外道の外法
槍先が全て俺の方に向かってるなら、むしろ遣りやすいってなもんだわ。ヤリだけに! おっと、何故か背筋に冷や汗が。
俺は自分に向かって来ている槍の僅かなタイムラグを見極めて、弾き、流し、踏み付ける。
「な!!」
これで驚くって事は、俺って人物の情報は手の内にないってこったな。もしくは、持っては居るが、情報と実情が結び付いていないのか。
ジャンバルディーが跪いているのも丁度良い。って事で男共の鎖骨下辺りめがけて、指からビーム!! 雑魚とは違うのだよ! 雑魚とは!!
この辺痛めると、腕に力が入らなくなるんよね。想定通りに男共が槍を取り落とす。俺が一瞬で男達を制圧したからか、派手魔導士の顔色が悪くなり、他の魔導士達も顔が青ざめる。
「詠唱も無しに魔法を使えるだと!!」
そっちかよ。【詠唱破棄】なら、ジャンヌもイブも使えるんじゃが? てか魔法じゃねぇし……魔法じゃ、ないんだよ……
「ま、まさか悪魔を呼び出したんじゃ!!」
「だから、私はそんな怪しげなアーティファクトはやめて下さいと!!」
「五月蠅い!! ちゃんと公爵のガキも召喚できただろう!!」
誰が悪魔か!! これでもイブさんや第二夫人辺りからは『可愛い』と称賛されているトールくん(6才)だぞ!! それ以外の相手から言われた事は無いがな!! あれ? 何か、目から汗が。
って言うか、アーティファクト? 恐らく派手魔導士の持っている杖か、で、無ければ、身に着けてる装飾品か……って、身に着けてる装飾品多いな!!
兎に角、あれらのどれかがアーティファクトとやらなんだろう。その絶対服従みたいな条件もアーティファクト絡みか?
『【否定】違うと思うのデス。『絶対服従』辺りは召喚魔法の基本的なオプションの一つなのです!!』
オプション?
『【肯定】呼び出した精霊が言う事を聞かなかったら、困るのはむしろ召喚した方なのデス』
あー、うん。そうだよな。
『【説明】ただし普通は、命令の後、対価を与えて帰還させるデス。対価が少なかったり、気に入らなかったりした場合、精霊はひと暴れしてから帰還するデス。基本的に召喚で全く同じ個体の精霊を呼び出す事は出来ないデス。なので、召喚する度に『絶対服従』を付与するデス』
うん? それで精霊界に戻った精霊はその『絶対服従』ってのは解除されるって事か?
『【肯定】その通りデス』
いや、ちょっと待て、それって、精霊は精霊界に帰るから出来る仕様だよな? 人間召喚して、帰る場所ってのは……
『【納得】そうやって『絶対服従』の契約だけ残すって事なのデス』
未だ青い顔をしてる魔導士達を見る。多分、召喚相手を固定できる様なアーティファクトを手に入れてるって事だとは思うが、それで、人を呼び出して、従属させる、ね。
そっかそっか、オジサンちょっとこの派手魔導士とOHANASHIしなくちゃいけないなぁ。




