売り手市場
すみません。
今回短いです。
2022/09/10
勘違いをしていた表記を修正しました。
それによるストーリーの影響はありません。
その報告が俺の所に来たのは、街の配管が終わって土を埋め戻した直後だった。
マァナに頼んで仕事着として赤のトレーナーと帽子、青のオーバーオールを作ってもらった。深い意味は無い。無いったら無いんだ。
さて、報告と言うのはアレだ、エクスシーア商会の王都の支部に圧力掛けてたって言う何とかって侯爵様についてだ。
「思ってたより早かったな」
「時流を読めない程、無能と言う訳では無かったのでしょう」
まぁ、でなければ、周辺諸国の貴族にパイプなんざ作れなかっただろうし、国王が、その貴族にまつわるきな臭い噂話を知っててもなお、放置する様な事はしなかっただろう。
今回、俺のやった事なんて些細な事だ。家の商品を周辺諸国の貴族にも販売しつつ、その量をしぼって品薄状態にし、特にその侯爵に縁のある相手には、より販売を渋るように通達をしただけだ。
『売らない』じゃない『売り渋る』だ。商品の品質には自信がある。だからこそ『売り渋る』つまりは『少数なら売る』のだ。
人間ってのは全く手に入らない物なら『しょうがない』と我慢が出来るが、一旦手に入った物に関してはタガが外れやすい。
特に周囲では手に入っているんだから尚更、だ。
で、そんな我慢のできないアダルトチルドレンがそう言った状態でやる事なんざ大体決まってる。
“入手できそうな伝手を頼る”だ。
ナントカ侯爵、今迄、豚会長を利用して様々な商品を『合法、非合法構わず』調達し、そう言った貴族連中にばら撒いて、ご機嫌取りや、貸しを作ったりしてきたわけだが、今回に限ってはそう言う訳には行かない。
何せ、その豚会長率いる豚商会は、俺が、そいつらに手を貸してた裏の人間や組織を狩り尽くして機能不全にさせてたし、侯爵が喧嘩吹っ掛けた相手こそ、その商品を取り扱ってた商会なんだからな。
そんな相手に、今更「売ってくれたまえ」とかどの面下げて言えるのかって話何だが、そこは百戦錬磨のお貴族様だ。
手打ちにしてくれって連絡があったらしい。
これ以上周囲の貴族からの信頼を失う訳には行かないからな。




