前世は金曜日にはカレーだったトール・オーサキです
ヒャッハーー!!!! 新鮮なカレーライスだぁ!!
カレー粉自体は前々から研究を重ねていたが、米が手に入った事で、カレーライスは完璧になったのだぁ!!
パーフェクトカレーライス!! 略してパフェカレー……あれ? 美味しいのかソレ?
ナンも好きなんだが、日本風のトロリとしたカレーには、やっぱり米が合うと思うのよ。んで、野菜はゴロゴロ系。肉だけは薄めのバラ肉。オークのだけど。決め手は蜂蜜と、とろみをつける為の小麦粉を半分の量は炒めて使う事で、コク深さと香ばしさをプラス。ただし、うちのパーティーお子様舌ばっかなんで辛さは控えめ。自分の分は辛口だがね。好きなんで。
「旨っ! 何ですか!! これ!!」
「辛いけど、美味しいです!!」
「うんうん!!」
「辛い!! けど、止まらない!!」
「美味しいぃ!!」
「むぐむぐ!! ん!! んん~!!」
娘さん、飲み込んでからお話しなさいな。でもまぁ娘さん達にも概ね好評みたいやね。
「美味しいですね! イブねー様!!」
「ん!」
家の娘達はカレー味自体は知ってるけど、ライスでってのは初めてなんで、こっちも美味しそうに食べてくれている。ティネッツエちゃんは頬を抑えながら、イブは黙々と。ラミアーなんて黙って二杯目をよそってるし。
ほれほれ、付け合わせのサラダも食べなさいな。ドレッシングも手作りなんやで?
『おいしい~』
分け御霊はカレーリゾット風にして食べさせてる。生まれたばかりな訳だしな。もっとも、そんな考慮が必要なのかは意見が分かれる所。だって、コイツの主食、俺のプラーナな訳だし、そもそも食事の必要性が無いって意見までも有るし。
それに関しちゃ、ラミアーも同じなんだが。まぁ、食べれるんなら食べた方が良いだろう。
人間だって、栄養補給なら点滴だけでも良いけど、健康な生活の為には食事が必要だって言うし。
『【嘆息】こういう時、少し距離感を感じますね』
『【諦観】仕方ないデス。ボク達に食事する機能は付いてないのデス』
うん、今度プラーナ補給する時は、希望通りにするから、あんま黄昏るな。
「くうん?」
「あおん?」
飯が終わったのか、ミカとバラキが纏わりついて来た。
犬達は香辛料の香りが苦手らしいんで、ちょっと離れてオーク肉にかぶり付いていたんよ。ウリとガブリが周囲警戒の為にかケルブの方へと歩いて行った。またオークとかに来られても困るしな。
うん。なんか久しぶりにオークが襲って来たんで、返り討ちにした後に、あ、カレー食べたいとか思ったんよ。前世ではカレーに入れる肉は豚バラ派だったんで。
こっちのオークはイノシシと言うよりイノブタに近かった。あんまり毛が多くない感じ。その代わり、毛皮を纏ってたけど。多分、ゴブリンとかといっしょで、集落とか作ってるんじゃなかろうか? 向こうの大陸のオークは別種族手下にしてたけど、こっちは種族でまとまってる感じだわ。まぁ、どうでも良いけど。
娘さん達の何人かがカレーをお代わりする。俺としちゃ、二日目のカレーの方が好きなんだけど、これ、今夜中に全部無くなりそうだわ。
こうやって皆で食事を共にしてると、些細な距離感なんて感じないやね。
まぁ、やっぱり、緊張感なんて、早々長続きしなかったってこった。だってほら、俺、戦えて料理も出来る冒険者だし。四六時中一緒に居る上、ゲームも一緒に遊ぶしな。もっとも、一番の理由は俺が年下だって思ってるのが大きいんだろうが。
だが、あの娘さん達は知らない。俺が実質10才に見えて実は6才で、公称16才だって事を!!
何だろうな? この無駄に複雑な設定。
まぁ、これ、一応秘密の設定だから特に言わんけどな。トール・オーサキ辺境伯は公称16才です。
この事実を知った時、彼女達はどう反応するかね? 今度は距離を取られんと良いんだがなぁ。




