コボルトTOKKUNN中
コボルトに対する特訓は、あまり上手くは行ってない。何がって、身体の色を変える特訓やね。
魔法による身体強化が、どんな理屈で行われるかは俺には分からない。魔力がないからな!!
いや、なんか、集団無意識にまでアクセスしてそこのアーカイブから魔術回路をダウンロードしてそれを俺の無意識領域に固定できれば使える様に成るらしいんだが……うん。ちょっと無理だった。そもそも、集団無意識どころか、自身の無意識領域って所に入り込むって事自体が出来てないんだから、それ以前って話ではあるんだがね。
いや、もう、この世界が俺に魔法を使わせる事自体を否定してんじゃねぇの? って疑問が湧く位だわ。こん畜生!!
それは兎も角、先日思い付いた事が有った。それが『コボルトって、何かの能力がパッシブ化してるから肌が青いんじゃね?』って事だ。
そもそも、俺自身がプラーナによって身体能力向上がパッシブ化してた事で身体が赤く染まっていた事があるのだ。
なら、俺と同じ様に、それを解除する事ができるんじゃなかろうか? ってのは、あながち荒唐無稽って訳でもないと思ってる。
そもそも、コボルトが隠れ住まなきゃいけなくなった理由は彼等の能力が有用だったからだ。
地面の中にある鉱物の分布を探り当てられる能力なんて、権力者なら必ずと言って良い程、欲しがる能力だろう。
何せ、彼等が居れば、ほぼ100%、鉱山資源を探り当てる事が出来るんだからな。
分かると思うが、鉱山資源ってのはそれだけでも莫大な資金を稼げる手段でもある。もっとも、それが形にまでに成るまでには、かなりの資本をつぎ込まにゃいかんがな。
しかもそれは、それだけの資本をつぎ込んだからって、必ず上手く行くって訳じゃない。必ず望んだ鉱物資源が出るとは限らないし、その埋蔵量だって、どの程度あるか分からないんだからな。
掛け金が大きく、当たればデカイが、その逆に全てが無駄になる事も有るのが、鉱山と言う物でもある。
ここまで語れば、コボルト達の能力がどれだけ貴重な物なのか分かると思う。
だからこそ、時代時代の権力者や領主は、こぞって彼等を探しただろうし、手に入れようとした。
とは言え、そうして権力者の手に落ちた者達が良き協力者となってより良い関係を築けていたのなら、コボルト達が現状隠れ住んでいるなんて事には成って居なかっただろうさね。
それくらい。人の欲望には際限なんざ無くて、そう言った欲に溺れた者達が、他人なんぞに気をまわすのかと言われれば、俺はNOだと言い切れる。
本来なら、別に隠れ潜んで生活する理由なんざない者が、そうやって隅に追いやられて生きていく様な事は、どうにも我慢ができない。
だからと言って強大な権力を持ってる輩に正面立って喧嘩を売る程、馬鹿じゃぁないつもりだがね。
そんな事すりゃ、俺は兎も角周囲の人間や、コボルト達本人に迷惑が掛かっちまうからな。だから、それは最後の手段。
まぁ、最初は出来る事からやってくさね。
ただ、まぁ、その最初の所から躓いて居る訳なんだわ。
俺の場合、かなり初期の頃から自分の身体に流れるプラーナを感じ取り、それを意図的に活用する事を目的として、体内循環やら、それを身に纏う……なんて事もやってたからな。
それなりに下地はあったんだと思う。
で、コボルト達なんだが……
「クッ! オジキが辿ったという道、オレも背を追える栄光を貰ったと言うのに!! 俺って奴は!!!!」
「アニキが態々オレを指名してくれたって言うのに、こんな最初の最初で躓き先に進めないとは!! ああ、アニキの顔に泥を塗っちまうなんて!!」
グレッソチューンもゲーグレイッツァも、自分の中にあるエネルギーを感じ取るって所から躓いちまった。
まぁ、今まで当たり前の様に使ってたエネルギーをいきなり感じ取れって言ったってそもそも、その違和感を感じ取るって事が先ずできるかって言われれば、難しいと言わざるを得ない。
例えばさ、『じゃぁこれから、呼吸の中にある酸素を感じ取ってみてくれ』とか言われた所で、分かりはしないだろう。
これに関しちゃ、魔力と言うかプラーナなんて物のない世界から来ているんで、その違和感を感じ取れる俺の方が、言わばイレギュラーだとは思うんじゃがね……
だとしても、思いつく限りの事はしてやらんとな。
何せ、グレッソチューンの言ってた通り、隠れ住まずに生きたいってのは、彼等の悲願だろうし、それだけ悩んでいるってのなら、むしろ俺は手を貸したいとも思う。
俺にとってはコイツ等も俺のファミリーだし、大切な家族だと思ってるからな!!




