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鳥が襲ってくるパニック映画とかあったなぁ

 防壁まで登れば、月明かりに照らされる魔物の数々。大量発生とは聞いてたけど、何だあれ? 鳥、かな?


『【確認】ハーピー、の様ですね』

『【追加】地上の方にはコカトリスも見えるデス』

『【歓喜】鳥相手ならワタクシの出番ですわ』


 ジャンヌの言葉に目にプラーナを集中させる。ホントだ。何か地上にも鳥っぽいのが蠢いてる。


『【思案】コカトリスですか、拙いですね』


 前世だと相手を石化させる魔物だったか? もしかして、こっちでも似たような相手なのか?


『【説明】コカトリスは自身の周囲に生物の筋肉を萎縮させ硬化させる毒を分泌しますわ、そうして硬直した獲物を捕食するのですわ』


 現実的でえげつねえ生き物だったわ。いやそれ、避難を急がんと拙いだろう!!

 急いで兵士にコカトリスの事を伝える。慌ただしく防壁の下に降りていく兵士を見ながら、俺はもう一度魔物の群れを睨んだ。


 ******


 軍務卿から命令書を託された俺は、言付けだけして夜会から退出して来た。幸いと言うか何と言うか、ここまで乗ってきた王都内だけで使う用の馬車の方にケルブは繋いであったしな。ってか俺が使えるのケルブだけだし。馬車の訓練をサボってた訳じゃないんじゃが、楽なんよケルブの方が。俺の意思を読んで動いてくれるからなぁ。


 そして馬車の中には護衛代わりに連れてきたファティマとジャンヌ、そして聖弓が乗ったままに成っていた。俺だけなら兎も角、エリスはなぁ。一応、女王だし?

 ファティマ達は、実際は聖武器なんだが、現在の価値区分で言えばゴーレムであり俺の所持品扱いだ。聖弓はエリスのだが。会場にまで連れて行かなきゃ、馬車で待たせとくだけなら問題はない。要は、持って来ていた“物”を馬車の中に置いておく様な事だからな。もっとも、俺はファティマ達を物だとか思ってないんだが。


 自由意志持ってるファティマ達を放置するて、法的に問題なくても、実は色々と不味いだろうに、ガバガバな法律に今は感謝だわ。そのおかげで、今こうやって【念話】ですぐに呼び出せたんだから。これが、屋敷に置いて来てたらここまで早く合流は出来なかっただろうさね。


 オファニムを纏いケルブを接続した俺は、ファティマを担ぐと、ジャンヌと聖弓をケルブにマウントし、一路防壁を目指したって訳だ。


『【反論】鳥相手ならボクだって出来るデスゥ!』


 フフンッと胸を張る聖弓にジャンヌが噛み付く。

 いや、まぁ、魔法使い型だからなジャンヌ。俺も一応指からビームは出来るが、口径の小ささとか鑑みると、魔物相手だと有効な攻撃手段に成らんのがなぁ。ピンポイントで目とか眉間とか致命傷になる所を狙えれば良いんだが、そこまで精密射撃できんから。


「まぁ、どうするにしても、軍務卿等が来てからだ」


 俺達がそんな会話をしている最中も、弓矢を携えた兵士が防壁の上へと上がって来る。俺達が命令書を託された理由は、あの城の中で俺達が一番脚が速いからってのもあるし、多分最大戦力でもあるからだ。

 主戦力である兵士が到着するまで、何とか時間を稼いで貰いたいって事な訳だな。


 これは、防壁外に住んでいる住人の避難時間を稼ぐ為でもある。王都は農民なんかの住人は防壁外に作られた街に住んでるからだ。

 もちろん、そう言った外町にも壁は有るちゃ有るんだが、3m程の、文字通りの石壁なんで、例えば進軍して来た敵の脚を遅くする位なら出来るが、それで完全に歩みを止めるって事はまずできない。


 今回みたいな魔物相手だと尚更な。もっとも、あのハーピーみたいに空飛ばれたら、どんだけ高い壁作ったって無意味な気もするんだが。


「てか、何で聖弓(ロボセイント)はこっちに来たんよ。エリス守ってて貰ったほうが良い気がするんだが?」


 正直、王城の方で魔法防御壁を張ってて貰った方が後ろを気にしなくて良い分楽なんだがね。


『【肯定】そーデス! お堅い聖女様はガッチリ守りだけ固めて今まで通りに貞操を守ってれば良いデス!』

『【拒絶】黙らっしゃい!! 貴女だって未通(おぼこ)娘でしょうが!!』


 おまいらどっちも武器(ロボ)やろが。絶対コイツ等、人格ベースに成った人物居るよな。


 今回、聖弓に王都全体に魔法防御壁を張って貰うって作戦は使えない。

 魔法防御壁は、(あら)ゆる物からの()()()()をする神聖魔法だからだ。

 その性質上、味方の攻撃どころか、例えば酸素の様な生きる為に必要な物質も通す事がないんよ。


 まぁ、王都程の広域に掛けた場合、窒息とかは早々考えんでも良いんだがね。王城の敷地の中に森とか有りやがるし。

 ただ、攻撃ができないってのは悪手だ。


『【肯定】今回の場合、守りだけ固めても、外部からの援軍が期待できないので、ジリ貧にしかなりません』


 それな。どれだけ潤沢に備蓄が有ったとしたって、補給が無いなら食い潰すってだけになる。

 それに、魔法防御壁の維持が聖弓1人に掛かってるとか、そこが破綻したら壊滅する可能性だってあるとか、お話にも成らんわ。


 ただそれも、王都全体に掛けたって場合の話だ。なんで、王城で人々を魔法防御壁で守りつつ、群れを迎撃するってのが、多分理想だと思うんだがなぁ。

 そう、言っては見たんだがね。


『【確信】今回の様なシュチエーションなら、ワタクシを攻撃に使った方が絶対に有益ですわ』


 って、聖弓が主張するんでな。

 まぁ、お手並み拝見って訳なんだわ。

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