侍女さんへ
時間が取れず、短くなってしまいました。
申し訳ない。
「……だとしても土下座は止めてくれねぇかね。外聞が悪すぎる」
ってか、魔法の無駄使いが過ぎるわ。何、俺についてきてる間、ずっとあの状態でいるわけ? 今は人の居ない平原やら森の中で活動してるけど、都市部に行ってもアレを続ける気なん?
「でしたら、せめて仮面を」
なんでやねん。ってか、仮面を着けるくらいに恥ずかしいとか思ってるんなら、土下座止めれば良いじゃんかね?
「着けていただかないと」
俺がかよ!! なんでだよ。って、『ご尊顔を~』とかって言ってたっけか。だとしても俺が仮面を着ける意味とかねぇじゃん。そこは伏せ目がちにして、こっちを直視しないって事で良いじゃねぇのか?
『【憤懣】どこに主に自身の都合を押し付けるが僕が居るのデス。不敬過ぎデス!!』
誰が主で、誰が僕か!! いや、セネスさん、アンタも何で、『自分はなんて事を』みたいな表情に成ってるのかな? お前さん、別に俺の僕じゃねぇだろうが!!
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いや、俺達に敵対しない様に調きょ、じゃなくてOHANASHIしたら、聖女様んとこに帰すよ? セネスさん。だって元々、彼女ん所の侍女さんなんだし。
「えっ!?」
なんでセネスさんが驚いてるのか、俺には理解出来んのじゃが!?
「しかし! 真にお仕えするべき相手が分かったのですから!!」
「そもそもとして俺は仕えてくれとか一言も言ってないんだが?」
「そんな!! わたくしの体をあれだけ良い様に弄んでおいて!! 今更捨てるというのですか!!」
言い方!! それに、弄んでねぇよ!? OHANASHIだよ?
「そもそも、あんたは聖女様ん所の侍女だろう? 正式に向こうを辞めたってんなら兎も角、このままなし崩し的に家に来られても迷惑なんだよ」
聖女様には、セネスさんの根性叩きのめす的な事は言ってある。その時は『どうぞどうぞ』ではなく、『むしろ喜んで!!』的に歓迎されたんよ。
聖女様達的にも、セネスさんの強引な行動は、問題だとは認識してたって事みたいだな。いや、問題ありだとか思ってたなら何とかしとけと俺は言いたい。
結局、誰も指摘しなかったから、あの侍女さんもやって良い事と悪い事の線引きが出来なかったんだろう。
聖女様ですら、まともに自分に意見が言えないとか思ってたら、増長するのもある意味仕方ない事なのかもしれんわ。




