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君達の望んだ戦争だ

 国王様(セルヴィスおじさん)からの回答は『良きに計らえ』だった。


 好きにして良いぞ、と。


 いつも思うんだが、ルールールーん所の情報網ってどうなってるんだろね? 聞きに行った翌日に回答が返って来るって。レスポンス良すぎ問題。

 普通に旅してたら2ヶ月以上は優に掛るんだがね? デストネーチェ王国の王都までさぁ。

 まぁ、風魔法使って声を届けてるってのは分かるんだが、それだけじゃねぇよな? 何か機密手段が有るんだろうさ。


 それはさて置き、好きにしろってんなら、好きにさせてもらうさね。こんな内戦、時間かけるだけ無駄だし。

 そもそも、自分の所で足りないから他所から奪って来ようって考え方は嫌いなんよね。

 確かに自然界って所は弱肉強食さね。ただ、それらってのは、飽くまでお互いの命が担保で、本能的にどちらもソレを了承してるってぇ前提がある。そう言う意味では弱肉強食ってよりか、食うか食われるかって方がしっくりくるんだが。


 動物の中には弄んでいる様に見えるヤツも居るが、それだって実は、次の狩りでもっと上手くやる為の練習だったり、臆病さ故に、入念に相手を弱らせているだけだったりして、人間的な弱者を甚振(いたぶ)って愉悦を得る、なんて阿呆な思考からって訳じゃぁない。


 今回、軍部と周辺侵略に賛同してる貴族連中は、自身らの発言権を高めたいってぇ思惑があるくらいだから、決して自身の命を担保にしたいって訳じゃないだろう。

 『自分が死んでもお国は~』なんて殊勝な考え方してるって訳じゃないって事だ。

 ただ単に、自身がうまい汁を吸いたいってだけの連中なんだろうさ。

 周辺諸国に対しての発言力を高めるだけだったら、技術力を磨くでも、特産物を作るでも、やり方なんざ幾らでも有る。

 にも関わらず、侵略戦争なんて手段を選んでる時点で、目先の利益にしか目が行ってないってぇ証拠でもある訳だ。


 そんな輩に遠慮も慈悲も必要無いじゃろ。

 言質は取った、GOサインも貰った。なら味あわせてやるさ。戦争なんて起す気が無くなる程の恐怖ってヤツを、な。


 ******


 王都までの道のりは、それなりに問題無く進む事が出来ている。何せ、国王本人が存命な挙句、本人がクーデター起した軍部と貴族連中を逆臣だって喧伝してるんだからよ。

 対立する=逆臣に成るって形に成るんだから行く道なんざ塞げませんて。


 まぁ、これも公爵の工作が有ったからなんだろうけどな。それでもこっちを『王を騙る不心得者だ!!』とかって襲って来る領主とかも居るんだがね。


「【全能力発動(オールアップ)】!! からのお!! ファティマアアアアアァァァァァァァ!!」

『【了解】サー!! イエス!! サー!!!!』


 国王軍を背後に、俺は単騎で前面に出る。サウペスタ王には『例えドラゴンスレイヤーが居るって喧伝してみても、その力を直に見なけりゃ半信半疑でしょう。なので、一番最初の戦いは自分にやらせてください』とか何とか言い包めて。


 たった一人で出て来た俺に、向こうの領主軍はやや困惑気味だが、ならばこそ、御照覧あれってもんだわ。


「ケルブ!! そして【エクステンド】!! しての全噴射ァァァァァァ!!」


 オファニム装着からのケルブとの合体。その上で【噴射口(ノズル)】を【エクステンド】しての超加速。


「!! き、弓兵!! 撃てぇ!!」


 単騎駆けの超高速じゃぁ、流石の弓兵もまともに当てる事なんざ出来んよ。ましてや歩兵の後ろからの弓なりの矢じゃな。

 超加速からの接敵。眼前に居る300人程度の歩兵をファティマをぶん回す衝撃だけで薙ぎ倒し、薙ぎ払い、打ち倒す。

 どこぞの無双するゲームの様に歩兵が吹き飛び、ついでに弓兵も巻き込まれ、押し倒される。

 相手の軍のほぼ中央まで入り込み、混乱している内にプラーナを練る。

 濃く濃く濃く濃く、速く速く速く速く!!


「行くぞ!! ファティマッ!!!!」

『【了解】サー!! イエス!! サー!!!!』


 足元から膝、腰、胸と来て、両腕へと威力を伝える。

 振りかぶった聖斧(ファティマ)に全身全霊を乗せ、それを大地に叩き付けた!!


 ドッッッゴオオオオオォォォォォン!!!!!!


 土埃が舞い、轟音が響く。衝撃で周囲に倒れていた兵士達も吹き飛ばされる。

 俺は、土煙を切り裂く様にファティマを一閃させ、周囲の視界を晴らす。そこにあるのは巨大なクレーター。その底から加速して飛び上がると、そのクレーターの縁へと降り立った。


 周囲を見回せば、敵味方区別なく驚愕、驚愕、驚愕の表情。


 おいおい、ドラゴンスレイヤーの力を貸してくれつったの王様だろう? 何で皆と同じ様に驚いた表情してるかな? 俺の力を借りるってのは、つまりこう言う事なんだぜ?


 俺は残ってる敵兵を一瞥し、一歩前へと足を出す。敵兵の顔色が途端に悪くなる。そうしてもう一歩。ガチガチと言う派の音がかみ合わないような音が、あちこちから聞こえ始める。そしてさらに一歩。恐怖に耐えられなくなった兵士が後退り、そしてついに踵を返す。と、他の兵士達も一目散に逃げて行く。


『【流石】【威圧】もなく恐慌させるとは』

「まぁ、取り敢えず、ドラゴンスレイヤーの威は見せられたかね?」

『【当然】存分に』


 取り敢えずは上々と言った所か。どうでも良いけど、唖然としてないで、残ってる兵士の後始末をしてくれんもんかね? サウペスタ王さんよ?

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[一言] なんかサブタイがガンダムXっぽくない?ぽい?
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