政争は嫌なんだがね
早々に撤収したからってのもあるとは思うが、第一王子派、第二王子派から、共にこっちへの干渉は未だにない。
いや、ルールールーの話によれば、王都の水面下では、結構バチバチらしいんだがね。
それでも報告を聞く限り、第一王子派がやや有利って感じだそうだ。
魔物暴走時直後の動きが評価されての話らしいんだが……うん、何も言うまい。
うーん、こう、客観的に見ると、成程、俺の動きは第一王子派っぽくはあるんだが、別に第一王子に肩入れしてる訳じゃないんじゃよなぁ。むしろ、第二王子派がこっちを遠巻きにしてるだけってだけだし。
ただ、最近、第一王子派の兵士が移住して来た事で、俺が第一王子派かもしれないって説を補強しかねない事態に成ってるんで、ルーガルー翁に、『第一王子派の勢力を削ぐ為に引き抜いたのでは?』って言う様な噂をバラ撒いて貰う事にした。これで、『え? 結局どっち派なの?』って疑念を植え付ける事が……出来ると良いなぁ。
もっともそれ以前に、宮廷内の勢力争いに関わりたくないんじゃが。
『【嘆息】それならば、いっそ独立国家を作っては?』
『【意欲】その国を足掛かりに、国家統一を目指すデス!!』
おまいら好きだなそれ。まぁ、そんな感じにプログラムされてるからだろうけど。やらんよ? 面倒くさいし。
「それよりもワシのお勧めは、スルフォブルーローズへの亡命なのじゃ!!」
「良し! ハウス!!」
毎度毎度窓から入るな!! のじゃロリ女王!!
「ぬふっ! つまりは屋敷へご招待なのじゃ!! 正式に招待されたのであれば応じるのが礼儀なのじゃ!! ファティマよ! ワシの茶はグリーンティー、蜂蜜入りで頼むのじゃ!!」
『【了解】少々お待ちを』
オイオイ、ちょっと類を見ない程に斬新な解釈だなエリスよ!! そして随分とふてぶてしく成りやがったな!!
「てか、まだ砦の方に居たのか。新年終わってるんだから国元へ帰れよ女王。その前に窓から入るな」
「イケズじゃのう? 隣の家から窓伝いで入って来るのは、幼馴染の特権じゃと聖弓も言って居ったのじゃ」
「おまいが住んでるのは隣国であって隣家じゃない。てか、その情報は数百年遅いわ!!」
いや、確かに幼馴染っちゃ幼馴染だけんどもよ。それより。またアーカイブ知識だろ、ソレ。何と言うか恋愛方面の知識が微妙にラブコメチックなのはなんでや? あれで上手く行くのは本当にラブコメの中だけだかんな?
「昔別れた幼馴染が隣に引っ越してくるのも定番じゃと……」
「マヂで何吹き込んどるんじゃ!? あの恋愛脳!!」
そしてエリスさんや、結構しょっちゅう会ってると思うんじゃが? 別れたって程時間経って無いよな?
「しかし、割と本気で亡命は勧めるのじゃ。ワシの国では詰まらん政争になんぞ煩わされたりはしないのじゃ」
「そのかわり周囲から真綿で包むかの様に結婚を押し付けられる訳だな」
「……てへぺろ?」
おい。




