新しい街
周囲を探索し、いくつかの植物サンプルも採取した。この辺りはヴィヴィアンに渡して調べて貰おう。
取り敢えず見渡した視界の中には町の様な物は見当たらん。あてどなく彷徨うのも何なんで一先ず地図を作成しながら周囲を探索する事にした訳だが……
「便利だなぁ。おまいら」
『【歓喜】お褒めに預かり光栄です。マスター』
『【当然】むしろこう言う作業こそロボットの真骨頂なのデス!』
確かにロボットっちゅうか、メカにはそんなイメージはあるけど、だが決して、武器の真骨頂は、目算で山の高さやら何やらを正確に計る事じゃないと思うんだ。便利だけど。
この世界にある地図ってのは、基本ランドマークに成る物を記して、その目印を確認しながら自分の位置を確かめるって物でしか無く、それにしたって、充分、戦略物資として見られる訳だから、俺達が今描いてる等高線図なんて、どんだけの物だって話なんだわ。
もっとも、ここでそんな地図を描いてるのは、これを使うのが自分達しか居ないからなんだがね。身内しか居ないんなら利便性の高さ優先って事で。
ただ、この地図をこの周辺に居るであろう領主なり貴族なりに見られれば、充分なスパイ行為に見られるから、取り扱いには気を付けんといかんのだがね。
『【推測】恐らく山道だとは思うのですが……』
『【推定】旧道ではないのデス? 使われてる様には思えないデス』
「いや、道だってんなら、どっか町か村には通じてるって事だよな?」
そんなこんなで俺と聖武器二人とで地図を描きつつ、発見した道らしき物について意見を交わしていると、俺の袖を引いて来る者1人。
「トール、様、ごはん、出来た」
今日のご飯担当のイブさんな訳だ。普段料理を作ってるのはファティマなんだが、今はこうして地図製作の方に駆り出してるからね。
ラミアー? 彼女に料理が出来る等と、何時から勘違いしていた? してないか、そう、だよな。
それはさて置き、こうして地図の作成をしている内に、どうやら街道らし物を発見した訳だ。
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「それなりに賑わってるのな」
「ひとが、多い、よ?」
「暇なぼ-けんしゃ、ばっか?」
「ふわぁ……」
「アオン?」
「オン!!」
「ワンワン!」
「ワオン!!」
『【想起】生きている遺跡のある町は、こう言った冒険者達が集まる様に成ると聞いた事が有ります』
生きている、ね。ファティマがこう言う言い回しをしてる以上、ただ、稼働してるってだけな訳じゃないって事だよな?
『【肯定】稼働してるだけなら兎も角、未だに拡張を続けているダンジョンはとっても珍しいのデス』
拡張?
『【肯定】そうです、未だに自己拡張を行い、育っているダンジョンの事です』
へぇ、そんなのがあるんだ。ただ、稼働して現状を維持しているって訳じゃないって事だな。
『【追従】デスデス』
ふうん。ちょっと見てみたいな。後学の為にも。拡張してる所とか。だって、この街の中に有るのか近くに有るのかは分からないけど、そのダンジョンって、つまり、地上の状況を変えずに、地下を拡張してるって事だろう? 俺の領地の街でも応用効きそうだし……あれ? でもそう言った場所をどっかで……
あー、思い出した。エクスシーアが居たダンジョンだ。多脚多砲塔戦車が自己増殖の為に素材掘り出す為に拡張とかしてたわ。全部、吹き飛ばしたけど。
ちゃんと確認しときゃ良かったな。でも、まぁ、上手く行けば、ここで確認できるかもしれんって事だな。
「ダンジョンに入る許可って何処で貰えるんだ?」
エリスん所も、家の国も王様が許可出してたからな。そう言えば聖王国もそうだったか。
『【想起】確か、冒険者ギルドだったかと思います。マスター』
そうなのか? その国で結構違うのかね?




