いっつしょうたいむ
またか、またロリコンなのか。この世界のロリコン率高杉君。
あんまりと言えば、あんまりに下品な会話に眉を顰めてると、手を伸ばして来やがったんで、スプーン曲げの要領で、一寸曲げてみる。
ほら、骨とかって矯正したまま成長すると、そのまま固定されるじゃん?
プラーナで無理やり成長させると曲がったまま固定出来るんな。
「え!! 何これナニコレ!! オレの腕、どうなってんの!?」
「うわ!! ちょ! だ、大丈夫、なのか!? おい!!」
プラーナ回復、応用すると面白い事出来るなぁ。
始めは、プラーナを相手の魔力形状に合わせんのに苦労したものだが、今は一瞬で合わせる事が出来るようになったわ。
これも大勢の人間相手に練習した成果だな。やはり、数を熟すのが一番の鍛錬やね。
「て、てめぇ!! 何してやがる!!」
絡んできた方の破落戸を教育的に“曲げ”たら、女の子に手を出そうとしていた方の破落戸が怒鳴って来た。
「あー、ハンドのパワー? です!」
「訳わかんねぇ事、言ってんじゃねぇ!!」
え~、矯正するのはちゃんと手の力でやってんのよ? オレ、ウソ、ツカナイ。
やれやれって感じで溜息を吐くと、顔を真っ赤にした破落戸が拳を振り上げた。
「このヤ……ぶへっ!!」
『【通達】先に手を出した、そちらが悪いのですよ?』
襲いかかろうとした破落戸だったが、俺が手を出す前に、ファティマがモップの一突きで昏倒させる。
そもそも、『見てたから』とかって理不尽ないちゃもん付けて来たのは破落戸共だし、家の娘に手を伸ばしてきたのも破落戸共の方が先だし。だからこれは正当防衛。正当防衛。
「てめぇ等!! 俺達はダンボースの者だぞ!!」
いや、知らんて。
『【嘆息】誰も彼もが自分達の事を知ってるとか思ってるのは、随分と自意識過剰なのデス』
第一俺達、今日この街に来たばっかだし。情報収集も兼ねてギルドに顔出そうとか思ってたの明日だしな。
何の情報もないんよ。
まぁ、それはそれとして、仲間が二人やられて、こっそり逃げ出そうとしてた破落戸その3だったがね、サクッとバラキにとっ捕まってたわ。褒美にワシャってやる。
俺がバラキをワシャっている内に、ファティマ達は手早く破落戸共を縛って行った。
う~ん、どうしようコイツ等。
「いっつ、ゴーモーンタイムー」
それでも良いんだが、コイツ等から情報出したとして、何かの役に立つのか? あー。ルールールーが居れば、アイツの所属組織に放り投げられたんだがなぁ。
「あ、あんたら!! ダンボースの者に喧嘩を売るなんて!! なんて事を!!」
「お、お父さん!!」
バラキを『首筋から始める愛犬可愛がり法』でワシャってたら、破落戸に蹴りを入れられてたオッサンが、血相を変えてそう言って来た。
いや、だから知らんて。
「売ってねぇよ。むしろ売って来たのは向こうだろうが。何か? あのまま黙って家の娘を連れ去られておけばよかったと?」
そもそもあんただって娘を連れて行かれるのを嫌がって追い縋ってただろうに。
俺の言葉に、バツが悪そうに視線を逸らす。つまりは『肯定』って事だ。自分は抵抗しちまったが、抵抗なんざしなけりゃ良かったのにって言いたい訳だな。
『【疑問】ダンボースと言うのは、厄介な相手の様ですね』
「ふうん? なぁ、ダンボースってのはどんな輩なんだ?」
「や、止めてくれ!! こっちを巻き込まないでくれ!!」
「お父さん!! この方達が、わたし達を助けてくれたんだよ!?」
いや、むしろこちらが巻き込まれただけの様な気がするんだが?




