結構、柵も増えて来てた
召喚誘拐に関しては、別の人間がやられてた場合は、もっと深刻な状況に成っていたのは明白で、これ、狙われたのがジャンバルディー君だったから、巻き込まれ召喚された俺がどうとでも出来たってだけの話だからな。他の人間。例えば王子だったりしたら、取り返しのつかない事に成ってたかもしんない訳だ。
もしこれ成功してたら公爵家ってぇ影響力のデカイ家の子息が言いなり。下手すりゃ未来の公爵が言いなりに出来てたってぇ大事だった訳なんな。
ジャンバルディー君が狙われたのも、その辺を狙っての事でもあるんだが、普段から意のまま我侭ジャンバルディーな御子息が、変に唐突な命令をしたとしても、不自然じゃないだろうって思惑もあったらしい。
うん。普段、品行方正な人間が、唐突に我侭な命令下したら、何者かの関与を疑われる可能性があるけど、普段から我侭な人間だったら、そうそう変には思われんよな。
普段の行い大事、大事。
これ、普段からこうだったから狙われたのか、それとも狙われても不自然じゃない様に我侭を許されてたのか……
いや、これ以上は止そう。闇が深すぎる。
さて、今回の事件のキーアイテムに成ってる【ティンダロスの瞳】は、現状俺が預かってる。件の対魔法具に接続されてる指輪の一つがソレな訳だ。あの派手魔導士の現在値とか把握せにゃならんからな。
当初は俺がプラーナを供給しつつ、ジャンヌに使ってもらう予定だったんだが、『【動揺】それは、ちょっと、困る……デス』とかってやんわりと断られてあげくに、超速であの対魔法具を仕上げてくれた訳だ。
……何かやったっけか? 俺。
うん。泣き叫んでも止めなかったり、足から注入してみたりとか結構やらかしてたわ目の前で。
まぁ、良いか。この【ティンダロスの瞳】、古代遺跡からの発掘品で、結構な貴重品であるらしいとあの派手魔導士からは聞いているが、ダンジョンからの出土品って事は、全く同じものが無いって訳じゃないだろうから、今後も警戒は必要だろう。
今回の事の顛末や指輪に関しては、いつも通りのルールールー、ルーガルー翁経由のホットラインで国王には通達済み。
その返事も貰って、エリスん所にも注意喚起はしておいたし、一応、リティシア嬢にも連絡済み。あそこん家、一応公爵様らしいし、上手く情報を使ってくれるだろう。多分。
因みに、俺に『絶対服従』が効かなかったのは、別に巻き込まれ召喚だったからじゃないらしい。
『【説明】『絶対服従』は、魔法回路経由で、魂に刻み込まれる術式デス。本来は精霊を使役する為の術式であって、精霊が魔術回路を持っていないって事は無いのデス。ですので……』
魔術回路そのものの無い俺には効かなかったと。ああ良かった!! 俺に魔術回路が無いせいで無事、事件が終わって! その上、今後も俺は『絶対服従』に脅かされなくて良いんだ!! やったぁ!! ちくしょう……
てか、精霊って、確かバストも精霊だったよな? あれ? アイツって個体じゃないって事なんか? あんなお花畑種族が居るって事か?
『【否定】バストは、正確には“精霊に愛された個体”デス。つまりは精霊に力を与えられ、半精霊となった者デス。なので、精霊と同じくらいの力の行使できる個人なので、アレを狙って召喚する事は出来ないのデス』
そう、なのか? あれがワラワラいるかと思ってちょっと焦ったわ。戦闘に成らない闘いとかって、やっぱり苦手だわ俺。
兎に角、この件で俺に出来る事は全部やったよな? 後はお偉いさんに任せよう。俺、ただの冒険者だし。最近あんまり冒険やってないような気がしないでもないけど、冒険者なんだよ?
『【疑問】魔物暴走は……いえ、まぁ良いデス。それよりも、ただの……デス?』
ただのだよ、一応。冒険者としては。ただのD級冒険者だし。
『【嘆息】ランク詐欺も良い所デス』
黙らっしゃい。




