がぁ!! 輪転機止めてても許されるのはベレー帽の御大だけなんじゃぁ!! この世界、まだ輪転機なんぞないんだがな!!
ただ、家のマトスンやドワーフ連中のオーバーテクノロジーっぷりを見てると、早々遠くない未来に出来てそうなんよな。輪転機。
もう面倒臭いし、二人はこのまま放置するか。アシスタント候補生はまだ二人居るし。
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ルーガルー翁に紹介されて来た二人は、こっちの要望通りに、絵心があって手先が器用な人材だった。
ひとまず何やるのかって事が分かってないと、どうして見ようも無いんで、取り敢えず、自分達が最終的に作り上げなけりゃならん物を認識して貰う。って、言ったって、マンガ読ませたってだけだけんどもよ。
その上で、実際に作っている様子を見て貰う事にした。つまりは建国記を読み込み、それをネームにする。この時点でファティマと歴史編纂部からの助っ人にチェックして貰い、修正。その繰り返し。やってるこっちはヒーヒー言いながらな感じなんだけんどもよ、こんな、見た感じ普通ってか地味な作業を見続けさせられてる二人はどう思ったか、ちょっと心配。
「なる程!! こうやって、あの本の話を考える訳か!!」
「わたしに出来るかなぁ?」
うん。思った以上にマンガに前向きだったわ。ルーガルー翁も、良い人材を送ってくれた!




