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裏舞台での暗闘の考察……って程、高等な事を考えてる訳じゃない

「そのっ上でっ! 奴は弱者としか戦おうとせんっ!!」


 基本強い奴と戦いたいバフォメット的には譲れん所なんだろうな。ここ。

 って、事は2度目の襲撃時は勝つつもりでいたって事か? にも拘らず、撃退された、と。


「あぁ、俺達がムシュフシュの相手をしたからか」

「うん? どう言う事っだっ?」


 俺の呟きに、バフォメットが反応する。


「あ、うん。多分だけどな?」


 恐らく、一度目の襲撃ってか、正体を看破されて戦いに成った時も、魔導騎士団は居た筈なんだ。戦闘力って意味じゃ、あの引きこもり帝はそれほど高くはないだろうし。多分、チェアーディテクティブタイプだと思う。『全ての“可能性としてあり得ない事”を除外して、最後に残ったものが、如何に奇妙な事であってもそれが真実である』とは言ったとしても、『真実は一つ!! 犯人はこの中にいる!!』とかって言わない方。

 まぁ、それは兎も角として、魔導騎士団込みで撃退されたんだとしても、相手が皇帝()()って事なら、勝てるとか思ったんで、ベリアル軍団を動かしたんだと思うんよね。

 配下だって言う魔族は居るし、隊列を組んで行軍する魔物なんて物を見りゃ警戒感は高まるし、万が一ってぇ可能性だって出てくる。

 そうなれば魔導騎士団を派遣するしかなくなるんで、皇帝の周辺は手薄になる……ってぇ考えだったんだろうが。


 だが、皇帝。即座に冒険者集めて対処させる事にした訳だ。魔物相手なら、多分、騎士団より冒険者連中の方が慣れてるだろうし。

 ベリアルの性格的なものを考えると、行軍は一糸乱れぬって感じだったとしても、それ以上の命令なんざしておかんだろうから、いざ戦いって事になりゃ魔物達は連携なんざしては来ないだろう。ましてや現地で指示とかしないだろうし、ベリアル(あいつ)

 冒険者で片が付くとなりゃ魔導騎士団を派遣する意味って物はない。つまりは、魔導騎士団は皇帝に張り付いたままってぇ事になる。それはつまり、先に撃退された時と条件が変わらない。


 だからこそ、恐らく、虎の子だったであろう竜種(ムシュフシュ)を投入した。確実に魔導騎士団を離れさせる為に。

 多分、竜種の目撃情報ってのも、ワザと流したか、目撃させたか。


 だが、クロニクル帝は、さらにもう一枚カードを切った。それが俺達って訳だ。ドラゴンにはドラゴンスレイヤーってこったな。

 俺を単独で城に侵入させたのも、ベリアルサイドに俺って言う存在の情報を渡したくなかったからって事な訳だ。


 そしてこの知略合戦は、クロニクル帝の方に軍配が上がった。

 いや、知略合戦って程、知力を尽くしちゃいないんだけんどもよ。


「なる程?」


 俺の話を聞き、バフォメットが方眉を上げる。いや、ちゃんと理解したのか? コイツ。決して知能的には悪くないんだが、興味の無い事に関しちゃ、まるっきし右から左だからなぁバフォメット(こいつ)


 そして本来なら、クロニクル帝の本命はバフォメット、てか、S級冒険者のテモ・ハッパーボだった筈だ。

 コイツに断られたからこそ、俺にしたんだし。もう一人のドラゴンスレイヤーにさ。

 この国ではってか、国王(セルヴィスおじさん)は、俺を祭り上げてはいるが、他国からすればプロパガンダにしか見えんだろうさ。『家にはこれだけ強い人間がいますよ。味方に付けた方がお得ですよ』ってな感じの。


 だからこそ、俺達に、それほど期待なんざしてなかった筈なんだ。それこそ、『ベリアルを退けて、魔導騎士団が駆け付けるまでの間時間を稼げれば』程度にしかな。


 だからこそ、俺達で倒せた事に驚きもしたし、あんなに直ぐに駆け付けられたりもしたんだろうさね。


 そんなことを考えながら、俺は長く息を吐く。

 目の前の、まんまと政治的思惑から逃げ切った魔族を若干恨みがましく思いながら。


 

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