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ひどい目に遭わせた

 俺の叫び声が(むな)しく響く。


 【インフィニティ・ゼロ】は術の構成的に相手を燃やし尽くさなければ危なくて解除も出来ねぇって言う結構な厄介な術なんだそうな。成程、アイス系高位魔法【アブソリュートゼロ】と拘束系高位魔法【チェーンライトニング】を使う訳だ。

 高硬度の氷の檻と相手を動けなくするってぇ特性の術を組み合わせなけりゃ、下手に途中で破壊なんぞされたら術者ですら危なくなる。ってか、周囲が灼熱地獄る。


 まぁ超電導を発生させる為だけにしちゃ、随分と高位の魔術を使ってると思ったが、伊達に選択されたって訳じゃないってこった。

 まぁ、しかし……


「どうすんのよこれ……」


 灼熱を内包した絶対零度の棺桶に視線をやる。

 そう言った理由も有って、外から手も出せねぇ。どうしても勝ちたかったイブの心情も分からんでも無いが、敵って訳でもない相手をさぁ……


『【平気】大丈夫でしょう。“ボス”と言う役割をいただいている以上、倒される事は必須』

『【予測】多分、どっかにバックアップはされてると思うデス。新しいボディーにインストールされて、どっかから出て来るデス』


 犯人(そそのかしたの)はおまいらか。てか、確信犯かよ。


 死んでないとしても、相手の心証、最悪じゃねぇか?


「弱肉強食。諸行無常。な~む~……」

「ふぇぇ…… たたかいのせかいは、ひじょうなのですね。らみねーさま」


 そっちはそっちで謎の納得の仕方を……

 当のイブは、やり切った感じでペタンと座っているし、犬達は氷の奥から見える炎に興奮してか走り回ってるし。

 なんかもう、盛大に教育間違ったかなぁ。


『【格言】親の背を見て子は育つデスゥ』

「何か?」

『【焦燥】いえ、何もデス』


 『どうしたもんかなぁ』とか思ってたら、氷の棺の一部にヒビが……


「みんな下がれ!! ジャンヌ、ラミアー、防壁!!」

『【了解】【詠唱破棄】【マジックシールド】デス!!』

「ん!」


 皆が二人の張った防壁の後ろに潜り込み、俺もイブを引っ掴んで横抱きに抱くと、二重防壁の後ろに駆け込んだ。


 パリン!! と小さな音。そこからズルリと這い出して来たのは緋色のボディーに染まったロドス。なっ!! どうやって電磁場檻から!?


「いや、そうか!! これは日緋色金(ヒヒイロカネ)の特性か!!」


 そうだ!! 思い出した!! ヒヒイロカネは磁場を通さないとか、磁場に反発するとか言われていたハズだ!! その特性で、電磁場を弾き、抜け出して来たんだ!!

 まさか、ここで初お披露目した魔術を掛けた相手が、唯一の無効化の出来る装甲持ちとか、どんな偶然だよ!!


 氷に穴こそ開いたが、その本質は電磁場による封じ込めだ。【アブソリュートゼロ】も【チェーンライトニング】も消失して無い現在、その効果は維持されたままってのは、不幸中の幸いと言って良いのか?


 おいおい、これでラウンド続行って事か? 話を聞いてくれれば良いが、下手に怒り心頭で聞き耳持たずってぇ状態だったら、今度こそ本当にブッ潰すしか無く成るんだがな……


 そうやってはい出て来たロドスは、焼け焦げた腕で未だに燻っている自身のボディーを支える様に身を起こした後……盛大に転げ回った。

 そりゃもうゴロゴロと。


『熱い熱い熱い熱い!! 熱が熱が熱が熱が!!』

「良し!! ジャンヌ冷やせ!! ただしゆっくりとだ!! 急激に冷やすと逆に壊れる!!」

『【了解】デスゥ』


 そう言や、ヒヒイロカネのもう一つの特性は『熱伝導率が非常に高い』だったな。


 ******


青生生魂(アポイタカラ)モードから日緋色金(ヒヒイロカネ)モードに移行している最中でなければ残機が減っている所でした』


 あ、ヤッパリそう言うシステムだったんね。


「てか、熱さとか感じるんな」

『当たり前です!! こっちは精密機械ですよ? ある程度は冷却装置で対応出来ると言っても、限界があります。その為には“熱”を感知できませんと!』


 そりゃそうか。


「いや、と、言うか()()魔術を喰らって平気なんだな」

『平気じゃないですよ!! 特に関節部分と制御系が滅茶苦茶になってますよ!! 何ですかあの殺意マシマシな攻撃!! 性能試験だって言ったじゃないですか!!』

「それに関しちゃ、全面的にこっちが悪い。正直済まんかった」


 主に聖武器がだが。それでも管理責任って意味じゃ、俺に責任がある。てか、今回アイツ等、こっちに情報上げなさすぎだろ。まぁ、聖武器達も致命的に成る様な事は避けてるみたいだが、ちょっとばっかし、今回は質が悪いと言わざるをえんわ。


 ……なぁ、もしかして、ロボ監督作った会社って、ライバル会社だったりするんか?


『【肯定】さらに言えば、搭乗型に自意識やAIなど必要ないと言い切りやがった会社です』

『【憤慨】自立成長型にするのであれば、自意識やAIは必須なのデス!! あの会社の連中は何も分かって居ないデス!!』


 おおう、思いの他、怒ってらっしゃった。だがよ、それは会社の連中に対してだろう? それを製品にぶつけんなや。


『【反省】サー、イエス、サー』

『【同意】分かったデス』


 渋々だが、納得はしてくれたみたいだな。


「って、訳だ。こっちも謝るんで、許してくれ」

『分かりました。貴方の顔に免じて、不問にします。あの時真っ先に心配してくれたのは貴方だけでしたから。その代わり、お願いがあります』


 お願い? まぁ、こっちが悪いんだし、俺に出来る事なら叶えてやろうとは思うがね。

 でも、あんまり無茶なのは勘弁して欲しいんだがね。

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