里帰りをしてみた訳なんだが
喜色満面の第二夫人にこれでもかと“かいぐりかいぐり”され、若干死んだ魚の様な目になっているトール・オーサキ辺境伯です。
第二夫人ね、リミッター外れっぱなしになってるんじゃなかろうか? これ、俺じゃ無かったら全身骨折でヴァルハラへと連れられてかれてる所やぞ?
専属侍女さんや、「奥様、ここまで回復なされて」とかって涙拭いてる場合じゃねぇんだ。第一、もうこんな状態になってから3年近く経ってるんじゃろうが!! 可及的速やかに要件を述べるぜ!! ヘルプ・ミー!! ギブ、ギブ、ギブ・アップ!! 解放してくれ!! マジでマジで!!!!
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確かに以前よりは回復しては居るんだろうが、精神的リミッターが外れちまったままだって事を考えると、根本的な解決はしてないって気がする。
こうして俺が会いに来た途端に“可愛がりモード”に入る所を見れば分かるが、社交界での立ち位置の確立は出来ていたとしても、公爵家の中では以前と扱い的には変わらないんだろう。
昔、ってか前世で、リアルハーレムの主のインタビューなんかを読んだ記憶が有るんだが、ハーレムの主は、嫁に対し平等に愛を注がなくてはいけないらしい。例え、夫人同士の間で序列の様なものがあったとしても、だ。
求められれば応じ、優劣をつけないのが、言わば義務なんだとか。
そう言う意味では、公爵は全く成って無い所か、ダメのダメダメだろう。
権力抗争に興味がないってか、兎に角公爵の“愛”が欲しいだけの第三夫人はおそらく公爵の愛を一身に受けている現状、不満など無いのだろう。
だが、公爵夫人としての権力を欲している第一夫人は、他の夫人からマウント取ろうとするし、実際、お世継ぎである子息をまるで自分の産んだかの様に扱い、決して第二夫人に会わせ様とはしないんだとか。
とは言っても、あくまで権力の為の道具扱いなんで、教育方向に関して口を出しはしても、本人が愛情を持って育ててって事もなく、全て侍女任せで声すら掛け様とはしてないらしいが。
あんな、子供、愛情とか結構敏感なんやぞ? おいちゃん、ちょっと公爵令息の事が心配に成って来たわ。
で、この期に及んで、公爵、家庭内権力闘争に関して全く無関心なんだとか。
むしろ、そんな事で自分を煩わせるな位の勢いらしい。
そんな中、一時は生存の危機にまで陥っていた第二夫人。奇跡的に持ち直し、ほぼ味方など居ない四面楚歌の中、孤軍奮闘、粉骨砕身、獅子奮迅の立ち回りで社交界に復帰。その上で猪突猛進、一所懸命、一意専心、面目躍如の活躍で影響力を増やしたんだとか。
それも偏に息子可愛さで。
すでに公爵からの愛情なんぞ、全く信用していないし一欠片も必要とは思ってはいない。
だからこそ命を救ってくれた息子に対する愛情は天元突破するほどに溢れまくっているんたから、分かりますよね、と。
うん。ここまで全てジョアンナの情報。ちょっとバイアス掛かり過ぎじゃないかな? まあ、概ねは俺も同意するが。
まぁそんな感じで、社交界での噂話については任せておいてと第二夫人は請け負ってくれた訳だ。
その代わり、一週間のお泊り確定で。
とは言っても、第二夫人がお茶会なんかにでかけてる間は、俺も時間が作れるんだがね。
ちなみに、イブ達は教会の方にお泊り。流石に公爵邸に来させる訳にもいかんしな。
今回最後まで駄々をこねたのはラミアー。なんぼ俺から目を離したく無いって言っても、こればっかりはなぁ。
結局、俺どころかイブにファティマ、ジャンヌにルールールー、それ所か、今回、約束通り連れて来たティネッツエちゃんも含めて説得して、エナジードレイン5回分で何とか納得してもらったわ。
その代わり、他の皆とも公都で遊ぶ事を約束させられた訳だが。
いやもう、里帰りだけで、何故こんなに苦労してんだか、ホントにさ。




