族長、その生きざま
実力さえ見せれば敬意を払うと言うのが巨人族であるらしく、歓迎の宴を受けた俺達は、それなりにソレを楽しんだ。
いや、巨人族が心身を鍛え上げる事に喜びを覚える者達の集まりだとは言え、そこはちゃんと1種族ではある。
当然、繁殖する為には男女二つの性別が必要な訳だ。いや、カタツムリみたいに一個体に両性を有するって場合もあるんだけんどもよ、少なくとも巨人族は男と女って性別が有ったわ。
巨人族の女性な、なんだろう、アマゾネス? そんな感じ。ただ、身長としては2m有るかないか位なんで、大柄なアスリートって感じだな。皆が皆細マッチョで引き締まった良い筋肉美だったわ。
俺がそれなりって言ったんは、飯食ってる時に巨人族達が芸を見せてくれたんだが、何でふんどし姿のムサイ男共のラインダンスなんざ見なきゃいけんのだ、と。しかも油かなんか塗ってんのか、やけにテカテカとしたさ。
これだったら屋敷で見せた演武のが何ぼかマシだったぞ、と。
食事自体はね、美味しかったけんどもさ。
それと巨人族の女性がさ……
「この細腕で? ホントに?」
「いやぁん!! 何かぷにぷにぃ!! 何コレ、か~わ~い~い~!!」
「突いたら壊れそうなのに!! 凄いわぁ!!」
突かれたり撫でまわされたり頬ずりされたりetc.etc.……落ち着いて飯食わせてもらえませんかね!?
巨人族の女性に弄り倒されるたびに、イブやラミアー、ファティマとジャンヌ。それとミカとバラキの機嫌が悪くなるし。ルールールーの視線も痛いものになって来るし。
悪意があるなら兎も角、好意と好奇心でやってる事をあんま邪険にも出来んからさぁ。
『コレ、どうにかならんのか?』って意思を乗っけてタイガージョンとドゥガッシに視線を送ったんだが、「キィ!! モテモテじゃのう!! それが悔しい羨ましいっ!!」とかって言いながら、ふんどしの端を噛んでやがってたわ。そう言うトコだぞ? おまいら。
******
巨人族の集落は完全に男女で住む場所か分かれているそうで、郷に入っては郷に従えとばかりにイブ達と別れて寝る事と成った訳なんだが。
唯一と言って良い、男女が共同で使う場所が、今まで宴会と言う名のバカ騒ぎを行っていた食事広場で、そこから奥は完全に別々の場所で生活してるらしい。巨人族の夫婦観ってどうなってんじゃろ?
そんな巨人族、歓迎会からの流れで全員が全員、今は観賞モード。
男は声援と罵倒が半々なのに。女性陣、全員が族長に対しての罵倒ってどうよ?
『【憤懣】私はパーソナリティーは女性ですが、本来は性別と言う物など無く、この扱いは不当と言わざるを得ません』
『【抗議】ボク達は個体名【トール】の武器デス!! 武器は持ち主と一心同体なのデス!!』
「ん!!」
「がんばれぇ」
「いえ、しきたりなんですから、従わないと……」
巨人族族長と相対するのはファティマとジャンヌ。イブとラミアーがセコンドよろしく二人を応援する。生真面目なルールールーだけが、そんな彼女達を止めようと右往左往しながら眉根を寄せていた。
二人に対する族長は、流石と言うか何と言うか、掟を守らせる為に一切引く様子はない。
「成らん!! 例え無機物だとしても女は女!! この先通る事まかりならん!! ぬふうっ!!」
勇ましいこと言ってるけど、族長、ファティマとジャンヌ二人の動きに全く付いて行けて無いんじゃが!? ファティマのフェイントからの飛び膝と、ジャンヌのスライディングからのカニばさみで倒されて、そのままツープラトンで腕と足の関節決められてるってのはどうよ?
てか、何でファティマの飛び膝を凝視したまま棒立ちで受けたし!
「エロ族長!! 真面目にやれぇ!!」
女性巨人族からの罵倒。え? ドユコト? え? まさか、えぇー。ホントにかぁ?
いやいやそんな事流石にないだろう。きっと完全に決まる前に脱出して……え? 抜け出せねぇの? それとも抜け出さねぇの? え? マジ!?
その鍛え上げられた筋肉で跳ね返してくれるだろ!? まさか、あえて受けたままになるとか言わねぇよな!? ソレ女性型だがロボじゃぞ!? 抜け出してくれよ!! 何の為の濃いマッチョかっ!!!!
……うん、あの筋肉禿げ達磨、只のエロ筋肉だったわ。
『【困惑】中々しぶといジジイデス。とっととギブアップして、通すのデス!!』
『【警告】これ以上我慢しているとアキレス腱が切れますよ? 意地を張ってないで通しなさい!!』
ギリギリと締め付けられてるにも拘らず、タップもギブアップもせずに唯々耐えるだけの族長。そこだけ抜き出せば、掟を守る為に耐え忍んでいる立派な族長の様にも思えるんだが。
「まだだ!! まだやられはせんぞぉぉぉぉぉ!!」
何故鼻息を荒くする! 口元を緩ませる!! あかん、コイツ、マトスンとは違ったベクトルでの上級者かも知れん。




