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後悔はしない

「トール、さま、は、いつも、むちゃ、して!!」


 ギャン泣きするイブを慰めながら、俺は体を起こした。無事だったよ? うん。俺がパッシブでプラーナを活性化して無かったら死んでいた所だったわ。


 あの後、俺はほぼ炭化した状態で、火炎巨人の中枢部品を的確に()()()()()()()()らしい。よくやった俺。


 まぁ、その代償として、治療に1週間、そっから目を覚ますまで1週間近くの時間がかる程の大怪我を負ったんだがね。


 特攻した直後の俺の体の表面は炭と化していて、一部骨まで露出していたらしい。

 それをオファニムの中に入れてプラーナを増幅させ、ケルブで慎重に運搬した後、あの、ラミアーがホルマリン漬けになってたシリンダーの中に入れられて、再生するまで安静にさせられてたんだそうな。


 あ、あのシリンダーの中の液体、別にホルマリンじゃないらしいわ。何か、シリコンと有機化合物で作られた保存液で、『原始のスープ』とか『生命のスープ』と呼ばれている物に近しいものだとかなんだとか……うん。分からん。


 で、身体の再生も終わったんで、こうして屋敷のベッドに寝かされていた所、目が覚めた。≪今ここ。


 しっかし、体が炭化か、本当によく生きてたな俺。油断が過ぎたってのもあるし、相当頭に血が昇ってたんだな。

 イブ達に姿を見せられたのは治療が終わって屋敷に戻ってかららしい。それまでは面会謝絶。まぁ、知り合いがほぼ消し炭になってる姿とか、トラウマ以外何物でもないからな。そこは良くやったと言いたい。流石、ファティマ。


 今、冷静に考えれば、衝撃波で吹き飛ばしてから処理すりゃ良かったんだよな。いや、そうでなくても最低、魔力装甲を纏っていればここまで酷くは成らなかったんだ。

 イブが襲われてるってシュチエーションの所為で、焦って居たんだろうな。

 あー、失敗失敗。俺もまだまだ修行が足らん。


 俺の目が覚めたって事で、見舞いの人間がひっきりなしに来た。中には涙ぐみながら「良かった」と言ってくれる人も居たくらい。特にコボルト達。ティネッツエちゃんにもギャン泣きされたし、グレッソチューンとゲーグレイッツァも俺も手を握って滂沱してたわ。

 特にゲーグレイッツァは早々に気絶して、気が付いたら俺が面会謝絶になってたって事で、酷い罪悪感に苛まれてたらしい。

 言っとくが、今回の負傷は俺の自業自得だかんな?


 それでも、これだけの人達に心配かけたんだなぁとか思うと、有り難いやら申し訳ないやら。


「もー、ホント心配したんだよ? 新しい生活に成っていきなり未亡人になったかと思ったよ」

「本当ですよねぇ。せっかく引っ越して来たのに、いきなりパトロンが居なく成りかかるなんて酷いですよぉ」


 何言ってんだおまいら!? ヴィヴィアンのパトロン発言は……成った覚えはねぇが、まぁ分かるとしても、キャル、何時、俺とおまいは結婚してた?

 そう突っ込んだら、「だって結婚タクト送ってくれたでしょ?」とかのたまったんだが!? 何だ結婚タクトて!! 初めて聞いたわそんな物!!!!


 てか、それで結婚成立すんなら、イブとだって結婚しとる事になるわ!!


「あと、ヴィヴィアン。立て替えた店の建築費は回収するからな? パトロンとかって言って有耶無耶にしようとすんな」

「ぎっくぅ!」


 おい!!


「あ、そんな事よりトールちゃん」


 いや、そんな事て。


「ラミちゃんが、引き籠もって出てこなく成っちゃったんだけど、どうにか出来ないかな?」

「ラミアーが?」

「うん」


 なんじゃらほい? いや、元々、数百年の引き籠もりな気もするが、ああ、いや、それは本人の意志じゃ無かったか。

 そう言やこの所、顔見てなかったな。そうか、引き籠もってたんか。

 元々、働いたら負けとか思ってるフシはあったが、本格的にニート化する事にしたんじゃろか?


「てか、何で俺に言う?」

「だって、ラミちゃん言う事きかせられるのトールちゃん位でしょ?」


 ……あれ? 皆、そんな認識?

 別に俺の言う事だけきいてはないだろ。そもそも、俺の言う事をきいてるかも怪しいんじゃが?


 まあ良いか、様子を見に行くくらい。

 それでもどうこう成るかは分からんが。

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