買食い?
予約投稿が上手く行かず、遅れてしまいました。
申し訳ありません。
「ふわぁ」と目を輝かせるのはティネッツエちゃん。前に公都に来た時は、ほぼほぼ通過しただけで、こうやってじっくりと街並みを見るって事もしてなかったからな。
俺の作ってる街とも、もちろんコボルトの集落とも違う街並みの感じ。規模で言や、大森林の街だってそれなりなんだが、歴史ある町ってのは、それだけで一味違うやぁな。
「あら、イブちゃん!! 里帰り? ほら!! これ持って行きな!!」
「ん、ありがと」
「おう!! イブちゃんじゃねぇか!! 今日はドラゴンスレイヤーは一緒じゃないのか? ってぇか、偉い別嬪さん達も一緒なんだな!! 良し!! この串持ってきな!! みんなで食べてくれ!!」
「……ありがと」
下町のアイドルは健在だな。獣人のおっちゃんおばちゃんが、機嫌良さそうにシッポを揺らしながら声をかけて来てくれる。まぁ、この辺りの屋台の人達からすれば、あんなにやせっぽちで、ちょこまかと自分達の手伝いをしていた幼女が、今は見目も整ってちょっと裕福な商人の娘さんって感じに成長してるんだから、まるで自分の娘が立派に育った様に感じるんだろうさね。
実際、半分はこの街の人達が育ててくれたって言っても過言じゃねぇしな。
衛生管理って物の意識が根付いたのか、昔に比べると、この辺りも随分綺麗になった。屋台なんかの組合が金を出して、準冒険者の連中に清掃の依頼を良く出す様に成ったとグラスが言っていた。
それに合わせてって訳じゃないだろうが、どうやら下水道の整備何かの公共事業なんかも進んでいるらしい。
遅ればせながらの雇用対策も兼ねてるんだろうな。それに伴ってスラムの解体も進んでいるって話だから、やっぱり為政者としては能力は高けぇんだよなぁ。公爵。家庭を持つ男としては最低だが。
領主がアレだが、公都は生まれ育った場所って事も有って、やっぱり愛着のある町ではある。だから、より住みやすい街へと変わって行くのを見るのは、悔しさもあるが、何と無く嬉しいと思ってしまうのはしょうがない事なんだろう。
そんな事より。
『【嘆息】こればっかりは、流石と言わざるを得ませんね』
『【喜色】うん、流石はボクの弟子デス!』
『【否定】それは関係ありません』
「ふわぁ、いっぱいです、イブねーさま」
「ん、感謝して、たべ、よう?」
「はい!!」
「人徳と言う物でしょうね、わたしも短い間ですがここに住んで居たのですが、ここまでの関係を構築できる自信はありません」
「んー……」
「アンアン!!」
「アオン?」
屋台を冷かしながら、適当に食べ物とか買おうと思ってたんだが、今の所、買うまでも無く食い物が集まって来やがる。イブ! 恐ろしい娘!!
取り敢えず広場まで足を延ばし、そこでスープを買って来る。
うむ、素材の味が生きたスープだ。……あれだな、椎茸的なキノコでも探すか……マタンゴとかじゃねぇよな? 帰ってからヴィヴィアンに確認してみるか?
ただ、キノコだからなぁ。管轄外って可能系もあるのか。
キノコ類は特に本当に危険だからなぁ。例え火を通しても、その毒性的に安心できなかったりとか。
専門家とか居ないと、初見のやつとか絶対に口にできんのよな。
何処かにキノコの専門家でも落ちてないかね?
「オン?」
バラキが見上げてきたんで、ワシャリながら、串焼きをスープに入れて分けてやる。
うん。スープが結構なオーガニックなんで、濃い目の味付けの串焼きも、コレと一緒なら犬達でも大丈夫だろう。ラミアー、食べるなら俺の上から離れれ。タレが落ちそうだ。
うん。イブ有り難う美味しいから、俺に食べさせてないで自分でも食べなさい。
ほら、ティネッツエちゃんが、自分の串焼きをおまいの真似して、俺に差し出そうとしてるからな? そしてルールールー、そのジト目は止めてください。オネガイシマス。
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軽く腹を満たして、雑貨系の露天を冷やかす。
「家の景品の方が、完成度は高いですね」
うん、それは俺も思ったわ。いや、こう言った露天の商品は、基本的に店で出せないって程度の品な事が多いからなぁ。
まぁ、だからこそ、たまに掘り出し物とか有るんだが。
そういう意味だと、すべての細工物がドワーフ謹製って、家が可笑しいんだよな。




