昔はこう言う展開が良く有った
済みません。
少しバタバタとしていて遅れました。
小腹も空いて来たんで、屋台を冷かして一旦宿に戻る事にした。娘さん達も居るしな。
そう言えば、大きな街に来たんだから、冒険者ギルドを覗いて来よう。何か面白依頼とか有るかもしれんし。
依頼に行ってる間は、娘さん達は宿でニートってて貰わんといかんか? あ、食事はどうしよう。言ったら部屋に持って来てくれそうだけど……あの子達で対応はできるんかね?
その辺りも話し合わなきゃか。
そんな事をつらつらと考えながら、良さげな食い物を探すついでに、館の連中への土産になりそうなものを物色して行く。
「ここは様々な織物が集まってるから、何か珍しい布地でも買って行こうかね?」
「ん! みん、な、喜ぶ」
「そうなんですか? いぶねーさま」
『【説明】オーサキ家のメイド部隊は、布地と縫製で生計を立ててた事が有る関係で、全員とまでは言いませんが裁縫の出来る物が多いのです』
「ん!」
メイド部隊て。まぁその通りなんだけんども。一部は毛皮とかでも良いな。そっちの加工の方が得意な子もいるし。
「その他は……原石かな? うん。謎品よりは原石の方が良いだろうな」
『【肯定】ドワーフはそっちの方が良いと思うデス』
「きゃるきゃるは謎品の方が喜びそう」
「……マトスンもかな」
第二夫人には装飾品の方が良いか? いや、むしろ原石で持ってって向こうで加工して貰うかドワーフ共に。
ルールールーも同じで良いかな?
「オスローやジャン達はキマイラのダミーヘッドで良いよな。面倒だし」
「ん!」
「ハゲどう」
『【苦笑】お三方とも雑ですね。私も同意しますが』
『【思案】騎士団にはむしろ本体を連れてった方が良い気がするデス。魔獣の生態サンプルと言うヤツデス』
ヴィヴィアンもキマイラで良いだろう。正直、宝石とか貰って喜ぶ姿が思い浮かばん。あ、薬になるなら……正直、毒になりそうな物しか思い付かんわ。それでも喜びそうだが。
「エリスには、どうすっかなぁ」
露店や店を冷かしつつも幾つかの軽食と、土産になりそうな品物を購入してはケルブに積んで行く。何か行商のロバ見たくなってるが……ケルブが『大丈夫ですよ』と頷いてくれる。俺の周り、良い子ばっかりや。
と、俺達の進行方向からガッシャ―ン!! と言う何かが割れる様な大きな音が。
「うわぁ」
眼前のあまりの光景に、思わず声が出ちゃったよ。
「お、お父さん!!」
「娘は!! 娘だけは!!」
「恨むんなら、借金を作ったその親父を恨むんだな!!」
目の前で繰り広げられているのは、何と言うか典型的な“ザ・借金取り”って感じの破落戸共と足の悪そうなオッサン&清貧そうな女の子。
多分、あの家の中にゃ、病気のお母さんだか妹だかが居るってパターンだわ。
そんで、その病気の治療に必要な素材集めとか、治療費作りでムリした冒険者のオッサンが怪我して、その治療の為にもお金が必要でって感じだな。
「あん? 何見て……おう、エライ別嬪さんが揃ってるじゃねぇか」
こっちの面子の顔を見てニタニタとし出す破落戸の1人。
……えーこんな感じで巻き込まれるの? しかも普通に通りでこんな目立つ事やってて『何見てんだ』て。
『【確認】ヤりますか? マスター』
取り敢えず待機な? こっちから手を出すのは無しって事で。
『【了解】わかりました』
『【了承】オッケーデス!』
何か嫌がる女の子の腕、掴んで顔を近づけてる男とそれを止めようとして別の破落戸に転ばされ、蹴られるオッサン。
あれだね、時代劇とかでよく見たシーンやね。
現実に遭ったら見て見ぬふりする方向の。
「へへ、こっちの気分を悪くしたんだ。付き合って貰うぜぇ?」
「ぐはっ!! おいおい、そんな子供にナニするってかぁ?」
「子供だから良い具合なんだよ!!」
だがな、ちょっと教育的指導が必要かね? 家の娘達の教育に悪いからさ。




