世界観がなぁ
「魔導帝国の事に関しては、国王様も騒動が有った事は認識していましたが、その詳細までは確認出来ていなかったそうです」
成程? それだけ秘密裏に事を運んでたって訳だ。魔導帝国皇帝さんは。
だけど、魔族軍団が押し寄せて来るから、なりふり構わず援助を求めた、と。
その辺りの思い切りの良さは流石って所だわ。フットワークが良いって言うのか、腰が軽いって言うかね。
変に拗らせてる様なお偉いさんだと、散々国民に被害が出た上で、自分達が致命的な状況に成らんと動かなかったりするからなぁ。無駄にプライド高くて。
「だとしても、だ。例え推薦があったとしても、他国の高位貴族に指名依頼するかね? まさか、知らん訳はないだろうし」
これが貿易とかだったら、まだ分かるんよ。それだけの権限が与えられてるからな、領主。
ただ、これが戦力としてって事になると、まるっと意味が変わっちまう。
特に俺、辺境伯だからね。国防の一端を担ってると言っても良いのよ。もっとも、その国境線に隣接してんの友好国だから、根本的な所で機能して無いんだけんども。大森林内の間引きは冒険者居りゃぁ何とかなるし……あれ? 俺抜けてても何とか成るんか?
「だからこそ、冒険者ギルド経由だったのでは?」
「ん?」
あーそう言う名目ね。依頼を出したのは冒険者のトールさんであって、トール・オーサキ辺境伯ではない、と。
噂で、良い冒険者が居ると聞いて、ギルドに依頼を出しました。けど、それが辺境伯の事だったとは。いえ、もちろん知りませんでしたよ? まさか、他国の貴族だったなんてって感じかね。
だとすると、時間差で国王様の所には連絡が行ってるって所かね? 多分、今頃王宮の方に魔導帝国からの使者かなんかが行ってるんだろう。内密に。
『オーサキ伯を貸してくれたら、何か良い感じのお礼するからヨロ。勿論こっちは冒険者のトールくんを借りるって事で、特に辺境伯だっただなんて知らなかったって体でね』って感じで。
俺個人としては、ベリアル討伐は受けても良いとは思ってる。結局の所、スタンピードみたいなもんだし。
あの後、バフォメットにもうちょっと詳しく話を聞いたんだが、ベリアルの軍団ね、その構成員ってか軍団の内容が、殆ど魔獣らしいんだわ。成程、手下の魔族が72柱しか居ないのに、80の軍団とか率いられる訳だ。
つまりベリアルって魔族は、テイマー系魔族って事なんだわ。
いろんなタイプが居るよね、魔族って。
『魔獣をっ狩る事に関してはっ!! 吾輩が、ライッバル!! トールにっ! 一日の長があるっでっあろう!!』ってのが、バフォメットが俺を推薦した理由なんだわ。うん。なんか納得しちまったよ。
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結論から言いますとね。はい、来ましたよ魔導帝国。
「おお~」
「うむ」
『【成程】これまで訪れていた国とは趣が違いますね』
『【納得】遺跡から出たアーティファクトを上手く使いこなしてる感じデス』
「ふわぁ!!」
『なんか、ちょっとあわないかなぁ』
「アオン?」
「わんわん!!」
「オン? アオン!!」
「ワオン!」
なんだろう、古いアニメの未来都市感。文明レベル可笑しくない? こう、ガラス張りっぽい建物とか、地面から浮いてる乗り物っぽい物の数々とか。
アレだ、新大陸のダンジョンも違和感バリバリだったけど、ここはそれ以上って言うか。
アレだよね、家のキャンピングカーくらい何の問題も無いよね。てか、むしろ、このビジュアルで人々の服が中世っぽいのがむしろ違和感があるわ。
魔導帝国ねぇ。何だろう、この色物感は。
もう、色々と不安しか無いんじゃが!?




