それぞれの言い分
「騒がしいニャァ。誰ぞ来たのかニャ?」
そんな言葉を発しながら、パルテノン風味神殿からしゃなりしゃなりと出て来たのは、ずいぶんと母性に溢れたおかっぱ猫耳娘。
華美な装飾の無い、体に纏わり付く様な白い服が、その身体のラインをくっきりと浮かび上がらせ、彼女の女性らしい部分を強調するかの様に際立たせているな。
あ、痛い痛い!! イブさん何で抓るとですか!! ラミアー目を塞ぐのは止めれ!!
ミカ! バラキ!! セアルティ!! ステイ!! 唸るな唸るな!!
『【無念】やはりマスターは遮光器土偶の様な豊満な女性が……』
『【遺憾】ボクだって、成長すればあの位には成るデス!! いい気に成らないで貰いたいデス!!』
風評被害は止めて貰おうファティマ! 後、ジャンヌ、多分おまいは、それ以上成長しないと思うの。
「わたしも何か言った方が良いですか?」
「ごめん止めてルールールー」
しかし、『バスト神』か、ここに来て神系。パルテノンからエジプト系女神ってのもどうなんだ?
いや、そもそもここにパルテノン神殿が有るってのもどうかと思うんだが……てっきり中華系かと思ってたわ。
バスト、もしくはバステト。豊穣、音楽、性愛の女神だったか? いや、確かに大虐殺を行った女神でもあるのか。そうなると確かに邪神とも言えるのか? 雰囲気的には邪神とは言えなさそうなんだが、そう言えばクトウルフ神話でも邪神として登場してたか。
もっともあの神話体系、邪神しかいねぇが。
……あれ? 邪神て、確かこの世界だと……
「まったく、コレだから“精霊”はっ!! 人を堕落させる事しか出来ぬくせに、何故、存っ在っするのかっ!!」
「精霊?」
やはり邪神じゃないのか……ってか、人を堕落させるて、それむしろ、悪魔の所業じゃん? いや、この世界だとバフォメット、悪魔じゃなくて魔族だが。
「それを言うなら貴様ニャ!! 下種な魔族の臭いがプンプンニャ!! 人のふりして何を企んでるニャ!!」
……あ、こいついい奴だ。
「クククッ、吾輩は、自身の欲望に忠実であっるっと! 自覚しているだけだ!! キサマ等の様な脳内お花畑の偽善者とは違うのだよっ!! 偽善者とはっ!!」
「何がニャ!! 自分の欲望の為に争いを助長する魔族の方が不要ニャ!! 全ての者がお互いを思いやり、譲り合い愛し合う事で、あらゆる不平等が無くなり世界は平和に成るニャ!! それを乱す魔族の方が許せないニャ!!」
そう言うバスト神はついさっき腑抜けを作り上げましたよね? こんな住人ばっかりの世界とか、滅びの道しか見えんのじゃが!? どうしよう、どちらの肩入れもしたくない自分が居る。
『【思考】どちらかと言えばバストの方に賛同したい自分が居ます』
『【反論】それだとオーナーが覇道を目指せないデス。積極的賛同は出来ないデス』
だから覇道なんぞ目指さないと、何度も……
「イブはどう思う?」
「トール、様、言う事、正しい、から、ついて、く」
「うん、ちょっとは自分で考えようか?」
何か教育間違えたかな?




