ただいまと言える場所
メエメエとキマイラ達が集まって来て移動している。その中心で取り囲まれてる娘さん達は、青い顔で卒倒寸前な感じ。けど、そっちの馬車はノンステップ仕様なんで、いくらでも寝転びなさいな。
いくら俺が『平気だ』と言った所で、2m越えの巨大生物に取り囲まれてれば安心なぞ出来んわな。
もっとも、上に突き出てるソレ、ダミーヘッドだから、実質120~30cm位なんだがね、頭の位置。見えんけど。
先頭を行くキマイラリーダーは、むしろなんか誇らしげに進んでいるわ。流石は野生生物。こっちが上位者だと判断すれば結構な従順度。
『【訂正】あのキマイラは、かなりの感じでマスターに懐いて居ますよ』
マジか。そんなに構ってた訳じゃないのに何処にそんな要素が?
『【推察】絶対王者に身の程を知らされて、死すら覚悟したにも拘らず、命を救われて優しくされたんでコロッと行ったデス』
チョロインかな? 食べる訳でも無く、そもそもこっちが領域に侵入したって事も有って、殺す気に成らなかっただけなんだが、そうか、そんなにか。まぁ、これがゴブリンとかだったら問答無用で狩り尽くしてたがね。
だってあいつ等、態々街道やら村やらまで出て来て人襲うやら畑荒らすやら。その上で下手な動物なんかより強いって言うね? 何と言うか魔物だからと言うよりは害獣扱いなんよ俺の中では。
これで狩り尽したら何か問題が有るかって言われると、他の魔物達は、あんまゴブリン捕食しないし、かと言って、ゴブリンが他の害獣を捕食するかと言えば、そうでも無いし。ホント、迷惑なだけの魔物ですわ。
これだけ発見必殺してるのに減った様子が無いって所がゴブリン七不思議の一つなんよな。
後の6個? 知らん、自分で見つけてくれ。
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キマイラ達の盛大なお見送りで、“扉”のある洞窟へと飛び立つ。文字通りに。ラミアーの【念動力】で。
これで娘さん達の殆どが気を失ったわ。元気だったのはユーカリア。U〇Oにハマってる娘さん。ただし、自分で作ろうとかは思って無いっぽい。どちらかと言えば、今回俺達と旅した事で、冒険者を目指したくなったっぽい。
今回は完全な旅行だったけど、実際の冒険者生活って、こう言うんじゃねぇからな?
それについては訓練しがてら、教えて行くけどさ。
まぁ、成りたい物が無いより有った方が良いだろうしなぁ。
そんな感じで“扉”を潜る時に起きてたのは俺達の他は分け御霊とユーカリアだけだったけどさ。
家の遺跡に着いてからは、特に問題なく屋敷の方へ。
「まぁた、新しいハーレム人員増やしたの? トールちゃんは!!」
「名誉棄損も良い所だわ!!」
そもそもハーレムなんぞ作っとりゃせんわい!! 仕方ないなぁってイントネーションでキャルに言われたが、心外にも程が有る。
「その言い方だと、おまいたちもハーレムっ要員なんじゃが!?」
「え? そうだよ」
何その驚愕の事実。
「ハーレムなんぞ作って無いからな!?」
『ハイハイ』みたいな目で見ないで貰えます!?




