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動き出す計画

 結局ね、グレッソチューンとゲーグレイッツァ、ティネッツエちゃんと、ついでにグーテンシュバッソも、新しく作ってる町の方に移住する事になったんよ。


 もっとも、移住するんはこの四人だけじゃなくて、コボルトの約四分の一が、だけども。


 他の人達が残る理由は、住み慣れた土地から離れる事を嫌がった勢や、ファンデーション関係やドワーフの鍛冶関係で鉱石を掘る仕事の為と、同じくファンデーションの製造関係で離れられない者。


 うん、ここの鉱脈、まだ生きてるしな。それにこっちの村からだとファンデーション関係の為に作ったダミーヴィレッジの方に直通で行けるからね。


 それでも、このうち鉱石を掘る仕事とファンデーションの製造関係者については、新しい街の方に鉱石が有ったり、製造設備が整えば移って来ると言っているがね。


 まぁ移って来れる人員に関しては、もう一つ条件があるんだが。

 それは、“能力の制御ができる者”つまりは多少なりとも肌の色に関して、青から普通の肌の色へと変化させられる者って言うのがソレ。


 これね、俺の想像してた通り、ティネッツエちゃんが成功してすぐに、子供の、それも女の子を中心に、能力を制御して肌の青味を抑える事の出来るコボルトがチラホラと出始めたんよ。


 つまりは、成功した例を見た事で、コボルト達の意識が『出来る』って方向にシフトしたって事だな。多分だが、能力の制御自体は大なり小なりやってたんだと思うんだ。で、なければ、無作為に周囲に精神干渉とかしてた事に成る訳だし。少なくとも、コボルト達がお互いに精神干渉をし合ってたりって様子はなかったからな。


 認識が変われば世界が変わる。そう言う事はあり得るってぇこったな。


 ******


 コボルトの移住が決まったっちゃあ決まった訳だが、だからと言って『はい、移動しましょう』って即時引っ越しができる訳でもない。

 そもそもまだ、街道なんて物が存在しない以上、大荷物を持って荷車でって訳にゃいかんからな。


 まぁ、ぶっちゃけ、切り開くだけなら1日あればできる訳だが、その道を通すにしたってそれが通る領の領主には話を通しとかんとあかん訳だ。


 そもそも開拓に関しての免状は国王から貰ってるって言っても、道を通すのは、各領の思惑とか絡んで来るから色々と面倒くさいんよな。

 一番楽なのは、最も近い領に道を繋げちまって、それ以降は今まで使ってた街道を丸っと使わせて貰うって遣り方なんだが、それはそれで通行に関して税を取られたりなんなりって感じで色々となぁ?


 ただ、色々込々(いろいろこみこみ)で考えるんなら、それが一番無難ちゃぁ無難なんよな。そうなると、その近隣の領の領主に挨拶してって話になる訳なんだけんどもよ。その領ってのが……


「公爵領なんだよなぁ」


 つまりはクソオヤジに挨拶しに行かんと成らんって事な訳だ。いっその事、そこを迂回してってのも有りっちゃ有りなんだが、それやると、公爵を無視(シカト)した形になって、それはそれで面子を潰したって事になりかねない。いやホント面倒くせぇ。


 個人的には、公爵の面子なんざ、いくらでも潰して構わないと思ってるし、何なら喧嘩上等って位なんだが、流石に()()()()()そんな事すれば、国賊の誹りを受けかねない。

 いや、俺個人は()()有るっつっても、対外的にはなぁ? 『冒険者のトール』と公爵との間には、何の確執も無いって事になってる訳だし。


 まさか、黒鎧(オファニム)着込んだまま乗り込んで行って「I am your son.」とか宣言して来るって訳にも行かないじゃん? 別に俺、プラーナの暗黒面に堕ちてる訳でもないしな。

 そんな事やっても、無駄に色々と混乱させるだけだし。


 まぁ、ここは多少誠意に欠ける行為だけんども、グラスかエクスシーアに代理人に成って貰うのが穏当かね。


 ******


「アン!! アオン!!」

「ワオン!! ワオン!!」


 大森林内の開拓地まで戻ると、街の警備をしててくれたミカとバラキが飛びついて来た。今回、ドワーフが既に街に来ちゃった関係で、(ミカ)達には、彼等の警護を含めた安全確保の為に残って貰ってた訳だ。


 うん、まぁバラキがすっげえごねたけんども、浄水システム関係でジャンヌとイブが動けない以上、警備に関しては、彼女(ミカ)達の手がどうしても必要だったからな。俺も心を鬼にして、命じたんよ。


 いや、辛かった。そして癒しの無い道中がこんなに辛い物になるなんて!!


 取り敢えず駆け寄って来てくれたミカとバラキは『首筋から始まる愛犬可愛がり48手』でもふり倒す。


 街の中を見れば、ドワーフの女衆と子供らが、手分けして日干し煉瓦を作ってた。成程? 取り敢えずの建築材料の準備か。

 空になってた酒樽の幾つかに水が溜まってた。特に雨が降ったって様子はないから、雨水って訳じゃないだろう。って事は、川から汲んで来たか魔法で出したか。

 ドワーフは火と土の魔法に適性がある代わりに水と風は今一つらしい。良いじゃん、適性があるだけ。世の中には全く適性の無い人間だっているんじゃよ!!


 それは兎も角、ドワーフの代表を探す。コボルト達の家も作って貰わにゃならんからな。

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