そういう事に成った
その皇国が来るのと、俺達が呼び出された理由が結び付かないんじゃが?
あーいや、予報はつくんだか、まさかねぇ……
「うむ、お前達には皇国の皇子達のホストを頼みたい」
そのまさかだった!! やっぱりなのか!! だが、納得は行かん!! 何故俺!? 他に居るじゃろがさ!!
そんな俺の魂の叫びに気が付いたのか、国王がニヤリと笑う。
「家格の釣り合う者で、年齢の近しい者がお前達しか居らんのでな」
あん? いや、確かに家格とすれば、公爵家子息に準じる地位にはなるし、侯爵家子息よりは相応しいんだろうが、俺、6才なんですけれども!?
「年齢が、ですか? 父上」
「うむ、皇国の皇子達は、一番上の第一皇子が25、一番下の第三皇女が15才なのでな丁度良かろう」
いや、何が丁度良いのか……15才?……あっ!! ああ!! 俺の公称の方の年齢か!! そうだったわ!! 俺、16才設定だったわ!!
加えて、他の公爵家、年齢で言えば、その上か、下しか居ねぇ!! 身近な例でいえばジャンバルディー君6才とかとか!! その上で、ホストと成るなら、男性の方が望ましいって言う共通認識ががが!!
男尊女卑な気もするが、この世界じゃ、外に出て働くって事に関しちゃ男性比率が高いせいもあって、特に貴族は『エスコートをするのは男性の方がより敬意を持っている』とかって認識が一般的だったわ!!
市井に下れば、冒険者の中にゃ、女性も結構いるんだが、流石に貴族となると流石になぁ。
そんな偏見のせいもあって、公爵が冷遇……とまではいかなくても『あまり彼女に興味が無い様だ』ってんで、第二夫人も元王女なのにもかかわらず、下に見られて来たんだし。いやまぁ、それに関しちゃ第一夫人の意向もあったんだろうけどさ。家の内部仕切ってるの、あの女だし。
いや、それは置いといて、つまり適当な人間がこの三人だったって事か!!
「し、しかし父上!! 我々は兎も角、トール殿は元平民で!!」
おお!! ここで第二王子の援護射撃か!! いいぞ、もっとやれ!!
「だからこそエスパーデル第二公爵夫人に、礼儀作法の教師役を頼んだのだ。彼女は元王族なのでな」
「エスパーデル第二公爵夫人に……」
国王が第二夫人に、俺の礼儀作法を頼んだのってのは、そんな意図ぉ!!
第二王子も、『それなら仕方ないのか?』的に引っ込まんで! もっと強く出れんのか!?
俺? 家臣なんで、本来なら拒否とかできん立場なんよね。ただ、俺自身は、単独でそれをひっくり返せるだけの暴力がありはする。だからこそ、国王様も、未だに“命令”と言う言葉は使ってこない。
それに多分だが、本来なら“俺”と言う存在を他国の、それも、引き抜きをできる様な相手に近付けるのは、やりたくは無い事の筈なんだ。
それは俺を引き抜かれるってぇ危険性が高くなる行為だからな。
自惚れでもなく、国王様は、俺と言う戦力を他国に持っていかれるのは嫌な筈なんだ。何せ、その暴力が、自分達に向かう可能性が高くなるって事なんだから、国のトップってぇ立場からしてみても、勘弁してほしい事だろうさね。
それでもこうして言い出してるってぇ事は、皇国から、『ドラゴンスレイヤーに会わせて欲しい』的な事を言われたか何かしたんだろう。
実際、国力的な部分を見れば、皇国は圧倒的だからな。もしかすれば圧力とかかけられてるかもしれん。
そう言ったことを考えても、困ってる知り合いが居れば、力を貸してやりたく成るってぇもんだろう?
まぁ、俺が身内に甘いって事は否定できないがね。




