女王襲来す(何時も通り)
「来たのじゃ!!」
玄関から入れと、何度も何度も……
「な! 何じゃ!! ゆ、指から光線なのじゃ!? ちょ、やめ!! 無言で、光線を撃つななのじゃぁ!!」
あの後ね、プラーナビーム、魔力装甲からじゃ無くても撃てる様にしたんよ。
貫通力は高いんじゃが、口径的には小さいし、傷口を焼く様な感じに成るんで、致命的な場所に当たらないと、ダメージが低いんよね。
なんで、牽制用って感じでしか使えんのよ。魔物相手だと。
多分、対人ならそれでも行けるんだろうけど。
まぁ、俺のメイン距離近接だし。そうなると、今までみたいに腕を構えて、なんて悠長な事やってると、まるで使い物に成らないんよね。
そう言う訳で、取り敢えず指から発射できる様にしてみた訳だ。
これ、最終的には体のどこからでも出せる様に成るのが理想なんだがね。まだ、イメージ的にそこまで掴めてない。指はね、『偉い人には分からん決戦兵器』とかそんな感じだからイメージは簡単だったわ。後、『青い量産機とは違うヤツ』とか、『サイコな巨大人型兵器』とかとか。
必死で避けてるエリスには悪いが、お仕置兼ねてるんで止める気はない。公式訪問なら先触れを出せと何度も何度も。何か今、砦の方に詰めてるらしいんだが、本国の方はそれで大丈夫なんかね?
まぁ、それは俺が心配する様な話じゃないし、拙かったらゴドウィン候が出張ってくんだろ。
それよりも、だ。隣国に勝手に入って来るのは不法入国だちゅうの!! いつも思うんだが、不法に入国せんと死ぬ病気にでも罹ってるんかね? この女王様は!!
そう言った抗議の意味も込めたお仕置きだし、当たった所で、ちょっと……結構? いや、かなり『熱い』って位だから、まぁがんばんさい。
「や、止めるのじゃ!! 何だか分からんが、ワシが悪かったのじゃ!! お願いだから止めて欲しいのじゃあぁ!!!!」
……おい。
「一っ国っのっ、トップがっ! 訳も分からんのに、謝るとか、有り得んだろううが!! エリス!! それも、他国の貴族に!!!!」
「え? オヌシ様は我が国の貴族でも……」
「だまらっしゃい!!」
そう言いながら、左手に加え右手指先からもビーム追加。
俺が魔人族国の貴族だろうと、同じ事だ!! 王女と言う地位は、そんなに安い物じゃ無いんじゃよ!! それ以前に理由も分からんのに謝るなや!!
「ひぃぃ!!!!」
******
で、エリスの訪問理由だがね、王国の新年の夜会での、俺のパートナーとして立候補する為に来たんだそうな。
「いや、新年の式典とか、おまいの国でもあるだろうよ。そっちに出ろよ女王」
「い~や~じゃ~!! オヌシ様のパートナーとして出るのじゃぁ!!」
そもそも誰だよ、エリスに俺がデビュッタント代わりに夜会に出るとか報告したの。
「……」
『【動揺】ギクゥ、デスゥ……』
よし、そこの少しずつ逃げる準備してる某ジャンヌ。ちょっとオジサンとOHANASHIしようか。
******
まあ、予想通りというか、話のソースは聖武器ネットワークからだったんだわ。
いや、ジャンヌ的には情報漏洩ってつもりはなくって、ただの雑談位なノリだったらしいんだわ。
てか、ネットワーク使って雑談とかしてんのかよ。
で、『俺が社交ダンス習ってる』『今度夜会に出るらしい』『パートナーを探してる』って事でエリスがすっ飛んで来た訳だ。
前に言った通り、夜会でのパートナーってのは、身内じゃなければ恋人か婚約者が通例だからな。
俺の婚約者の座を虎視眈々と狙うエリスとしては、黙っていられなかったって事なんだわ。
そもそもパートナーになった時点で既成事実が出来上がる訳だからな、そりゃ狙うだろうさ。
「だが、おまいは隣国の女王だ、新年式は自国に居なきゃあかんだろ?」
「そこはそれ、国同士の仲を深める為にじゃな……」
「普通、それで親善に向かうのは、国王の身内か宰相とかだろ? むしろ来るなら元国王かゴドウィン侯だわ」
「なら、父上を国王に戻すのじゃ!」
いや、それは止めれ。マジで。




