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腹が減っては観光は出来ぬ

 リストリアータの竜神の名は、そのまんま『竜神リストリアータ』と言うらしい。

 つまり、地名になるほどの古い存在。

 前世じゃ、そんな生き物生存し続けるのは無理だと思うんだが、こっちの世界じゃ、『邪竜』やら『ニーズヘッグ』やらと枚挙にいとまがないって程多くはないが実例が有るからなぁ。


 ついでに家のラミアーもそうだったか? いや、あれは態々保存装置に入れられてたからちょっと違うか。


『【説明】魔族と精霊も事実上寿命が存在しません』


 半精神体だったか? あの謎種族達。バフォメットなんかは普通に殴れるから、何か不思議な気分だわ。


 それはそれとして、湖中央の小島に社がって話だったんで宿にキャンピングカーと娘さん達預けて、さっそく観光。娘さん達は観光に興味はあるものの、やっぱりまだ人の多い所は怖いらしい。特に俺達人目を引きやすい集団だしな。


 それでも、只、怯える様に閉じこもってた頃よりは何ぼかマシに成って来てるんだから、少しずつとは言え快復はしてる様で良かったんだわ。


 ただねぇ、『今日こそ『U〇O』で勝ち越してみせます!!』って息巻いてる娘さんが若干一名。アレはどう見てもゲームしたいだけで完全に快復してんだろ。まぁ良いけど。


 さてさて、小島とか聞いてたから、徒歩数時間で回れるくらいの大きさを想定してたんだが、いやはや、中々の大きさの島だわ。そもそも島の中に町が丸々一つ入ってるって状態だし。


 湖周辺の街が前世で言う大阪東京的な雑多さだとすると、島中の街は京都とか東京でも浅草辺りって、そんな感じ。大通りってか、参道を中心に整然と並んだ建屋は、見事としか言いようがない。

 ファティマが貴族が商人を呼んでとか推測してたけど、ここは最初にこの街が有ったんじゃないかなぁ。

 そんで貴族連中が、験担ぎなのか、そう言う宗教が元々有るのか、お参りする為にここに来て、その上で綺麗な景色だったからって事で、近くに別荘を持っての湖周辺の街ができ上がってって感じの流れで。

 まぁ、貴族が来てからの流れはファティマの推測そのまんまだけど。


「むふん!!」

「おー……」

「ふわぁ!!」

「ワン!」

「アオン」

「ワオン」

「ヒャン!」


 船着場からすぐの場所は仲見世通りと言うか、お茶屋やら占い屋やらちょっとしたグッズてかアイテム屋やらが並んでたんだが、そこから500m程進んだ所からは巨木群に変わった。家の子達もちょっと目を丸くするレベルの。ニーズヘッグが丸呑みしたオークの木なんかよりも、さらに()っとい木々がこれでもかと。それも乱立じゃなく整然と並んでるのがまた圧巻。

 ヴィヴィアン連れてきたら狂喜乱舞しそうだよなぁ。女の子として不味い顔晒しながら。


 竜神様にお参りする人間は結構多いらしく、参道を歩いてる俺達の周りにも、同じ様に歩いてる人達が結構いる。

 そんな人達が、俺達の事をジロジロと見るのは、まぁ、特異な集団だからだろう。馬並みにでっかい犬型ゴーレムに、美術品型のゴーレム二体。それに美少女二人と美幼女1人に犬達4頭。ついでに俺。

 目立ってるって自覚はある。でもちゃんと道の中央は避けて歩いてるんだがね。だから何か粗相をしてるって訳じゃない。と思う。


 いや、こっちのお参りの作法なんざ知らんのだけんどもね。


 島に渡る前に情報収集がてら、屋台を散々冷やかして串焼きやら焼き団子やらをかなりの量食べてたはずなんじゃが、こっちの店でも粉もんの軽食やら焼き菓子やらをパク付いてる訳なんだが、ソレの所為もあるやもしれん。

 俺? 勿論魚の串焼きを食べてますが何か?


「トール、様、汚れ、てる」


 自分も白玉の蜜餡がけ三段重ねみたいなのを食べながらも、俺の口元をイブが甲斐甲斐しく拭いてくれている。

 今はメイド仕様じゃないから気にしなくても良いんだがね。

 そうは言っても、『遣りたい、から』って言ってやって来るんで、あんまり止めるのも無粋かと、やりたい様にやって貰ってる。

 多分、俺がティネッツエちゃんの手を引いてて両手が使えないから、その所為も有るかも知れない。


 ラミアーはいつも通りに俺の肩の上。両手にタイ焼きとか大判焼系の食べ物を持ってパクパクと。コイツ、プラーナあげてれば食べなくても良いハズなんじゃが? 取り敢えず頭に食べ滓さえ落とさなければそれで良いなぁと。

 犬達ってかミカとバラキは俺の足元に擦り寄るってか、身体を擦り付ける様に歩いてるが、ウリとガブリは忙しなくうろちょろしつつ色々と嗅いで回ってる。


 ちょっと俯いて、大人しくべっ甲飴みたいなのを舐めてるティネッツエちゃんが一番静かと言うのがなんともはや。

 ファティマとジャンヌは周囲を警戒しつつ斜め後ろを付いてくる。やっぱり、この島に来てから感じてる、奇妙な気配が気に掛かるっぽい。


 うん。奇妙な気配。湖の周辺では何も感じなかったんだが、この島に近付くにつれ、だんだんと強くなって来ていた。それがこの巨木群に入った途端に一段階強く。

 敵意とか殺意とかそう言った感じでは無いが、こう、魔族とか竜種に出会った時みたいな【恐怖(フォビア)】に近い様な正反対な様な、ね。


 これはあれか? 早速フラグ回収しちまったか?

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