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要所って事は、街も大きけりゃ人も多い

 どれ程落ち込もうが、人間、その状態をずっと維持できるって訳じゃないらしく、1週間程旅を続けていると、娘さん達も多少は元気が戻って来た様だった。いや、そもそも元の性格を知ってる訳じゃねぇんだけんどもよ。空元気って感じでも無いんで、多分、そうだろうなと。ファティマも聖弓(ロボセイント)と通信した上で、そう診断してるし、間違いじゃない、と思う。あれでもロボセイント、回復のエキスパートな訳だし。


 彼女達に多少でも元気が戻る間は、村に行ったとしても、必要な物を買い付けるって程度で、宿に泊まったりとかはしなかった。娘さん達が人が多い所を嫌がったってのもある。

 もっとも、山賊の居場所は村長さんとかに伝えてはいるが。死んで……ないと良いよねぇ。


 村なんかはそれ程人が多いって程多くはないと思うんだが、やっぱり男性に対し恐怖感がある様だぁね。それにしては俺には普通に相対してくれるんだが……うん。まぁ“男性”だとか思われてないって事だろうな。今は、その方が都合が良いけど。


 山賊達に対してやった事に関しちゃ、色々と思う所が無いって訳じゃないが、それでも後悔するほどに罪悪感が有る訳でもない。あんな事を半ば生業としてた様な連中だ。生かして於いた処で反省なんてしないだろうし、連れて行くって訳にもいかんから、あれが最低限の落としどころだったと思うし、盗賊の退治は冒険者の仕事の一つでもあるしなぁ。

 まぁ、前世の感覚を引き摺ってるってだけだがね。どうにか折り合いはつけるさね。

 第一、山賊は拷問受けて自白させられた後、終身鉱山奴隷か縛り首だしな。


 さて、何でこんな事をツラツラと考えてるかと言えば、娘さんたちが元気になって初めての大きな町に入るからだ。


「ケーザカイアの街だね、この辺りじゃ一番でっかい街だよ」


 防壁が見えて来て、そう言って来たのは、娘さん達の世話役ってか、一番年上らだと思ってた娘さん、ライザさんだ。もっとも、実はライザさんが一番年上って訳じゃなかったんだけどね。まぁ、印象としてって話だわ。

 年齢的に高いからってのもあるとは思うんだが、捕らわれていた娘さん達を纏めてくれ、彼女達の為に一番心を砕いてくれてい居るのもこの人。自分だって辛かっただろうに、優しく、たくましい女性だと思う。

 今も、俺と一緒に御者台の方に座って、道案内なんかをしてくれていた訳だ。と言っても二人きりって訳じゃないがね。何時もの様にラミアーが俺の頭に圧し掛かってるし、すぐ脇にはミカが並走してるし。バラキは……未だに娘さんの1人に捕まってる。精神安定剤代わりに。


「……皆は大丈夫なんか?」

「ああ、まぁ、多少は怯えてる()も居るけど、何時までもこのままって訳にはいかないしね」


 旅をしている間に今後の事ってのには、俺の考えも含めて話してはいる。その内、ライザさんを含めた3人程は、こっちの大陸で家の仕事を手伝ってくれるって話になった。

 それ以外の娘さんは、人ごみの中に入るのがやっぱり怖いって話で、俺達に付いて来るって事になっている。

 そろそろ、俺達が別の大陸から来たって事も含めて話をした方が良いかもな。

 ただまぁ、街に入る前にやらなきゃいけない事が有るけど。


 ******


 ケーザカイアって街は、所謂交通の要所って場所らしく、幾つかの大きな街道がここに集中しているっぽい。まぁ、基本平地と森で構成されていたデストネーチェ王国のある大陸とは違って、こっちの大陸、結構起伏の激しい場所が多い印象で、だからこそ、デカい街道の数が限られてるんだろう。殆どの商人やら旅人がその街道を通ってるって感じだ。

 そう言や、こっちの大陸に来てからは体感気温もやや肌寒い位だし、全体に標高が高いのかそれとも極点に近いからなのか……


 いや、こっちの世界が、前世と同じ様な感じかどうかなんざまだ分からないんだが、ファティマなんかは“惑星”みたいな概念も理解してたし、ほぼ同じなんじゃねぇかとは思ってる。

 そもそも、生物が発現進化できる条件ってのはそれ程大差ない筈だし。どうしたって同じ様な感じになるだろうさね。


 それは兎も角、今問題になるのは、この街に拠点を作れるのかって事と、本当に彼女達だけでその拠点の維持が出来そうなのかって事だな。


 商店を開くって事は、周囲への根回しだとかなんだとかってのをしなくちゃいけない訳だ。普通なら暖簾分けだったり、ある程度名前を売って後ろ盾を得てからってのが基本なんで、ぽっと出の新人商人なんざ、競合相手とか居れば、割と普通に潰しに掛られるからなぁ。

 とは言っても必ず商人って事でなくても良いんだよな。要は彼女達が生活できる場所が有れば良いんだから。

 そう言う意味では、市場調査が先かね?


 街への入場の方は、俺のギルド証明書と犬達も含めた人数分の入場料を払う事で、割とあっさりと入る事が出来た。


『【憤懣】何故、私達は荷物扱いされねばならないのでしょう?』

『【嘆息】その代わり、オーナーの物だって太鼓判は貰ったデス。仕方ないんでそれで許してやるデス』


 ……その辺は交通の要所って事も有って、融通が利き易いんじゃろな。もっとも、門番には『中に入ったからって、()()()()()()()()()? 衛兵の数はそんじょそこらの街とは比べ物に成らないほど多いからな』って言う釘を刺されたがね。


 ただなぁ。それと同時に『特に()()()()()みたいに()()()()別嬪さん達の集団だと、変な輩に目を付けられやすいからな』とも言われたんだが……いや、俺、男よ? 男性として見られてなくても。


「変な事言う門番だよなぁ」

「え? あ、うん。そうだ、ね?」

「トール、様。美人、だよ?」

「え、その、かっこうよいとおもいます!!」

「なかーま」


 ……何故戸惑うんよライザさんや。そしてイブとティネッツエちゃんフォローありがとう。ラミアー、ちょっと意味不明なんじゃが!?


 そして聖武器ズから笑いを押し殺してるような雰囲気を感じる。

 おまいら、後で覚えてろよ!!

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