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返すまでが召喚です

 ぶっちゃけね、公爵家子息(ジャンバルディー)君がどうなろうと、第二夫人に類が及ばないならどうでも良いんだわ。

 基本俺、公爵家嫌いだし、例え同じ血が流れてようが、所詮はよう知らんガキでしかないからな。

 だが、派手魔導士達(こいつら)が、任意で人を召喚でき、その上『絶対服従』なんて事が出来るって事になりゃ、話は違って来る。


 何処に居ようと自由に拉致が出来るなんて、危険極まりないからな。それも『絶対服従』なんてオプション付きで。それは掻っ攫われた(ほんにん)が言うんだから間違いない。

 例え、対魔法具なんて物があったとしても、今回みたいに隙をついてなんて事はいくらでもできるだろう。多分ジャンバルディーは眠る為に『身に着けておけ』とか言われてた対魔法具を外しちまったんだろうさ。何となく寝辛い位の勢いで。まぁ、子供のやる事は大人の予想を簡単に外してくれるからなぁ。


 そんな危険物、こんな犯罪者集団に持たせておく訳にゃいかんだろうさ。俺が派手魔導士に一歩近付こうとすると、ハッとした魔導士が杖を構える。


「タルウィト・ボオーバ……」

「阿保か」


 呪文を唱えようとした魔導士の顎を容赦なく蹴り抜く。近接戦闘職の人間目の前にして悠長に呪文唱えるとか、なに考えてるんだか。

 いや、【魔法】位しか対抗手段がないのか? だとしても、そこは杖術で対抗する所やろが。……もしかして杖術とか使えないのか? マジで? 馬鹿なの? 死ぬの? ってか、接近されたら死あるのみなの?


 もうちょっと自分自身の生存率上げてこうよ。マジで。杖術をマスターしろとは言わないけど、せめてナイフかダガーくらいは使える様にしとこうぜ?

 そんな風に魔導士の現状について嘆いていると、派手魔導士が踵を返した。ので、回り込んでの払い腰。


「どこに逃げようってんの?」

「クソックソッ!! ブィロウズが捕まって、やっとここまで立て直したってのに!! 何で貴様の様なバケモンが!!」


 ……いや、コイツ等赤銅色のゴブリンライダーの残党かよ!! なのによく俺の顔が分からなかったな!? 昔の俺の噂を隠れ蓑にしてた上に、俺に壊滅させられたのに!!


 そう言や、木っ端貴族をトカゲの尻尾切りにしてたんだから、その上の貴族連中と、末端は生き残ってても可笑しくはないんか。


 って事は、コイツ等にアーティファクトを都合したのは、そっちの上位貴族って事か? つまりは公爵と敵対している派閥の貴族って筋が濃厚だな。


 いやいや、何で俺がそんな事を考えんきゃいかんのよ。そう言った政争とか真っ平ごめんなんじゃよ。

 それは兎も角、コイツにゃ、色々と吐いて貰わんとな。


 さて、俺の愛読書である所の『人の心を折る50の方法』の一ページ目から試してみましょうかね? いったい何ページ目迄耐えられるのか、楽しみだ。


 ******


 結局ね、4ページしか耐えられんかったよ。つまらん。

 召喚する対象を選別していたのは【ティンダロスの瞳】って言う魔法の指輪(アーティファクト)の力だったらしい。何か色々とツッコミたい名前のアイテムだけんどもさ。角の無い部屋とかに居れば逃げられそうだよな。

 俺は、差し出された指輪を弄びながら、派手魔導士の説明を聞いていた。


「……はい、買収した侍女に髪の毛とか爪とかを持って来て貰い、指輪に登録して実行しました」


 買収した侍女に協力して貰えるんなら、内部から手引きして貰えば……いや、そこまでのリスクは負って貰えんのか。

 買収して尚、髪の毛やら爪やらを渡してもらう程度しか協力を仰げんかったって事か?

 いや、そもそも、普通に拉致しただけじゃ『絶対服従』とかさせられんかったか。


 取り敢えず、複数人登録できるかは未知数だし、登録に一定以上の対象の体の一部が必要なんか。あんまり使い勝手の良いアイテムじゃないなぁ。

 多分本来は、行方を探したりするのに使う為のアイテムなんだろうな。むしろ良く、これ使って召喚して服従させようとか思い付いたよな。


 もしかして、体の一部が必要ってのは、その中に有るDNA情報が必要だからか? 成程、俺もついでに召喚される訳だ。DNA的には同じだもんな。俺とジャンバルディー君。


「じゃ、解放してやるから、ちゃんと送還してくれ。もし、変な事をしようとしたりしたら、()()()()()()?」


 頭髪の半分を引っこ抜かれ、何かツーブロック風の髪形になった派手魔導士が悔し気に頷いた。うん。たった今、指輪にコイツの情報を登録したからな。すぐに居場所は分かる。いや、対魔法具で抵抗はできるんだったか。確か。

 でもまぁ、魔法具に込められた魔力以上の魔力があれば見つける事も出来るっポイし、そんときゃ、ジャンヌにプラーナを注ぎ込みながら指輪を使って貰えば良いか。


 解放された派手魔導士とその一行が、送還の為の呪文を唱える。一応、ジャンヌに【念話】で伝え、即時に怪しい事をしてないかを判断して貰いながらその様子を見守る。


 輝きを増す魔法陣。取り敢えず、派手魔導士達に怪しい動きは無かった。俺の隣には、【睡眠(スリープ)】の魔法で眠って貰っているジャンバルディー君。下手に動き回られると厄介だしな。

 送還されれば『絶対服従』も解ける筈だし、問題はねぇよな?


 一際魔法陣が強く輝き、身体に浮遊感。この残党を残しておくのも少しっばかり不安でもあるが、一応、まともに働けとは言ってあるし、()()あったら、即座に居場所は分かるから、その時対処をすりゃ良いやね。


 そもそも、今の所放置せんと、帰還出来んのだし。

 さて、これで一応の決着かな?


 全く、6才の誕生日だってのに、無駄に疲れたわ。

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