天地支倒立大激走
なんやかんやで巨人族の集落へGO!
街に関する事は一通りは決めてきたが、現状あんま長時間は街から離れていられなさそうなんよな。
通信手段が欲しい通信手段が!!
こう、【念話】とかと同じ様な感じで他の人間と連絡できんもんかね? あれって確か無意識領域経由でお互いの絆を使ってどうたらこうたらとかって話だったっけか? うん、分からん。
分からんモンを形にとかできんわ。流石に。
そもそも絆って何ぞやって話だしな。
前世では当たり前に使ってたけど、通信機器って偉大だよな。こっちで再現しようとすると膨大な技術革新が必要に成るが。
産業革命以前な文明レベルだとどうあがいたって無理じゃん?
テックレベルが足りんのじゃ!! テックレベルが!!
いや、一部、テックレベルが前世を超えてるもんも有るけどさ。古代文明の遺産とか古代文明の遺産とか古代文明の遺産とかあと魔法。うん魔法。俺の使えない魔法。うん。
それは兎も角、何かこう技術的な物で出来んのじゃろか? そっち方面のテクノロジー使って。
……まぁ、そう言った事は後で考えよう。あー、一応エクスシーアには相談しておくか。アイツなら、何か良い案思い付きそうだし。
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さて、今回巨人族の集落に行くのは大体いつものメンバー。俺にイブに犬達。ファティマとジャンヌとオファニム、イン、ケルブ。それに加えてラミアーとルールールー。ヴィヴィアンが「わたしもいきたい~」とか駄々こねたが遊びに行くわけじゃねぇんだから無理だって。あと、何でかティネッツエちゃんも連れてって欲しそうにしてたが、確実に荒事だからなぁ。
「ごめんな? ただの冒険だったら良かったんだが……」
「いえ、トールさまのお邪魔になってはいけませんから……」
「わたしの時と対応違い過ぎですぅ!!」
いや、そりゃ当たり前だろう。駄々こねてる成人女性と、こっちの話を素直に聞いてくれる少女だぞ?
いや、少女だから変えてるって意味でなく、こっちに対する対応の違いに対してって意味で。
そもそも、今の俺も子供だからな。
そんなこんなでようやく出発。聖王国から帰って来る時に作ったマイクロバスタイプ馬車が、今回も役に立ってくれた。
これに巨人族の皆さん積んでの道行きになったんよ。当初は巨人族達は走って行くとか馬鹿言ってたんだが、ついて来れんくなったらどうすんのやって話だ。
俺も前はその方が早いからって大森林内部を走破した事が有ったが、それってあくまで身体能力向上前提の話だし、そもそもが普通に街道使えなかったからだからな。
使えるんなら普通に街道使いますわ。
まぁ、それでも犬達は外走るし、希望者は走ってても良いんじゃねぇの? 脱落しなけりゃ。
「良し!! 巨人族名物!! 『大走破愚直佛契』の開始じゃあ!!」
「「「応!!!!」」」」
元気だなおまいら。
「説明しよう!! 『大走破愚直佛契』とは!! 念願成就を誓い、目的地にとにかく真っ直ぐに突き進むと言う誓願を込めたランニングの事なのだ!! その目的地までの道のりに、例え何が有ろうとも乗り越え、打ち壊し、突き進む!! それが『大走破愚直佛契』!!」
「止めれ!!」
色んな意味で!! それ、どっかで聞いた様な気がするんじゃが!?
その道中に町とか村とか在ったらどうするつもりだ!? そしてそれに巻き込むな!!
それでもやろうとした輩は巨人族を大振りしたったわ!!
「しかし! これはおヌシ等の必勝を祈願したものでもあるのだぞ!!」
「要らんわ! そもそも神頼みする前に全力を振り絞るっちゅうの!! 勝利なんてのはその上での結果だ!!」
「何と!!」
確かに要素としての“運”ってのはあると思う。だが、人事を尽くす前に運を頼ってどうするか!!
それが、俺達に何の関係もない他人には迷惑に成るんだと分かってるなら尚更だ。
こう言った場合に必要な被害なんざ、願った本人にのみ適応されるべきで、コイツ等みたいに第三者の被害を織り込むのは間違ってるんだっちゅうの!! 分かれ!!
「そ、それではワシ等はどう祈願すれば!!」
「そもそも、神頼みする前にやる事があるだろうって話なんじゃが?」
いや、『えっ』て感じで顔見合わせんなや、おまいら!! そしてバフォメットは爆笑しない!!
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今、マイクロバス形馬車の後ろを巨人族が列を成して走っている。
逆立ちで。
そんなに必勝祈願をしたいんなら、存分にさしたろうじゃぁないか! って事で、腕力とバランス感覚を鍛えつつ移動出来る逆立ち走りを提案させて貰ったんよ。
最初、俺が逆立ちをした時は、巨人族全員が戸惑った様子を見せたんだが、俺が「刮目せよ!! 俺は今、逆さに立っているんじゃない! 世界を支えているんだ!!」と言うと、戸惑っていた巨人族の中から、何かに気がついた様に「確かに!!」と叫ぶものが現れた。
「そして、こうやって走ると言う事は、手でもって世界を動かすと言う事で、世界の運行を手助けすると言う事になる!! 神に頼むと言うなら、神の仕事を手伝う方が、自分が苦しんでるアピールをするより、よっぽど聞き入れて貰えると思わんか?」
「「「「確かに!!」」」」
いや、納得するとは思わなんだわ。ありがとうウルトラ先生!!
まぁ、こうして、俺達は一路、巨人族の里を目指すことになったのだ。




