表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
360/1157

社会復帰を目指させる

 お米は有ったけど、種籾(たねもみ)は売って無かったよ。流石に翌年の米の元になってる物だし、各領の領主が管理してるんだってさ。

 有ったら持ち帰ったんだがなぁ。風土的に合うがどうか分からんが。

 米って、寒暖差が有った方が美味しくなるんだったか? 家の領地のある大陸、一年中温暖だからなぁ。どうなんじゃろ?


「戻った……」


 宿に着いて部屋に入ると、何か留守番組が死屍累々。全員が床に突っ伏してぶっ倒れとる。


「ううぉいぃ!! 何が有った!!」


 出て行った時と変わらん宿の様子的にも、荒らされた形跡の無い室内的にも、物取りとかが有ったようには思えんのだが、なぜ彼女達がこんな状態に!?


『【報告】マスター、彼女達はどうも飢餓状態になっている様です』


 はい?


『【報告】飢餓状態になっている様です』


 余計、何故そんな事になったか分からんのじゃが!?


 ******


 呆れれば良いのか何なのか。この娘達、俺等が社に行ってる間、ずっとボードゲームをし続けてたらしいんだわ。飯も食わずに。


「そら、倒れるわ!!」


 俺の言葉に、娘さん達がサッと視線を逸らす。


『【嘆息】早速お米が役に立ちましたね』

「最初の米料理じゃし、もうちょっと違う料理を作りたかったわ。塩むすびとか」

「「しお、むすび?」」


 イブとティネッツエちゃんが揃って首を傾げる。なんでこの二人はこう、姉妹みたいなリアクションするんかね?

 まぁ、良いけど。

 娘さん達には、取り敢えずお粥を作って食べて貰ってる。飢餓状態であんまり重いものはキッツいからなぁ。

 卵が有れば玉子粥でも良かったんだが、卵がなぁ。養鶏とかをしないせいか、時々しか市場に出回らない上に、そう言うのって権力者の方に先に回っちまうんよね。


 いや、俺も権力者の一端では有るんだがよ。流石に自国以外だと、そんなに権力は見せられんよ? 某子爵には思いっきり使ってみせたが。


 まぁ、それはそれとして、……あれ? 卵が手に入らないと卵とじ系は全滅か? 参ったな。米一俵分しか買って無いから、そんなに多くはないんだよなぁ。ただ、これ以上の購入だと、流石になぁ。


 ん? 『僕がんばるよ!』って、ケルブは良い子だね。だけど、重量の事だけじゃなく積載する場所の都合も有るんで、これ以上は流石に無理だから大丈夫だよ? 有難う。


 そして娘さん達は流石に反省してくれ。てか、オールでゲームに熱中してて空腹で潰れる程度には色々と回復してるんな。

 ただそれと比例してダメ人間化も進んでる様だが。


「取り敢えず、しばらく体調は整えて貰うが、それが終わったら、一旦街に繰り出すからな?」

「「「「「「ええ!」」」」」」

「ゲームに熱中してて倒れられる位に元気なら、もうかなり回復してるだろうさ。これ、決定事項だからな」


 あからさま『面倒』って顔に張り付いてる娘さん達だが、決して怯えや恐怖と言った感情は浮かんでいない。やっぱり回復はしてる様だな。うん。逞しいやね。


 後は、社会復帰の為のリハビリだけだな。

 トラウマが無いってんなら、こう言うのって、多少強引に行った方が良いし。外に出るタイミングってのは自分で計ってると、ついズルズルと伸ばしがちになるから、そのまま引き籠っちまうってことだってあり得る。


 確かに辛い経験をしたんだろうが、甘やかしてるだけってのも俺の性分じゃないからな。


 ニートにはさせんよ! ニートには!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ