敵の名は
豪の者が尊敬される巨人族に於いて、それが例えゴーレム相手であっても例外と言う事は無い様で、観戦をしていた巨人族の皆からは、『あの族長を倒したんだから、泊る位なら良いんじゃね?』みたいな意見もチラホラ。特に女巨人族の人達から。
「エロ族長が顔色を白黒させてるのが、ちょ~面白かった!!」
「エロ族長をツープラトンで倒した時、見ててスカッとしました!!」
「エロ族長の苦しんでる様が、今季一番の最高傑作でした!!」
「エロ族長ざまぁ!! 地獄に堕ちちゃえセクハラオヤジ!!」
「エロ族長に裁きの鉄槌を下した、ゴーレム達、最高!!」
等の感想を貰った……あれ? 掟に言及してる話が無いんじゃが? どういう事だってばよ!! いや、族長、嫌われすぎだろ! どんだけセクハラ繰り返してたんだ!?
まぁ、それは兎も角、色んな意味で逝ってしまった族長にも敬意を表して、広場で野営と言う形にした訳なんだわ。もっとも、キャンピングカー使ってる限り、野営なんなんかね、コレ? って感じだけんども。
うん。なんやかんやでいつも通りってオチだね。
ただまぁ、皆成長して来て、ベッドルームが若干狭くなって来たから色々と考えんとなぁとか、イブやラミアー、ミカとバラキに絡みつかれ、圧し掛かられながら思った次第です。はい。
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ヴァルモートの聖域に住み着いたという邪悪なモノを討伐する為に、その聖域まで来てみた訳なんだが……
「……邪悪?」
『【疑問】随分と清浄な空気ですね』
『【困惑】と、言うか、安堵する様な? デス?』
「ん」
「むぅ……」
「何だか、守られてる様な安心感が有りますね」
うん。なんかそんな感じ。むしろ邪悪とは対照的な雰囲気と言うか……
「くっ!! 力が、抜ける……」
「パ〇ラッシュ、ワシ、もう疲れたよ……」
「ぬぅ!! やっはっりっ!! 吾輩とは相性が悪いかっ!!」
何でおまいら、そんなにダメージ受けとるんじゃよ。
聖域と言われる石造りの神殿っぽい場所なんだが、何と言うかパルテノン神殿みたいな? そう言えばあの作品同時期だったよなぁ。何とは言わんが。
ともあれ、当初聞いていた邪悪って話とは程遠い安らぐ様な清浄な空気が満ち溢れていて、正に聖域ってな感じ。
あー、確かにこう言った空気だと魔族は相性悪そうだよな。
てか、巨人族はダメージと言うか、だらけてる? 緊張感が無くなってると言った方が良いんだろうか? ドユコト?
「何で、タイガージョン達は、だれてんの?」
“だれて”と言うか“たれて”と言うか。
「まるで母親に抱かれてる様な感じで力が抜けるんですわ」
「おかん……」
バブ味かな? いや、ラミアーの【魅了】の様な技かも知れんか。
だとするとこっちに影響がないのは何でじゃ? ラミアーやらコボルトやらのそれで慣れたか?
としても、何の感覚も無いのは何でだ? いや、ラミアーの時はザワリともしなかったか。多少の違和感はあったが。
つまりはそれ程の相手って事か?
「くぅ!! この感じ!! やはり敵はアイツか!!!!」
「知っているのか!? バフォメット!!」
「うむ!! この感じ、敵はバスト!!!!」
何言ってるのかね!? コイツは!!




