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ゴッドなファーザーただし実父ではない

 新大陸の方行ってる間に、すっかり暑い時期は過ぎてたんよね。まぁ、過ごしやすくて良いけど。


『な~ま~え~な~ま~え~な~ま~え~!』


 帰ってくてから半月ばっかしは机に齧り付いて執務に励んだ訳だが、それも一旦落ち着いた訳だ。まぁ直に収穫時期なんで、書類仕事が増える事には成るんだが。


『つ~け~て~つ~け~て~つ~け~て~!』

『【苛立】煩いですね。マスター、始末する許可を』


 せっかくスルーしてたんだから反応するんじゃありません! 反応するから調子に乗るんですから。

 分け御霊ね、こっちに来てから何か、名前欲しがるんよ。まぁ、名前を付けると“魂の絆”が繋がるらしいから、それ狙いだとは思うんだが、ただねぇ俺と“魂の絆”が繋がったとしてそれが何に成るのかってのが先ず分からん。ファティマ達みたいに【念話】とかできる様に成るんかね?

 だとしても分け御霊(こいつ)と念話が出来る様に成る事のメリットが全く思いつかんのじゃが。


 もっとも、【念話】に関しちゃ、聖武器の仕様の可能性が大きいんだが。だって、名前を付けて“魂の絆”が結ばれて【念話】が出来るって言う話なのなら、ミカやバラキ達、犬達やイブと【念話】が出来ていないってのが先ず可笑しいって話だし。


 (ミカ)達とは言葉が無くても何と無く言いたい事が分かる気がするが、それは【念話】みたいな物ってより、お互いの考えてる事が“読める”ってだけの話なんだし。


 執務室には今、仕事中の俺と、何時もの様にソファーにラミアー。ファティマが給仕の為に侍っていて、ミカとバラキが俺の足元で寝転んでいる。で、分け御霊が俺の纏わり付きながら『名前くれお化け』と化している訳だ。


 因みにイブは普通にメイド業をしていて、ジャンヌは俺が集めた本を読み漁っている。アーカイブに知識をため込む為らしい。魔人族国では聖弓と聖剣も暇を見ては蔵書を読み漁ってるらしいわ。ただなぁ、アイツ等、自分に興味のある物しか読み込まんから、内容がえらい偏ってるのがなぁ。


 まぁ、それはそれとして。


「なんで、そんなに欲しがるんよ」

『だって、みんなもってるのに、あたしだけないとか、なかまはずれ、いやだし』


 そんな理由かよ。“魂の絆”全く関係なかったわ。


「いや、そもそもお前、竜樹とかって名前じゃないんか?」

『それはほんたいの! あたしのことじゃないから!』


 え~、分け御霊だろ? だったら名前とか同じじゃないんか? 前世のソレだと、お稲荷さんとか、何処に行ってもお稲荷さんだったじゃんねぇ?


「だったら、付けたい人とかに付けて貰えよ、何で俺なんだよ」

『だって、あたしのかみこじゃん?』

「え? その設定引っ張るの? ってかお前のじゃねぇし、波長が合う云々って話なら、ラミアーだって同じじゃん?」


 そう言って、ラミアーの方を見たんだが、おいコラ、目ぇ逸らしてんじゃねぇよ吸血姫。


『だぁめぇ、あたしがみそめたの、とーるんだけだよ』


 『とーるん』ってのは俺の事か? まぁ良いけど。


『【論外】ふてぶてしいにも程があります。泣いて屈した分際でマスターを上から目線で指示しようなど』

『むきぶつにまけたんじゃないもん』


 何、張り合ってるかなぁ。同じ古代文明の遺産同士で、何か思う所が有るんかね? そもそも泣いて屈したのはファティマも同じな気がするんじゃが?

 どうでも良いが俺を挟んで火花飛ばしてんじゃねぇよ。書類が破れんだよ。


「やめれ、ここで暴れるならおまいらOSHIOKIだかんな?」

『【了解】サー! イエス! サー!』

『ぎょい!!』


 俺の苛立ちが理解できたのか、二人が大人しく頷いた。

 しかし、仲間外れが嫌だから名前が欲しいねぇ。


「まぁ、名前を付けてやるのは構わないんだが……」

『ひゃっほー!』

『【愕然】マ、マスター!?』

「ファティマ、人間社会だと、名前が必要に成るんだってのは、前も言っただろ? それとも、分け御霊(こいつ)に名前を付けると、何か拙い事でもあるのか?」

『【否定】い、いえ』


 この反応、な~んか、言ってない事とか有りそうだが、まぁ、良い。今更、ファティマ達が俺に害を成そうとしてるとか思わんし。

 ただ、何かラミアーも微妙な表情をしていらっしゃる。コイツもあまり、分け御霊に名前を付ける事には賛成できかねるっぽいわな。

 それでも黙ってるってのは、俺の判断の方を尊重してくれているって事でもある。


 なら、とっとと付けっちまうかね。


「生命の木とも言われるセフィロトから取って、お前の名前はセフィで」

『せふぃ、せふぃせふぃせふぃせふぃ……うんうん! きにいった!!』


 生命の木(セフィロト)って程立派な感じじゃないからな。そもそも分け御霊だし。そんな理由なんて事はおくびにも出さず、俺の付けたセフィと言う名前を、何度か口に出して繰り返し、やがてニンマリとした表情でそう言った。


 まぁ、気に入ってくれたんなら良かったわ。

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