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外道召喚

 ら~ち~か~ん~き~ん~。


 今起こってる事をありのまま話すぜ!!

 6才に成ったこの日、俺は目を覚ますと、謎の魔法陣が輝く石畳の上いた。何を言っているか分からねぇだろうが、あれだ、異世界召喚物のテンプレのアレだわ。

 何か周囲に魔導士風な輩とか居るし!


 トール・オーサキ辺境伯(6才)。勇者召喚、されました。


 ******


 とか、言っておくとテンション上がるかなぁとか思ったんだが、思いの外上がらんかったわ。だって拉致だし監禁だし、周囲の魔導士風な輩以外は、武装した、人相の悪いむくつけき男共だし、槍突きつけられてるし。

 そんな周囲に居る魔導士風な男達に色々と聞きたい事は有るんじゃが、目下俺の頭痛の種は、一緒に召喚されたっポイ、マイ・リトルブラザー。

 今は状況が把握できていないのか、ポカンとした表情をしてるが、状況を把握出来たあと、どんな行動に移るかが読めんのよね。ワガママボンボンの思考なんざ、よう知らんわ。


 目ぇ覚ました直後に、ファティマ達にした【念話】が普通に通じたから、ここが別の異世界じゃないって事は分かってるんだが、場所までは特定できんし、コイツ等の目的も分からんしな。


 てか、むしろこれ、俺の方が巻き込まれ召喚臭くね? だって、俺の、特に対外用バックグラウンドを知ってる奴等だったら、ぜったいこんな方法で()()なんざしないだろうし。


「オイオイ、何で()()()()んだ? どっちが公爵んとこのガキだぁ?」


 魔導士風の男の中で、一際豪奢なローブを着込んだ男が、そんな風に声を上げた。

 はい確定。多分、召喚条件が公爵の息子とかそんな感じだったんだろうさね。『血は水よりも濃い』てぇ慣用句を実感させられる日が来るとは思わなんだわ!!


 しっかし、召喚魔法(こんなほうほう)で拉致とかできるとか、普通は何か対策立ててる物じゃねぇの? 俺は立てて無いが。 その代わり、大概の場所で生き延びられる自信はあるぞ? 伊達に生まれた時からサバイバルな生活して無いわ。

 とか考えてたらジャンヌから【念話】が入った。流石は【魔法】【魔術】のエキスパート。


『【思案】対魔法用の魔導具(アーティファクト)は有るデス。でも、内包する魔力以上の魔力量で魔術を掛けられたら、そもそも抵抗出来ないデス。それに、魔導具を外してる瞬間を狙われたら、抵抗する、しないとかって話じゃないデス。ただ、本来なら入念な準備と膨大な魔力が必要な所業デス。おそらく年単位で準備してたと思うデス。』


 マジか。しかしまあ、成程。スパイ1人居りゃ、そんな隙は直ぐに連絡されるか。

 もっとも、それが出来るって事は、公都から、それほど離れてないってか、下手すりゃ公都の中かもしれんが。

 ただ、費用対効果的にどうなんだ? これ。ここまでしても高々ボンボン一人掻っ攫うだけしか出来んのに。何したらペイできるのかまるで分らん。てか、今回に限ってはいらん(おまけ)まで付いて来てる訳だが。


『【説明】普通はしないデス。どれ程準備したのか知らないデスが、召喚魔法で実在の人物を召喚するには、その人物に関わる品を用意しなければいけないデス。例え触媒を出来るだけ集め、儀式魔法で魔力を極限まで高めたとして、それでも的確に本人を召喚出来る確率は低すぎる位デス』


 つまり、何某かの確信が有って行ったって事か。俺とジャンヌがそんな事を【念話】で話していると、派手魔導士が鼻を鳴らす。


「まぁ、良い。間違っていたら、間違っている方を殺せばよいだけだ」


 中々物騒な事を言いやがる。こちとらピッチピチの6才だぞ、と。って言うか、兄弟って選択肢は浮かばないみたいだな。まぁ、公爵家のご子息、一人っ子ってのが公式発表だし、それに顔がなぁ。やや痩せ気味の俺とちょっとギネスに載れるかも知んない程の太っちょのコイツだと、面影も見付けられんらしい。この世界ギネスブックは無いんじゃが。


「取り敢えず『従え!』そして『跪け!!』」


 ? 何言ってんだコイツ? 首をかしげる俺の横で、呻き声と共にジャンバルディー(おとうと)くんが何か跪いてる。

 え? 何で? コイツ、こんなことする様なキャラじゃ無かったじゃん。と言っても、実際に見たのは一回だけだったし、その他には、コイツの噂の所為で第二夫人が心労を重ねてたって位の印象しかないんだが。


「うん? 何故、跪かない?」

「いや、何故、跪く必要があるんだ?」

『【思案】恐らく、召喚時の条件に、織り込まれていたのデス』


 跪くって事をか? あーいや、違うのか。恐らく絶対服従とかそんな感じの物だろう。成程、公爵家子息が思いのままって事に成れば、その利用価値は計り知れんからな。


「成程、コイツが偽物だ!! どうやって術式に介入したのかは知らんが、己の身の不幸を呪え!! 小僧!!」


 男がそう言うと、周囲の男達が、その構えていた槍を一斉に俺に向かって突き出して来た。

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