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どうしたいかを聞いてみる

 街道を通した後、大工や石工を中心に人々も集まって来ていた。

 食糧事情的には、エクスシーア商会が小麦の買い付けをしてくれたり、コボルト連中が芋類を中心に畑を作ってくれたり、街道の警備ついでに狩りとかしてる訳だが。


 本格的に農業従事者とか食肉卸の人間とか必要だなぁ。


 人は食べんと生きていけんのですわ。

 あと、娯楽。楽しみがないと労働は苦痛でしかないのよ。趣味的な何かがあってこそ、苦役にも耐えられるんだからな。

 労働する事()()に喜びを見出して来たら、それはある意味末期だからね?


 一時だが、前世で内臓いわして、食べる事と眠る事が苦痛に成った時、生きるのが辛かったわ。ホント。


 おっと、ネガティブはここまでだ。ポジティブポジティブ。良し、大丈夫!!


 ******


「おお!! 水汲みせずとも室内で水が使えるだと!!」

「これが、トイレと言う物ですか!? え? 水を流す!! 何と贅沢な!!」

「家事が楽になりますねぇ。流石トール様!! サストー!!」


 最期のヤツに言い回し教えたん誰じゃぁ!!!!


 まぁ良い、犯人見つけたらSEKKANだが。新しく建てた家は水道と下水も通してある。コボルトに頼めば地中を探査しての上下水道への接続が結構簡単に行えた。魔法使って凍らせれば、バルブ使わなくとも接続もできるんな。そんな事は想像もしていなかったんで、嬉しい誤算と言うヤツだな。

 一応、地下を通る上下水道の管は、見取り図を作ってあるんだ、結構苦労して描き出したんだが……いや、便利な事は良い事だ。

 それに、ほら、氷系の魔法って使い手少ないじゃん? 今はイブもジャンヌも居るんで必要なかったってだけで、使うから!! 後々必要になるから!! 無理言って作って貰って使わなかったんは悪かったが、無言で睨まんでくれドワーフの親方!!!!


 それはそれとして、浄水場も完成した訳だ。今は俺とイブが魔力充填をしてるが、充填用員も募集しなくちゃないかんな。充填するのが二人だけとか、俺等に問題が有ったら即詰みだし。

 人を雇って浄水場の維持運営とか必要だし、その為の運営費とか要るから、その辺税金で賄わんとかかな? 後でグレッソチューン達と相談せんとなぁ。


 上水道と下水道については概ね好評みたいだ。下水式だと堆肥の為の肥を集められないが、人間の便を堆肥にした場合、人に寄生する寄生虫とかもついて回る事が有るらしいから、堆肥は家畜のソレを利用したい所だな。

 う~ん。畜産家も募集しないとか? むしろ、大森林内で畜産とかできるのか?


 やらなきゃいけん事とやりたい事が次々出てくるな。いくら、街を作るって部分で同じだったとは言っても、町工場的な場所を造るのと、人が居住可能な場所を開拓するのでは、少しばかり勝手が違ってたわ。


 それでももう、計画は動いてるんだ。覚悟を決めてやってくしか無いやね。


 ******


「ねぇ、トールちゃん! いつになったら、あたしの事呼んでくれるの?」

「そうだぜ、師匠!! 随分面白そうなことしてるってのに、おれたちは仲間外れかよ」


 買い出しついでに公都の教会(きょてん)に顔を出すと、オスロー達兄妹がそんな事を言いだして、俺は思わずバラキと顔を見合わせた。

 イブもコテンと首をかしげているから、何でこのタイミングでとか思ってるんだろう。


 いやいや、キャル。まだ向こう、まともに家とかも揃って無いんじゃが? 基本職人とコボルトの家だけだし、それも行き渡ってないし? てか、こいつら拠点を移すつもりだったんか?


 ただ、考えてみれば、教会内でそう言った事を話した事ってなかったな。


 オスローにしろマァナにしろ、公都の方での生活に馴染んでたから、てっきりこっちに残るもんだと思い込んでたわ。

 キャルは……どこでも逞しく生きていけそうだけどな。


 ここの皆に公都で暮らすか、新しい街に行くのか意識調査をしとくか。ああ、ついでにカバーストーリーのお披露目かな? 白子(アルビノ)である事の方は明かさんけど。

 俺が白子である事を知ってんのは初期メンバーの、それも一部位だ。基本的に黒鎧(オファニム)姿だったし、出歩く時はフード被ってイブに抱きかかえられてたりで、あまり顔を見られんようにしてたしな。

 まともに顔を見られたのってジョン達くらいな気もするが、流石にハッキリとは覚えてないだろうさね。


 そんなこんなで初……では無いが、俺、お披露目。


 案の定ジョンが突っかかって来たが、掬い投げてお手玉したったら、丸くなってガタガタ震えて部屋の隅へ。おまいのその反骨精神、嫌いじゃないぞ、と。後は幼馴染みちゃんに慰めて貰うと良かとです。


「はい、と言う訳で、新しい街に引っ越したい人は挙手」


 俺がそう言うと、準冒険者やってる様な年中さん組は隣の人間とヒソヒソ。

 年少さん組は、良く分かってないみたいでポケ~っとしてる。

 まぁ、あんまり結論を急ぐのも良くないか。まだ受け入れ準備とかも出来てないんだから、もうちょっと待っとくかね。

 とか思ってたら、多分3歳くらいの女の子がイブに向かって質問して来た。


「イブおねぇちゃん!! おねぇちゃんもおひっこし?」

「ん、トールさま、といっしょ、いく」

「じゃ、あたちもいく!!」

「あたひも!!」

「ぼくも!!」

「ぼくもぼくも!!」

「わたしも!!」


 おおう、イブさん大人気。まぁ、俺が部屋に籠ってたり、第二夫人の所行ってたりする時は、大概チビ達の相手してたらしいからな。

 そんなイブは、嬉しい様な、ちょっと困ったような表情で俺を見る。

 まぁ、問題ないんじゃね? そんな風に頷く。


「オレは、こっちでパーティー組むって約束してるからなぁ」

「あ、オレも」

「あたしもオバサンところで働かせて貰ってるし……」

「だよねぇ」


 それとは逆に年中さん組の皆は、色々と柵も出来ている様だ。


 その後も話し合って色々と相談した結果、公都の教会は維持したまま、年少組は新しい街へ引っ越す事に。

 とは言っても今すぐって訳じゃないんだがね。


『【確認】よろしい、のですか? マスター』


 教会の維持費の事か? それくらいなら捻出できるだろう。俺のポケットマネーで。

 それよりも、新しい街の拠点ってか領主館か? には、孤児院と遊び場が必須だな。これ。

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