名前をつけるっていう事の意味
『私に名前を付けてください』
『【却下】拒否します』
『【拒否】ダメデスゥ!』
おおっとぉ。家の聖武器達から即座に否定の声が。そんなに嫌か、おまいら。
『【肯定】当たり前です』
『【当然】デェス!!』
そう言や、前々から俺が他の聖武器やらガーディアンに名前を付ける事を嫌がってたよな。
その割にはオファニムやらケルブの時は嫌がらなかったが。何か理由が有るのか?
『そこの二人には【エンゲージネーム】を付けてるではありませんか』
「【エンゲージネーム】?」
何それ初耳。
『【狼狽】絆、を深める、と言いまし、た』
『【追従】デスデス!』
「……ちょっとその話KUWASHIKU」
******
要は、名前と言う物を通して俺と聖武器達との間にリンクを作るってぇ行為だったらしい。ただし、その時に俺の魂の一部が名前を付けた相手にも分け御霊よろしく渡されるらしい。
って、うぉい!! それ、大丈夫なんか!?
『【肯定】そもそも魂はそう言う分身を作る物ですから』
『【解説】元々、『思いのこもった』なんて代物は、思いを込めた人物の魂が分霊としてくっついて行く物なのデス。【エンゲージネーム】時にはその分量が、ちょっと、そこそこ、多いだけデス』
「つまり、俺に“極めて重要な問題”とかは起こらないって事で良いんだな?」
『【肯定】短期間で大量に行わない限りは……』
ならまぁ、構わんか。こいつらに名前を付けた事に後悔は無いし。
ってか、もしかして【念話】とかが使えるのってそう言う事なんかね?
まぁ良い。
「だが、次からは、そう言うのは俺にも言ってくれ。頼むから」
『【了解】サー!! イエス!! サー!!』
『【了承】分かったデス』
と、俺の服を誰かが引っ張った。
「わたし、も、名前、もらった、よ?」
「あ、うん」
「ワン!!」
「アンアン!!」
「アオン!!」
「ワンワン!!」
「あ、はい」
イブとミカ、バラキ、ウリにガブリも主張してきた。あーうん。お前らにも名前つけたのは俺だよ?
けど、俺は【エンゲージネーム】なんてシステム知らんからね?
『【当然】まぁ、それについては集合無意識上の【ソウルリンク】にまで理解が及んでいなければ使用できませんから』
ああ、そう言うのがあるのね。
『【解説】けど、オーナー達は、システム経由してないにも関わらず、魂を通わせてるデス。天然の【ソウルリンク】をしているのデス』
ああ、成程、言葉を交わさなくてもなんとなくお互いの言いたい事とかが分かるのはそう言う事か。つまりは絆がつながってるって事なんだな。
「当たり前だ、俺達は“家族”だからな」
「!! ん!!」
「ワン!!」
「アンアン!!」
「アオン!!」
「ワンワン!!」
イブと犬達が嬉しそうに応え、俺に飛びついて来た。
「当然だけど、お前たちもだからな? ラミアー、ティネッツエちゃん。それにファティマもジャンヌも」
「当然」
「え!? あ、ああ、ありがとうごじゃいましゅ!!」
『【歓喜】有難う御座います! マスター』
『【幸福】うん! ボクも家族だと思ってるデス!!』
犬達に嘗め回されながら、彼女達にもそう告げると、ラミア―が頭を抱きしめ、ティネッツエちゃんが服の端を掴んだ。
そして聖武器の二人は、フフンと鼻でも鳴らすかの様にロボ監督に向かって胸を張る。
「って、事で悪いんだが、『名前を付ける』は、家族以外にやりたくない」
『ふぅ、分かりました。他の事にします』
「悪いな」
そう言った俺に向かって、ロボ監督は首をすくめた。




