光源氏計画かよ!!
……またか、またなのか。どう見てもこいつ二十歳超えてる様に見えるんじゃが? ロリコン率多くねぇかな!? この世界!!
いやまぁ、エリス今13才だし、貴族なら10歳位の年の差は有りっちゃ有りなんかも知れんが。
取り敢えず、名乗ったんなら、名乗り返すが世の……じゃなくて礼儀か。
「俺は……」
「いや、賤しい元庶民の挨拶など要らないよ。で、僕の姫君は何処に居るんだい?」
……ファティマ、聞こえるか? 執務室に戻らんで良いから、そのまま誰か警備の騎士呼んで来てくれ。後、多分無いだろうが、隣国からの貴族の入国手続きが有ったかどうかの確認も。
『……【了解】分かりました。マスター』
……取り敢えず殴って留置場に転がしときゃ良いかな? 元庶民だとか言ってる時点で俺の素性は分かってるって事でオッケーだよな?
その上でこうしてるってのは、詰りは違法越境を分かってて犯してるってこったからな。
だがまぁ、建前上、警告だけはしとくか。
「一応、言っておこう。貴殿は我が国の領地を侵犯している、警告に従いこのまま……」
「何を言って居る。やがて僕の領地に成ると言うのに、何故貴様ごときに警告なぞされねばならないんだ?」
……は? 何、言ってるんだ? コイツ……
……あーいやいや、そうか、そう言う勘違いか。
てか、こいつの素性を調べるのが先だったな。
ファティマかジャンヌか、どっちでも良いんで、アリウス・ゲルベゼーテってヤツの情報ある? アリウスって方だと引っ掛かる物は無いかもしれないけど、ゲルベゼーテって方で、特に魔人族国周辺の国で。
『【思案】600年ほど前には無かったと思います。マスター』
『【想起】確か200~300年程度前に興った、若い国だった筈デス?』
タイムスパン長げぇな、おい。てか、ああ、やっぱりあるのか。周辺諸国に。なら、想像通りだろう。
うん。根本の原因作ったエリスは後でSEKKYOUだわ。
「おお!!」
え? 何!? 突然の感嘆の声に、ちょっとびくっとして、その声を発したアリウスの方を見ると、なんかラミアーの方を見て気色満面って感じの顔をしている。
「何と言う美しき幼女だ!!」
いや! 確かにラミアー絶世の美少女だけどさっ!! だとしても二十歳過ぎっぽい男が『美しき幼女』て。
「ふふ、この様な辺境の地で、これ程の幼女に出会えるとは!! うん。この美貌。僕の側女として相応しい!!」
ガチだったぁ!!!! ガチロリコンだったぁ!!!! やばいよ!! 家のラミアー狙われてるよ!! ダメだコイツ何とかしないと!!
「もう、色々面倒くせぇから言葉使い直させて貰うけどな!!」
「貴様!! この僕に、そんな……」
「そう言うの良いから、どの道お前、犯罪者確定だし!!」
例え勘違いしてたとしても、だ。これ、なぁなぁで済ませる方が問題だし、そもそも国家間の事だから、キッチリしなくちゃいけないし。
「ここな、スルフォブルーローズ魔人族国じゃなくて、デストネーチェ王国だから!!」
「は?」
「もしかしたら、俺の事、魔人族国の“伯爵”だと思ってるのかもしれないし、実際そうだけど、王国の“辺境伯”でもあるし、むしろここ、“王国”の方の辺境伯領だからな!!」
「え?」
ああ、やっぱり、そう言う勘違いをしてたんだな。コイツは自らエリスの婚約者だとか名乗ってた。つまりは件の内乱の時に国王か王弟に力を貸してた周辺諸国の王子か何かなんだろう。
で、賠償金の減額だったりの条件が王女との婚姻かなんかで、エリスは嫌がったけど、コイツが強引に進めようとしてるって所か。
コイツがガチロリコンだったとしたら、もしかすると既成事実を作る目的で、エリスに迫ったのかもしない。だからこそ、俺を頼ってこっちに来たんだろう。
多分、エリスってか、スルフォブルーローズとの婚姻の為に多少は情報を仕入れて来たんだろうが、その中での俺の扱いは、『内乱を食い止めた功績で伯爵になった』位のもので、その後デストネーチェで辺境伯に成ったとかって情報は無かったか、俺に興味なんざ無かったんで読み飛ばしたってぇ所か。
だからこそ勘違いをした。エリスが何の躊躇も無く俺の領に来た事で、ここを伯爵領だと思ったんだろう。
実際、法服貴族として王都に詰めてでも居なけりゃ、領地を貰ってて当然だからな。俺が特殊過ぎるってのもあるが。
「って事だ。例えアンタが将来、王配に成るとしても、いや、成るのなら、むしろ隣国との国境を破るって事が、どれだけ重い罪なのかは理解出来るよな?」
「あ、う……」
「と、言う訳だ。アンタの身柄は拘束させて貰う」
俺がそう言ったタイミングで、執務室のドアが開かれ、騎士達を連れたファティマが入って来た。
いやまぁ、ベストなタイミングだわ。流石と言っておくべきか?
……タイミング、計ってた訳じゃねぇよな?




