露天掘りって言うらしいぞ
「っせい!! やあぁぁぁぁ!!」
叩き付ける様に振るわれた聖斧が岩盤にクレーターを穿つ。
これは、散歩ついでのちょっとした運動。うん。少ぉし身体を動かしてるだけなんだからね!! 建前大事。
その光景を見ていたヘーゲンバッハ及び護衛達と、ダンボース及び元破落戸達が口をアングリと開けている。
そう言や、俺自身の力をちゃんとコイツ等に見せたのは、初めてか?
むしろ俺より先にファティマが手ぇ出してたしな。
『【肯定】露払いですので』
おう、有難うよ。
そう言や、精々やったのって、腕を曲げる、タネ有り仕掛け無しの手品位か。あれ、あの後ちゃんと、スタッフがオイシク治しましたよ? 激痛が伴う方法で。
「とーるさま、おなじところをもういっかい、おねがいします!」
「はいよ!」
そしてもう一撃。飛び散る破片をイブとジャンヌが【魔力障壁】で防いだ。
粉塵が治まり、二人の【魔力障壁】から出て来たティネッツエちゃんがクレーターの底に手を当て目を瞑る。
「……いまの、はへんのなかに“ぼーきさいと”が、まじってるはずです!!」
「よーし、聞いたな皆! 破片を拾い集めてくれ!!」
そう言ったにも関わらず、どうもヘーゲンバッハとダンボース一行の反応が鈍い。ロボ監督ん所のダンジョンの中の時は、その場でロボ監督が判別してくれたから手間が係らんかったが、ここでは取り敢えず全部集めてから改めて判別せにゃならんのだ。主にイブとファティマとジャンヌとティネッツエちゃんが。
俺は、こう言った判別時には役立たずだし、ラミアーはやりたがらない。まぁ、犬達もそれは一緒だけんども。
なんで、取り敢えず荷馬車近くの一カ所に運んで、それから選別。分けてから運搬せんと重いしな。破片の数が多いからとマンパワーを期待してコイツ等も連れて、散歩に来た訳だ。数は力だよ兄さん!! 兄さん?
それはそれとして、何、呆然と見てやがるかね? この大人共は。俺もラミアーも、犬達ですらせっせと破片を集めてるってのに。
「とっとと動けや、良い大人!! 子供と犬ばっかを働かせてんじゃねぇぞ!!」
「「「「「「サー!! イエス!! サー!!」」」」」」
俺の怒声で我に返った大人共が慌てて破片を集め出す。別に焦る事じゃ無いんじゃが? まぁ、キビキビと動くのは良い事だ。若干顔色が青い気がするが、動き出したばっかりだし、肌寒い位なのに熱中症かね? いや、気温の低さと熱中症になる危険性は関係ないか。なら、水分と塩を補給させた方が良いのか?
「おい! おまいら……」
「「「「「「サー!! 大丈夫であります!! 問題ないで有ります!! サー!!」」」」」」
食い気味で大丈夫とか言われたが!?
あいつら、俺が何言おうとしたのか分かってるんかね? まぁ、動きを見てる限り問題なさそうだけんども。
取り敢えず集めるのを大人組に任せると、四人に判別に入って貰う。俺と犬達は分けられた鉱石を荷馬車へと運ぶ係だ。
ラミアー? それなら、俺の肩に乗っかって作業を眺めてるぜ? 動いて欲しいんだが、気が乗らないみたいだわ。う~ん。この辺、猫みてぇ。吸血鬼だけんども。
たった四人で判別してる割には、結構な速度で分けて行く。何ちゅうか、持ったら即、放り投げてるようなスピードで。おかげで運んでるこっちも結構忙しいわ。ただの瓦礫だった破片はまた、大人組に頼んで埋め戻し。
整地まではせんので結構山になってるな。まぁ、知らんけど。
結局判別作業は2時間かからず終了。結構時間的には余裕があるが……
「今日はここまでにしとくか」
「良い、の?」
イブが首を傾げる。まだ、必要量に足りてないしな。だが、まぁ良い。
「ああ、今日はこのまま遊んでから帰ろう。ほら、天気も良いし」
そう言って俺が笑うと、イブもニコリと笑みを浮かべた。




