様子見とかする必要も無し
「ファティマアアァァァ!! オファニイイイィィム!!!!」
『【了解】サー! イエス、サー!!』
「ん!!」
「アン!!」
「アンアン!!」
「ワオン!!」
「ワンワン!!」
俺が戦闘態勢に入ると、ラミアーが【念動防壁】を張り、犬達が散開する。
周囲にいる騎士ゴーレムを牽制する為だったんだが、こっちが攻撃に移る前にロドスの外部スピーカーから声が響いた。
『あ! ロドスの性能試験なんで、周りのドローン達は手を出しませんよ? そもそも彼等は儀典用なんで、戦闘できませんし!』
マジか!! そうか、見た目だけで戦えないのか……いや、残念がってなんて居ないぞ? どこぞの戦闘狂魔族じゃあるまいし!
「なら、こっちも俺一人で……」
「でる!!」
はい? イブさんや、貴女そんなキャラだったか? あぁいや、そう言えば、こっち来てから活躍できない事に不満を持ってたな。
フンスと鼻息も荒いイブを見て、ジャンヌに視線を送ると、サムズアップを返して来た。まぁ、イブの師匠が大丈夫だって言うなら、任せてみよう。性能試験だって話だし、最悪、俺が割って入る事も念頭には置くが。
「よし、がんばってこい」
「ん!」
イブが前に出るのと同時に俺は【念動防壁】の後ろに引っ込んだ。
『えっと? そのお嬢ちゃんが私の相手? 本当に?』
「ん!! 【詠唱破棄】【マジックバリア】! 【詠唱破棄】【フィジカルエンチャント】!! 【詠唱破棄】【ファイアボール】!!!」
『うえぇ!! “詠唱破棄”で三連続発動!? え? 本当は80才以上って事は無いよね!?』
合計60個のファイアボールが発射されると同時に、イブが走り出す。魔法で身体能力を上げ、防壁を張っているとは言え、まだ9才の女の子だ。ロドスの攻撃が当たって無傷でいられるかどうかは分からない。
それに彼女は、ほぼノータイムでの連射が出来るって関係上、その運用方法は通常の魔法使いの様に守って貰いながら呪文を詠唱するのではなく、動きながらの攻撃に成るんで、どっちかと言うと、マシンガンをぶっ放してるって方が、感覚的には近いだろう。
だったら、態々足止めて的に成るなんて必要はない。むしろ的を絞らせない様に動き回るべきだ。今の様に。
まぁ、彼女の師匠はその辺の知識も多い方だとは思う。何せ、各国が戦争し合ってるって時代に作られてる訳だしな。
一方のロドスは、そんなファイアボールの弾幕を腕をクロスさせて突っ切っる。遠距離攻撃の方法がないのか、それとも耐久力のテストの為なのか。
『青生生魂の装甲は伊達では無いのですよ!!』
「ぬぅ!!」
耐久力のテストの方だったみたいだな。ってかアポイタカラって、確か日緋色金と同じ存在だったか、合金の一種だったかだよな。
青銅って訳じゃなかったんな。
そのロドス、イブに近付くと、腕を振り上げた。流石に6mの巨体と幼女じゃ、仔犬と人間の大人くらいの差が有りやがる。マジックバリアを張ってるとは言え、流石に気が気じゃない。いや、イブは天才だ。俺が信じずに誰が信じるって言うんだ。
振り上げられたロドスの腕がモーフィングし杭打機へと変形する。
!! そうか!! ヒヒイロカネと同じだって言うのなら、成程、“生きている金属”か!!
フィジカルエンチャントで運動能力を上げてるとは言え、そもそものサイズが違い過ぎる。あっと言う間にロドスの間合いに入り、杭打機がドゴン!! と言う音を立てて打ち込まれる。
『へぇ、やりますねぇ』
「フンス!!」
それにイブはまともに対抗などせず、マジックバリアを斜めに傾ける事で受け流す。床に打ち込まれた杭が、再びモーフィングし腕へと戻るが、その隙にイブはロドスと間合いを開けた。
さて、これで一旦、仕切り直しかね?




