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今さらそれかよ

 大森林内の街ね、順調っちゃ、順調にできて行ってる訳なんですけどね。


 呼び出し喰らったよ、王様に。ルールールー経由で。最近やらかした覚えは無いんじゃが?


 押っ取り刀で王城へ行くと、もはや、馴染みと成った応接室へ。


「其方には申し訳ないと思う」


 いや、何さセルヴィス伯父さんや。いきなり謝らても、よう分からんわ。


「軍務卿の一派が、『やはり冒険者風情に授爵は可笑しい』とな」

「可笑しいなら笑っとけば良いんじゃないかな?」


 言わんとする事は分かるがね。S級とかA級なら兎も角、俺、C級冒険者だし。

 そもそも、授爵(その)理由付けの為に、今、開墾してるって側面もあるんだしなぁ。


 だからと言って、ここまで来てそんなん言われてもな。

 少々不機嫌そうな俺に、国王も苦み走った表情で溜め息を吐く。


「このタイミングで横槍を入れて来たのは、其方に対する意趣返しも有るのだろう」


 何でや。俺、軍務卿とやらと面識なんざないぞ? あ、アレか? 前に王都でファティマ売れとか言ってきた……


「其方が大森林内の間引きをしてくれたお陰で、王都付近にまで出てきて居た魔物の数も減ってきてな、その為に、軍部に割り振られる予定であった追加予算を別に回す事が出来るように成ったのだが……」


 関係なかったわ!! 済まん! 名も忘れた、どっかの令息! 冤罪かける所だったわ!!

 てか、……えぇ……完全トバッチリじゃん。俺、頼まれたからやってんのに。


 いや、まぁ、目の前の餌を突然取り上げられた格好なんだから、気に入らないのは分かるけんどもよ。

 だからって、こっちに矛先向けられてもさぁ。


「で、授爵できるだけの力を見せろとか言ってきたって所かね?」

「良く分かったな」


 テンプレだし。大方、開墾だと、元々のドラゴンスレイヤーでの武功と関係ないんだからとか、それだと本当に授爵できる程の武力があるか分からないから、とか言って来たんだろうさね。


 授爵(これ)が、近隣国に対する牽制だったり、魔人族国に対する、将来的な融和政策の布石だとか分かってんのかね?


 いや、別にエリスとの婚約云々は、する気はないんじゃがね。取り敢えずは。


 いや、分かってても関係ないんか。多分武力で黙らせれば良いとか考えてるんかもしれんな。脳筋そうだし。軍務卿って響きからして。


「で、軍務卿とやらからの条件は?」

「向こうの指定する者との一騎討ちだそうだ」

「一騎討ちて……」


 いや、慢心してる訳じゃないんだが、俺、結構強いよ?

 バフォメットとタイマン張れるくらいだし。

 その、指定されてる相手って、ドラゴンスをレイヤー出来るレベルなん?


 ……あっ!! もしかして、傭兵国のギルマスとか、その関係か?

確か、聞いた話だとアレも魔族らしいし。

 そうか!! それでなくても人間の社会に入り込んでる魔族も多いっぽいし、そっちかもしれん。


 うん、気は抜けないな!


 ******


 そんなこんなで何か即日対決へ。フットワーク軽いなオイ。

 兵士の訓練施設かなんかに通されるかと思ったんだが、何か屋外の武闘台へ。

 いや、これ、俺が来る前から用意してたよな? 何か見物人とかも居るし。いや、登城してた貴族連中だろうけど、見た感じ。


 う~ん、これ、どっちかってと、国王(セルヴィスおじさん)の仕込みかね。軍務卿が変な小細工しない様にっちゅう。


「トール、さま!」


 イブがケルブを連れて来てくれる。お礼に頭を撫でると嬉しそうに目を細めた。

 取り敢えず、軍部の方の準備が整うまで、ミカとバラキをモフる事にしよう。どうも見た感じ、兵士が結構バタバタと慌てて準備してるしな。


「あおん?」

「あ、悪い」


 モフる時はこっちに集中してやらんとな。脇腹からお腹にかけてをワシャワシャしてやる。舌をダランとさせて、随分、気持ちよさそうだなぁ、だらけきってやがる。


 ホレホレ、ここか? ここがエエのんか?


「ヒャウン!」

「ばふ、あおん!」


 首筋から耳の付け根。そして耳の凹凸部分を撫でる様に軽く引っ掻く様に。


「ゴホンッ」


 ホラホラ、コレが良いんだろ? 伸び切ったミカとバラキをワッシャワッシャワッシャワッシャと撫でまくる。


「ゴホンッゴホンッ!!」


 ……全く、気の利かないオッサンだなぁ。犬達との逢瀬を邪魔するとは。まぁ、前世含めると、俺のが年上っぽいが。


 なら、年長者として、俺が寛大な心で赦してやるか。

 そんな事を考えながら、おそらく軍務卿であろう髭のオヤジを見上げる……って、うわぁ、見事なハゲっぷりだ。なのに髭は立派で。ターバンとか似合いそう。


「お初にお目にかかります。私は冒険者のトールと申します」

「う、うむ、軍部の統括をしているアラン·クレイダブルだ」


 振り向きざまに片手を胸に当て頭を下げる。突然礼を尽くした挨拶をされ、軍務卿は戸惑った様に名前を名乗った。

 ふうん。()()が軍務卿ね、脳筋って程鍛え上げてそうには無いが、戦略を練るタイプなんかね?

 だとしても、今回の事は稚拙すぎるんだが?


 まぁ良い。この忙しい時に無駄足運ばせてくれてんだ、その落とし前はキッチリと着けさせて貰おうかね。

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