王様からの依頼
有り難い事に、これでこの物語も一年間続ける事が出来ました。
今後も、同じ様なペースで続けて行きますので、引き続きお楽しみいただければ幸いです。
戻って来て早々に登城命令。なんじゃらほい?
しかも今回は極秘でって事なんで、単身、ケルブに乗って。お供はファティマ、ミカ、バラキ、ウリのみ。
イブですら御免なさい。取り敢えずジャンヌと修行していてほしいとお願いして。
ラミアーも付いて来ようとしたんだが、そこはもう、膝突き詰めて説得させて貰った。
当然だが分け御霊も留守番。こっちは、ごねにごねたがSETTOKUさせて貰ったわ。
まぁ、こいつの場合は栄養摂取にダイレクトに関わるんで分らん事もないが、流石に連れて行くって訳にゃいかんからな。
魔力からの逆変換でプラーナを抽出出来る装置をファティマ達が遺跡使って作製。変換効率、ものっそ悪いけど。
これで、飢えない程度には、補給が出来る……ハズ。
他の人間とのコミュニケーションは、ラミアーを介して……とか思ってたら、普通に喋ってるのな。
「え? いつの間に」
『なんで、ヒトがたになったと、おもってるかな~』
あぁ、人間態で魂分けたの、そう言う理由? 人間の声帯手に入れる為だったのか。そう言えば、滝ん所でおひねり集めてたっけか。
俺とした事が、イブの魔法の方に意識が行ってて、気付かんかったわ。
あれ? じや、そのツモリが無かったら、あの触手状態のが付いて来てたって事か?
危ねぇ危ねぇ、色物集団が、さらに色物に成る危機だったぜ。
いや、今更、触手が一本増えても、あんま変わらんかったかも知れんが。
ともあれ、王都へGO!
******
「サウペスタの王族を助けに行って貰いたいのだ」
何処よ。国王様の言葉に首を傾げる。そもそもの場所が分からん上に、王族を助けるって、どゆ事?
「うむ、サウペスタは、この国より東へ行った国でな、そこで軍事クーデターが起こったのだが……」
まぁ、国王様の話をザックリと纏めると、サウペスタで軍事クーデターが起こりました。王様達が捕まって軟禁されていますので、それを助けてきてください。そう言う事。
まぁ、その後、臨時政府とか打ち立てて、反抗しようってんだろうけどさ。なんでも、既に“元”なんだろうけど、国王の第一王妃が国王の従妹なんだとさ。
まぁ、理由はそれだけじゃなくて、軍事クーデターって事で、軍部が反乱を起こした訳なんだけど、どうやら、軍部はそのまま国土拡大路線に乗り出したいらしいんだわ。
サウペスタってのは輸入大国で、特に小麦なんかの主食を輸入に頼ってるから、その主食を自国で生産する為の土地を得たいって事らしい。
そんなもん、開墾して手に入れろやと言いたい。
で、国王様は、近隣でそう言った侵略戦争を起こされるのは困るって事な訳だ。臨時政府の方に支援してでもなぁ。家の国が、その小麦のメインの輸出国だってのも関係してるんだろうがね。
それは兎も角。
「何で俺?」
「個人で一軍に匹敵できる戦力なぞ、お主しか知らんのでな。それに、お主は冒険者でもあろう?」
「D級だけどな」
「王都のギルド長が頭を抱えておったぞ? 『ドラゴンスレイヤーの上にスタンピートの英雄なのにD級から昇級してくれない』と」
いや、だって、いらんやん。これ以上なんて。
「国として手を出せば、それはそれで困る事になる。だが、冒険者なら、個人で動いていても問題は無い。それに、お主なら要人の救出にはうってつけであろう?」
いや、俺、辺境伯でもあるんじゃが? それに何がうってつけなのか、と、首を傾げた。
と、国王様がニヤリと笑う。
「お主、公爵の館にも潜り込める程の手練れでも有るのだろう? あそこの諜報部隊は、ウチの影でも手を焼くのだぞ?」
その情報元! ルーガルーの爺かぁ!!




