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現地着任

「王族の方は、四方の塔にバラバラに幽閉されている様です」


 サウペスタの町並みを見下ろす丘の上でルールールーが、そう報告をしてくれた。


「一人を助けても、他が人質にってぇ事か」


 つまり助けるなら全員一緒にって事な訳だ。クーデターまでして王城を乗っ取ったにも関わらず、王族を幽閉に留めているのは、血の正当性を知らしめるためらしいんだわ。

 全くの武力断行で、今後を推し進めれば、どうしたって反発する貴族も出るし、周辺諸国に攻撃の理由を作っちまう。特に同盟国だったり王族同士の婚姻を結んでる所だったりからな。

 王族が生きている限りは、代理とか、代行ってぇ言い訳ができる。それに、王族派に対しての人質的な意味合いもあるんだろうさね。『王族の命は握ってるぞ、下手なことすりゃ、分かるだろ?』ってな。

 脅しの為に殺すって事まで考えりゃ、そこそこ人数は確保しときたい所だろうからな。


 今回、案内役としてルールールーが俺の所に送られてきた。まぁ、そもそも、この娘、ルーガルー翁から預かってるだけの子なんで、俺の部下って訳でもないし。それでも顔見知りの方がやり易いだろうって考えたんだろうな、国王様(セルヴィスおじさん)


 国王様も、流石に兵は兎も角、影は貸してくれるつもりはあったらしいわ。話聞くまで、一人でやらされんのかとドキドキしたもんよ。

 俺がサウペスタに到着するまでは、彼女の一族が、色々と調べてくれていたらしい。向こうに気取られない範囲で。


 『なので、主だった王族の軟禁場所位しか調べられませんでした』と言うルールールーだが、それだけでも充分だろうとか思うのは、俺が甘いんだろか?


「それと、税を上げ、徴兵も行っている様です」

「まぁ、当たり前だな」


 これから戦争を行おうってんだ、軍事費を上げ、兵を増やすなんて事は当たり前だな。それでも、嫌気だけで反発が無いってのは、そこそこ政治的な視点でのバランス感覚ってヤツを持っているのが仲間の中に居るって事だろう。


 前世で読んだラノベみたいに、クーデター起して、好き勝手やってってぇ展開にはならなかったらしい。まぁ、そもそも、このクーデター自体が自国の食料自給率上げて、周辺諸国に対する発言権を高めたいってぇ意図が有ったっぽいし。


 まぁ、ソレに加担した軍部については、その過程で起こる戦争で手柄を上げる事で、軍部の権威を押し上げたいって思惑がある様だが、実際戦争が起こったら、その分の国力がその都度落ちるって事には気が付かんのかね?

 まぁ、その補填の為にも国土を切り取らんといけんのだし、切り取った部分で生産性が上げられるって、計算なんだろうけどさ。


 ただ、切り取った所で働ける人間がいなければ生産力なんざ上がらんのだがね。それとも、住人ごと迎え入れるつもりなのか。

 まぁ、ここまでのやり方を見てると、そう言った算段もしている様な気もするがね。


 見ている限りは計画的で真っ当な方法を選ほうと思ってるっぽい相手に見えるけど。そもそもクーデターを起こすって時点で真っ当ではないんよな。

 それとも、それを選ばなけりゃいけない位に追い詰められてたのか……


 いや、それは無いな。国力を上げようって愛国心がちょっと暴走しただけなんだろうさね。そう言う事にしといた方が心が健全で居られそうだし。


 これ以上、魔窟の事に思考を取られてる訳にも行かん。


 さて、どう攻略したもんかね。

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