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彼女の目標

「【詠唱破棄】【ファイアランス】!!」

『まだまだ、その程度では、ロドスの青生生魂(アポイタカラ)の装甲は抜けませんよ!!』


 さっきより威力の高い魔法を繰り出すイブと、それを追い、あくまで近接攻撃を仕掛けようとするロドスの攻防は、絶妙な均衡を保ったまま続いている。


 てか、イブは何で態々受け流しに拘っとるんじゃろ? まぁ、確かに、行け流して体制が崩れた隙に逃げられては居るんだから、全くの無意味な行動って訳じゃないんだが。もっと効率の良い方法はある様な気がするんだ。


『【嘆息】あれは、マスターの真似ですよ? 愛しい人と同じ事をしたいと言う乙女心を分かってあげませんと』


 ……随分と物騒な乙女心だなぁおい。

 理由は分かったが、やっぱり効率の悪い方法だとは思うんじゃよ。憧れてリスペクトする気持ちはよく分かるし、慕ってくれてる事自体は嬉しいんで、そう言う無粋な事は口にせんが。

 イブの場合、本来ならどれだけ間合いを保ったまま攻撃できるかが肝に成ると思うんだがね。防御魔法は念の為くらいで、障害物を乱立させて、視界を遮りつつ相手の行動を制御ってのが多分理想。ただ、イブのやり方を見てる限り、“避けタンク”でも目指してるのかって感じの動きではある。ちょこちょこと攻撃当ててヘイトを稼ぎつつ、直撃を避けてカウンターを取りに行くって言うか?


 俺がわりと、リジェネレイト有りで突っ込んで行って、積極的攻撃からのヘイト集めをする“聖騎士(パラディン)”タイプではあるから、同じタンク系統でも方向性が違うんだがね。


 まぁ、俺のパーティー前衛1の後衛3、補助1で遊撃4~6ってぇピーキーな構成だからさ。タンク役がもう一枚増えれば、バランスは良く成るのも分からんではない。だが、あんまりイブには危険に近付いて欲しくはないんよな。冒険に連れ出しといて今更何言ってんだとか思うが、まぁ、俺のエゴなんだがね。

 イブの魔法がファイア系からアイス系へと変わる。だが、魔法の系統が変わったと言うだけで、その攻防はさっきまでと同じだ。イブが受け流しながらも魔法を繰り出し、ロドスが正面突破しながら杭打機で攻撃を仕掛ける。

 さっきまでと違うのは、一度に繰り出す魔法のの数が減って来てるって所だろうか? 流石のイブも、かなりの魔力を消費しちまってるみたいだ。だが、それでもその眼だけは未だギラギラとした輝きを失っていない。


 イブは確かに天才だが、それでも尚、慢心したりせず、むしろストイックに強さを求めている。何があの娘をそこまで駆り立てるのか。贔屓目無しに、イブはか~な~り~強い!! それもあの年で、でだ。


『【予想】多分【個体名】イブは、オーナーと肩を並べたいんデス。それは物理的にも意味合い的にもなのデス』


 難しい問題だ。頑張っては欲しいし、嬉しいと言う気持ちもある。だがそれでも尚、あまり危険な事はして欲しくないと思ってしまう。いや、俺に出来るのはイブの応援とサポートだけだ。俺の気持ちを押し付けるのは止めよう。うん。


「父親気分?」

『【肯定】まさにそれですね【個体名】ラミアー』


 うるさいよ。


『人間にしてはやるものです! ですが装甲を抜く事が出来なければ、結局は徒労!! 疲れ知らずの私とロドスに磨り潰される未来しかありません!!』

「むぅ!!」


 そう、ロボ監督に挑発されたイブは、攻撃を止め、ひたすら回避に努め出した。何か狙っているってのは分かるが、何だ? 何をする為に力を温存している?


『【愉悦】遂に、お披露目する時がきたようデス!!』


 知っているのか!! ランディー!!


『【否定】ボクは()()巨人族ではないデス』


 すまん、つい。

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